2026年1月14日(水)から1月19日(月)まで、東京・すみだパークシアター倉にて上演される舞台「スタンダード・ショート・ロングドロップ」。
イギリスを拠点に活動する新進気鋭の劇作家、レイチェル・ガーネットの戯曲を日本初上演する本作は、産業革命期の19世紀イギリスを舞台に、近代化の狭間で揺れる死刑制度のもと、二人の死刑囚が交わす対話を描く密室会話劇である。
牢獄という極限の空間で浮かび上がるのは、「罪」と「赦し」、そして人間の尊厳とは何かという根源的な問いだ。
「Sparkle web」では本作に二人芝居で挑む松田洋治と松田 凌に、作品への向き合い方や演劇への思いを聞いた。

1967年10月19日生まれ、東京都出身。5歳で子役としてデビューし、石井ふく子プロデュース作品や、ドラマ『家族ゲーム』、『深夜にようこそ』、NHK 連続テレビ小説『おしん』他多数の作品に出演し、最近ではNHK大河ドラマ「べらぼう」にも出演。近年の舞台の主な出演作は、水戸芸術館プロデュース公演『世界のすべては、ひとつの舞台 ~シェイクスピアの旅芸人』、『ロミオとジュリエット』、新宿梁山泊『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』、舞台『赤塚不二夫スクラップブック』など。X(Twitter)
(写真右)まつだ・りょう
1991年9月13日生まれ、兵庫県出身。主な出演作に、舞台『刀剣乱舞』シリーズ(加州清光 役)、舞台「東京リベンジャーズ」シリーズ(佐野万次郎 役)、映画『舞倒れ』、江戸川乱歩没後60周年記念作品「RAMPO WORLD」『3つのグノシエンヌ』、『追想ジャーニー リエナクト』など。X(Twitter)
interview
松田 凌さんは以前、松田洋治さんが声優としてアシタカを演じられた映画『もののけ姫』をご覧になったブログを書かれていましたね。
松田 凌 多分、松田洋治さんは人生の中で「もういいよ」って言われるぐらい、『もののけ姫』について語られているとは思うんですけれども。
松田洋治 (笑)。
松田 凌 僕にとって、人生の中で何本か映画を選ぶとなったら『もののけ姫』は入ってしまうだろうし、自分に影響を与えた作品でもあり役でもあったので、「その声をやられていた方」という印象がまず、やっぱり大きかったですね。そこから演劇にずっと携わっていらっしゃることも存じていましたし、今回ご一緒できることがとても光栄です。
しかも二人芝居ということで、二人で濃密な時間を作っていかなければいけない。よろしくお願いします。
松田洋治 こちらこそ。
松田洋治さんは、二人芝居という形態にどんなイメージをお持ちですか?
松田洋治 二人芝居そのものは何本かやっているんですけど……僕はやっぱり“二人”での芝居が好きですね。つまり、一人ではあんまりやろうと思わない。もちろん一人芝居に素晴らしい作品もありますが、僕は一人よりもやっぱり二人がいいかなと思っていて。『動物園物語』にしても『ダム・ウェイター』にしてもそうですが、やっぱり“二人”でのお芝居が一番濃密だし、好きかな。
まあ怖い側面もあるんですけどね。二人の関係が上手くいかなかった場合は、どうにも収拾つかないものになる危険性があるので(笑)。でも過去にやってきた舞台の中でも、二人芝居はどれも自分にとって重要なものになっているので、そこは今回も楽しみですね。

松田 凌さんにとって、二人芝居は初めてではないでしょうか?
松田 凌 記憶を遡ってみたんですけど、おそらく経験が無いですね。主に二人が会話を重ねて進んでいく物語を演じたことはありましたが、純なる“二人だけ”のお芝居というのは今作が初めてだと思います。
今作への出演を決めた理由は、どの辺りにあったのでしょうか?
松田洋治 二人芝居というところに対する興味もありましたし、すごく緊張感のある濃密なものなので、断る理由は無いなと。で、テーマと自分の役というものを考えた時に、僕の“終活”の入り口にピッタリかなと(笑)。
松田 凌 今作のプロデューサーの方とは以前、別の作品でもご一緒していたんですが、その当時「また一緒にやりたい」とお声掛けいただいていたんです。僕にもその気持ちがあったので、ありがたいなと。戯曲を読ませていただいて、ぜひこの作品に身と心を投じてみたいという気持ちになりました。

