東京・こくみん共済coopホール／スペース・ゼロにて上演中の舞台「新宿羅生門」（2023年10月1日（日）まで）。
原作はアイディアファクトリーの新ブランド「ALTERGEAR」よりリリース予定の同名ゲームソフト。ゲームのリリースに先駆けての舞台化となる。
幕末に無念の死を遂げた武士の子孫たちが次々と先祖の記憶に目覚めはじめ、現代の新宿を舞台に激しい戦いを繰り広げてゆく“幕末転生奇譚”だ。
前世の意識に目覚めたことで江戸市中見廻職「新徴組」隊士「沖田林太郎」の魂を継ぎ、「新徴組抜刀隊」の一員として戦いに身を投じていく主人公・沖田 洸を演じるのは中島 健。
「Sparkle web」では座長の中島に加え、常に冷静な剣の達人にして、無免許の銭ゲバ天才外科医・中沢 颯を演じる瀬戸啓太、
土方歳三を前世に持つ、暴れだしたら誰にも止められない高圧的な暴力シンガー・土方玲雄を演じる市川慶一郎の3人にインタビュー。
それぞれのキャラクター像の作り方や、“スーツ×日本刀”という本作の見どころに感じること、殺陣への意気込みなど、たっぷりと語ってもらった。
ここから始動する舞台「新宿羅生門」、そしてゲームへと幅広い展開を見せていくであろう本プロジェクトから目が離せない。
interview
今回、発売前のゲームを基とした2.5次元舞台化ということで、ちょっと珍しい流れなのではないかと思います。
中島：僕自身は2.5次元というか、原作のある舞台に出るのも初めてです。役作りなどですごく不安な点もあるんですが、今は沖田 洸という人物を自分なりに深掘りして、どういった人間なのか、どういった生い立ちなのかということを自分なりに考えて、それを稽古場でぶつける、という作り方をしています。
瀬戸：僕、ロングヘアーの役が初めてなんですが、ビジュアル撮影の時は毛が絡んじゃったり、予想以上に大変だった記憶があります。今作は殺陣があるのですが、殺陣をするともっと動くことになると思うので、ちゃんと髪の毛を捌かないと本当にかっこ悪くなっちゃう気がしていて。いつもより重心を下げた立ち回りをした方がいいのか、それともスンと立っている立ち回りがいいのか。殺陣振付の方が知り合いなので、そういうところを話し合っていきたいですね。
ロングヘアーの役の方は、皆さんやっぱり「取り回しが大変」とおっしゃっていますよね。
瀬戸：そうですね。過去に僕が出演した作品でその手のキャラクターが出ていた時は、殺陣のシーンではロングヘアーを結んだりしていたんです。でも今回の僕の役に関しては、もうすでに結んじゃっているんですよ。結んだ状態で膝裏ぐらいまで長かったので、本当に僕がどう捌くかが大事になってくると思います。
市川：僕の役の肩書きを読んでもらったら分かるんですけど、「暴れ出したら誰にも止められない高圧的な暴力シンガー」……、正味バケモノじゃないですか。
一同：（笑）。
市川：舞台上でそう見えたらいいなって思います。もう俺とは絶対に真逆なので。
瀬戸：でも“暴れ出したら誰にも止められない感”はあるよね（笑）。
中島：確かに（笑）。
市川：（笑）。本当に、どれだけ自分を怖く見せられるか、というところですね。でも僕は劇中ではお二人とは別のグループに所属しているんですが、僕のグループにも「沖田」がいるんですよ（新谷聖司演じる沖田蒼空）。その沖田には優しい感じの口調で話しかけているので、二面性があるというか……、その見せ方が難しいと思っています。
でも本当に、市川さんのパブリックイメージとは真逆の役柄ですよね。
市川：本当ですよね。僕、優しそうじゃないですか。
二人：（笑）。
市川：だからお客さんもびっくりしちゃうんじゃないかなと思います。
中島さんは今作が舞台初主演ということで、そういった意味でもご自身にとって挑戦となる作品になるのではないかと思います。
中島：そうですね。2.5次元舞台を観に行かせていただいたことはたくさんあるんですけど、その時は正直「これは自分にはできないな」と思っていたんです。実際のキャラクターを忠実に演じることって絶対難しいだろうな、と。今回は他のキャストも経験の多い方が揃っている中で、初めて出演する僕がこの位置にいる、その不安はもちろんあります。殺陣自体も経験が無いので今作は本当に挑戦ですね。周りの皆さんに助けてもらいながら、色々教えてもらいながら演じていければと思っています。分からないこともたくさん聞いて吸収していきたいです。
舞台作品にはこれまでも出演されてきましたが、ご自身が理想とする座長像などはありますか？
中島：やっぱり稽古場の雰囲気を良くしてくださる座長の方はすごくいいなと思いますね。座長がピリピリしていたら多分周りの方もそれにつられちゃうし、芝居自体もやりづらくなってしまうと思うので。みんなのやりやすい環境というか雰囲気作りはしたいと思っていますけど、自信はありません（笑）。