お二人は海外戯曲を演じることについて、面白さや難しさ、どのようなイメージをお持ちですか?
松田洋治 日本に限らず演劇活動をする者において、古典にしても何にしても、翻訳物というのはどうしても関わっていくものなんですよね。自国の伝統的な作品と、世界レベルでの古典劇というのは、常に演劇に携わる人間が関わっていくものだと思います。
そして海外戯曲をやるというのは、世界の全ての演劇の中で突出したもの、選抜された「いいもの」を行わせてもらうわけで、それはやっぱり面白いですし、普遍性だったり、時代や国境を越えたものがあります。世界という土壌で生まれ、選ばれてきたものというのはやっぱりいいですよね。
松田 凌 僕も古典文学を含め、海外戯曲に携わらせていただいた経験がありますが、まだ30年そこらですが生きてきた中で感じる文化の違いや言語の違い、それによって伝わるものの違いはありますよね。突き詰めていくと、その国の空気と、土と、食べ物と、人と……そういった中で生まれる言葉やカルチャーを内包しているからこそ、より伝わるものになっているはずで。でもそれを日本で演じるのではあれば、原本へのリスペクトを込めつつ、日本独自の解釈を持って上演する必要があるかもしれない。
これは座組や演出、俳優たちの芝居によりけりだと思いますが、日本人でも「美味しい」と思える料理にするのか、それともちゃんと向こうの味を持ってきて「美味しい」と思ってもらうのか。例えばシェイクスピアの話をどの座組、制作、演出家、演者でやるか、それによってまた全然違う物語にも見えますよね。そういったことは、海外で生まれた物語を日本で上演する面白さだと僕は思います。今後この「スタンダード・ショート・ロングドロップ」という作品が別の形でお客様に届く時が来たとしても、僕たちは僕たちなりの面白さを届けられればと思っています。

本作は、死刑制度がまだ残っている時代のイギリスを舞台にした物語です。現在、イギリスでは死刑制度が廃止されていますが、日本ではいまだ存続しています。その点において、本作は現代の日本社会にも通じるテーマを内包した作品だと感じます。お二人が本作を上演するにおいて、お客様に何を受け取ってほしいと考えていますか?
松田洋治 僕はもう先ほども言った通り、終活です。ここから“演劇的終活”に向かう入り口を、お客様に観てもらおうかなと思います。
松田 凌 僕はまだ、大きくは言えないかもしれないです。稽古を通じて「こういった思いを届けたい」というものが出てくるかもしれないですけど、願わくばそれはお芝居で届けたいとも思っているし。
コンプライアンスばかりに重きを置かれる時代ではありますが、それとは別に、人の命に関わることをお芝居で表現するということにあたって、僕個人の大きなイシューに基づき今、何か一言を言うと、それによってすごく危険性を伴ってしまう気がして。劇場に来てくだされば、その答えを皆様に受け取ってもらえるようには必ずします。
松田洋治 二つの世代というものが、この芝居の中にあって。違う世代の、違う二つの生き方、信念みたいなものが存在しています。今、そういう信念、それぞれの考え方、それぞれの生き方、そういったことを考えること自体が少なくなってきちゃってるような気もします。そこを改めて考えてもらえるような機会になればいいのかなと思いますね。信念を持って生きること自体がいいのかどうかも含めて。
必ずしもそれが「いいこと」だとか「信念を持って生きるべき」というつもりは全然無くて。信念を持って生きるということがいいのか悪いのか、信念を持つべきなのか持たざるべきなのか、ということも含めて、考える時間にしていただければいいかなって思います。
親指1本でどんな答えも3秒で出る時代ですが……。戯曲の中で「人生は考えるためにある」って僕の役が言うんですが、その時間がどんどん無くなっているというか、無くても済む世の中になってきている。もちろんみんなちゃんと考えてはいると思うんだけど、考えなくても生きられるのが今ですから。そこで改めて、考える、想像してみる、ということを……そういう時間やタイミングこそ、演劇が提供できることだと思うので。この戯曲は、特にその要素が強いのかなと思います。