1997年2月20日生まれ、埼玉県出身。最近の主な出演作に、映画『HiGH&LOW THE WORST X』（中岡 役）、舞台FOCUS2022『アップデート』（五木田陽介 役）など。2023年10月16日より、映画『碧恋のトウループ』（藤沢翔真 役）の上映を控える。Twitter
瀬戸さんは中島さんと同じチームの役柄ということで、サポートされることも多くなってくるのかなと思います。
瀬戸：そうですね。さっきちょっと“主演のあり方”みたいな話をしていましたけど、主演っていろんなあり方があると思うんです。本当にキャリアがあって引っ張っていける役者がやるパターンとか、全然「初めましてなんです」みたいな人でも無我夢中に全力でやっている姿を見せて、周りが自然と助けたくなるみたいなパターンとか。今聞いている感じだと本当に一生懸命この作品に挑んでくれるんだろうなと思いますし、僕もまだまだ課題があるとは思っているんですけど、自分にできることは一緒に協力してやっていけたらいいなと思ってますね。皆さんと一緒に一生懸命作品を作っていきたいなと思います。
市川：僕も舞台はそこまで経験がある方ではないので、ついていきます。どこまででも（笑）。楽しくできたらなと思っています。
市川さんは人見知りと伺っていますが、稽古場ではいかがですか？
市川：年が近い方だったら結構話しに行けるんですけど、年上の方とか、どう接したらいいのか分からなくなっちゃいますね。なんて話しかけたらいいんだろう、って。前回の舞台の時も悩んだ記憶があります。
中島さんは座長として積極的に声掛けをされていくタイプですか？
中島：いや、僕はもうトップレベルで人見知りなんです（笑）。それこそ舞台だと顔合わせ、読み合わせの時とか……初対面の方が多いと本当に苦手で。最終的には仲良くなれるし、関係性も出来上がっていくというのも分かっているんですけど、分かっていてもなかなか最初の殻は破れないですね。ここも挑戦です。
1994年12月16日生まれ、兵庫県出身。最近の主な出演作に、Asterism vol,o7「NoLimit」、舞台『信長未満 〜転生光秀が倒せない〜』（利家 役）、映画『パラフィリア・サークル』（森瀬 京 役）など。Twitter
舞台「新宿羅生門」は“スーツ×日本刀”ということで、スーツ姿の皆さんも見どころの一つかと思います。スーツには動きにくそうなイメージがありますが、この衣裳で殺陣をすることについてはいかがですか？
瀬戸：僕は色々な舞台を経てきて、スーツは割と動きやすい方だと思っています。例えば袴とかに比べたらスーツの方が動きやすいかな。と言いつつ、スーツは身体のラインが見えるので、殺陣中のポーズや過程がダサくなりがちなんですよ。そこをなるべく、どこを切り取ってもかっこよく見えるような立ち回りを意識できたらなと思っています。お客さんにとっては多分好きなものが詰め込まれているので、素敵なんじゃないですかね（笑）。
市川：ビジュアル撮影の時も実際に刀を持ったんですけど、普段生きてて刀を持つことなんて無いじゃないですか。だから、どのポーズをしたらかっこいいのか全く分かんなくて、助けてもらっていましたね。殺陣をやったことのある方がいらっしゃったので、「こういうポーズで」とかずっと指示してもらってました（笑）。
中島：そもそもスーツを着てそこまで激しく動くことってあんまり無いじゃないですか。正直、僕は「大丈夫かな？」って思ってます。背中の部分とか破れないかな？って（笑）。
かと言って、あまりルーズなシルエットだとかっこよく見えないかもしれないですね。ある程度のタイトさは必要になってくるかもしれません。
中島：そうですね、質のいいスーツを着させてもらいたいと思います（笑）。
中島さんは映画『HiGH&LOW THE WORST』『HiGH&LOW THE WORST X』などでアクションもやられていますが、今回それが活きるところはありますか？
中島：その時は素手だったので、手のアクションとかは入れやすいのかなとは思うんですけど、素手と刀では距離感も全く違いますし、アクションもそこまで自信があるわけではないので……。そこは教えていただきながら、成長していくしかないなと思ってます。
殺陣経験者として、瀬戸さんからお二人にアドバイスするとしたら？
瀬戸：やったらやった分上手くなるから、上手くなりたいなら練習するしかないと思います。僕は20歳ぐらいの時に初めて刀を持ったんですけど、その時はめっちゃ嫌いだったんです。ミスったら刺さるかもしれないし、下手したら人を殺してしまうかもしれない。本当に恐怖で、「逃げたい」と思ったこともあるんですけど、なおさら人を怪我させないように、自分もちゃんと技術を磨かなければという気持ちになりました。そういう危険な状況にはもちろんならないと思いますし、ならないようにみんな気を付けているとは思いますけど、「そうなるかもしれない」ということを、「自分たちは命を懸けてやっているんだぞ」ということを改めて認識して、みんなで練習していければと思います。そうすれば結果的に、この作品を終えた時には殺陣が得意になっているんじゃないかな。