先ほど松田洋治さんが二人芝居の魅力を語ってくださいましたが、現時点で松田 凌さんは、この二人芝居のどういったところを楽しみに感じていますか?
松田 凌 今、自分が参加させていただいている作品は、歌があったり、踊りがあったり、プロジェクションマッピングやワイヤーで実際に舞台上を飛んだりとか、さまざまな技術を使って表現するものが多くて。いろんな作品に挑戦させていただいて、改めて「お芝居に全てフォーカスを当てて、自分で舞台の上に立ってみたい」、「板の上で生きてみたい」ということを、ここ最近ずっと思っていたんです。もちろん、どの作品もお芝居を基にして、その上で仕事を全うしたいと思って臨んではいますが。
そういう意味で二人芝居はまず単純にやることの物量が多いですし、自分たちのお芝居だけでこの「すみだパークシアター倉」という劇場を埋めなきゃいけない。そういったところはすごく楽しみでもあり、大きな責任でもあるなと思っています。しっかり稽古期間を重ねて本番に入る時にはどういう毎日が待っているのか。すごく期待と責任というか、そういったものが入り混じっている気持ちではありますね。これだけの責務を背負って舞台に立つからこそ、また一つ、これまでとは違う世界に飛び込むことでしか得られないものがあると思います。楽しみです。
松田洋治 本当に二人きりなので、これはもう凌くんの寛容さにすがるしかないですね。「芝居は生だ」ということをよくご理解いただいて(笑)。「この人何を言い出すんだろう!?」とか、「俺どうすりゃいいんだろう!?」といったこともあるかと思いますが、そういう時も「生だ!」ということでご容赦いただいてですね、柔軟にお願いできれば……この年寄りはそこにすがるしかないので(笑)。
松田 凌 あははは、いえいえ(笑)。本当に楽しみです。
松田洋治 生感を楽しんで、と今から言い訳をしておきます(笑)。
松田 凌 何をおっしゃいますか(笑)。


ちょっと砕けた質問になってしまうんですが、お二人は同じ松田姓ということで、今後はどういう風に呼び合いますか?
松田洋治 名前しかないですよね。
松田 凌 お名前で呼ばせていただければなと、僕は思っていました。
松田洋治 昔、あるドラマをやっていた時に、出演者のいつも一緒にいる集団に、松田洋治と沢向要士と松田吉博という3人がいたんですよ。スタッフが「松田!」って言っても二人返事するし、「ようじ!」って呼んでも二人返事する(笑)。その時はもう、役名で呼ぶしかないという結論になったことがありましたね。
松田 凌 あははは! でも今回は名前でいいですか?
松田洋治 もちろんです。僕は基本的に「洋ちゃん」って呼んでもらってるんですけど、さすがにいきなりは言いにくいよね! 慣れてきたらまだしもですけど。
松田 凌 はい(笑)。始めはちょっと「洋治さん」で。僕のことは「凌」でお願いします。
稽古が進んで「洋ちゃん」、「凌ちゃん」になるかもしれないですね(笑)。そんなお二人で作る本作が今から楽しみです。
松田洋治 よろしくお願いします。
松田 凌 ありがとうございます!

information
「スタンダード・ショート・ロングドロップ」
[東京]2026年1月14日(水)〜1月19日(月)@すみだパークシアター倉
作:レイチェル・ガーネット
翻訳:津志メイコ、下平慶祐
演出:タカイアキフミ
出演:松⽥洋治、松⽥ 凌
[チケット]当日引換券 発売中
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松田 凌 掲載
『Sparkle Annex vol.01』発売中

江戸川乱歩没後60周年記念作品「RAMPO WORLD」映画『3つのグノシエンヌ』
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テキスト:田代大樹
撮影:ぶん
スタイリング:藤崎コウイチ
ヘアメイク:工藤有莉