それにはお互いの呼吸も合わせないといけないですよね。信頼関係がすごく大事だと伺っています。
中島・市川：（真剣な表情）。
お二人のプレッシャーが……。
瀬戸：俺が重い話したから……（笑）。
中島：いやいやいやいや！
市川：僕、軽い話あります（笑）。僕は普段アイドルをやっているのでライブで何十曲とか踊ったりするんですけど、倒れるほど疲れることはまず無いんですよ。で、前回の舞台でも殺陣があったんですけど、全然大した長さじゃなかったんですよ？ でもその2、3分ぐらいの殺陣をやっただけで、ぶっ倒れそうになりました（笑）。
一同：（笑）。
市川：体力作り、大事だなと。
ダンスとはまた違うプレッシャーもあったのではないかと思います。
市川：ああ、それもありますね、本当に、手順一つ間違えたら終わりなので、そういうのも考えながらやっているとすごく疲れますね。
瀬戸：多分、考えることがいっぱいあるんですよね。だって、本当に人を殺してはいけないけど、人を殺す演技をしないといけない。逆のことを並行しながらやり続けることになるから、そういうところも結構きついのかもしれないですね。
1996年9月8日、神奈川県出身。最近の主な出演作に、舞台「トムラウシ」（冬丘忠人 役）、乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」THE STAGE（ニコル・アスカルト 役）など。Twitter
皆さんの殺陣を楽しみにしています。最後に本作へ期待を寄せている方々へ、劇場に足を運ぶ背中を押す一言を頂けますでしょうか？
瀬戸：僕は今作の出演者の半分ぐらいは元々知っているんですが、その人たちは僕が今まで出会ってきた俳優の中でも、お芝居もすごく上手だし殺陣もできるし、人としても熱い人たちなんです。そんな選りすぐりのメンバーを集めるこの制作なら、僕が初めましての人たちも多分、そのぐらいの熱量がある方たちだと思うから、本当に魂のこもったお芝居を届けられると思います。
ただ今回、この作品はまだ原作のゲームがスタートしていないということで、2.5だったら原作ファンの方々が来てくれるという状況が起きると思うんですけど、今回は多分役者ファンからしか口コミや広がりが無いと思うんです。だから、いい初日を迎えて皆さんの口コミをもらいつつ、これから始まるゲームも舞台もいいスタートを切れるように頑張っていきたいなと思います。
市川：原作がゲームなので、刀を振っているところももちろんかっこいいんですけど、それ以外でも何か「かっこいいな」って思ってもらえるポイントを作りたいですね。元々僕たちのことを知ってくれているファンだけじゃなくて、「ゲームやキャラが好きだから観に来た」という人たちもファンにさせられるような舞台にできたらいいなってすごく思っています。あとは本当にもう、怪我無く終われたらいいなって今インタビューしていて思いました。
一同：（笑）。
市川：僕も願っているので、皆さんも本当に願っていてほしいです。「怪我無く終われますように」と。
中島：「新宿羅生門」、僕たちも、多分お客様も未知数な作品だと思います。でも僕たちはこの座組で、できるだけ最高なものを届けたいと思っているので、皆さんも一緒にこの作品を作っていただきたいと思います。ぜひ観に来ていただきたいです。
information
舞台「新宿羅生門」
【日程】2023年9月22日（金）～10月1日（日）
【会場】東京・こくみん共済coopホール／スペース・ゼロ
【原作】ALTERGEAR「新宿羅生門プロジェクト」
【脚本・演出】萩原成哉
【企画協力】アイディアファクトリー／花梨エンターテイメント
こくみん共済 coop ホール／スペース・ゼロ 提携公演
【出演】
沖田 洸 役：中島 健
中沢 颯 役：瀬戸啓太
勝 覚悟 役：橋本全一
坂本 旭 役：井阪郁巳
勝 聖舟 役：田中稔彦
岡田 零 役：田中尚輝
土方 玲雄 役：市川慶一郎（9bic）
沖田蒼空 役：新谷聖司
桂 紫苑 役：塚本凌生
西郷拓馬 役：日向野 祥
山南帝承 役：鵜飼主水
芹沢朱鷺 役：兼崎健太郎
清河堅児 役：金子昇
他
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※応募締切：2023年10月1日（日）23:59まで
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credit
テキスト・撮影：田代大樹
©新宿羅生門プロジェクト
©舞台新宿羅生門製作委員会