1992年のテレビドラマ放送以来、超能力をテーマとした斬新なストーリーと、脳科学、哲学、ニューサイエンスへの深い考察で世界中に多数のフォロワーを生み出し、2000年代になってからも小説、コミックス、携帯ゲームなど複数のメディアで展開され続ける『NIGHT HEAD(ナイトヘッド)』。
2021年放送のテレビアニメ『NIGHT HEAD 2041』を基に、シリーズ初の舞台化作品となる『NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-』が東京・シアターGロッソで上演中。主人公の霧原兄弟を追い詰める、国家保安本部の特務部隊に所属する黒木兄弟を演じる、兄・黒木タクヤ役の曽野舜太、弟・黒木ユウヤ役の佐奈宏紀・矢部昌暉(Wキャスト)にインタビューを実施した。
思わず息を飲む迫力の超能力バトルと、運命に翻弄される人間ドラマを大胆かつ丁寧に演じる彼らの意気込みに触れ、ぜひ劇場で、配信で本作に触れていただきたい。
interview
本作への出演が決まり、『NIGHT HEAD』シリーズに初めて触れた際のご感想を改めて伺えますか?
佐奈:このクオリティのSFが、1992年に作られていたというのがすごいなと。今観ても全然面白いじゃないですか。あの時代に、これだけ“新しい”SFを作られていたというのがすごいなと感じました。
矢部:アニメ『NIGHT HEAD 2041』も近未来の世界観だったり超能力だったり、それに加えて二組の兄弟の表裏一体の話とか、すごく引き込まれる要素がたくさんある作品だなと思いました。気付いたらもう最終話まで観てた、という印象でしたね。
曽野:そうですね。“超能力”っていうのがすごい僕の中に響いて! やっぱ男心をくすぐられるというか、「俺もこんなパワー出してえ!」と思っていたところ、ちゃんとパワー出せる役だったので嬉しかったです(笑)。アニメを観ていく中で、このシーンはどうやって表現するんだろう、早く稽古したいなというワクワクとドキドキが生まれましたね。
曽野:ただ舞台では、アニメや小説でたっぷり描かれている内容を2時間くらいで伝えることになるので、どう表現されるんだろうと思いながら脚本を読みましたが、すごく分かりやすくて。これは舞台版で初めて『NIGHT HEAD』を観る方にも分かりやすく、僕たちのメッセージも伝わるんじゃないかなと思います。
佐奈:小説、上下でこれぐらいあって(両手で大きな幅をとる)、それがこれぐらいに(両手の幅をぐんと縮める)なっちゃってるんで(笑)、脚本家さんってまとめる能力がすごいなって思いましたね。
矢部:めちゃくちゃいい形にまとまってますよね。
佐奈:(立花)正幸のシーンなんか「あ、こうまとめられるんだ!」みたいな。舞台オリジナルになっているストーリーもあるんですけど、「これはこれでいいな」って思いましたね。
矢部:そう、だいぶ分かりやすくなっているんじゃないかなって思います。
佐奈:よーく読むと、「え、これどういうこと?」みたいなところもあるんですけど。
一同:(爆笑)。
佐奈:細かいところまで言うとまあ複雑なんですが、でもそれは原作が元々持っているミステリーの要素でもあるので。しっかり何回でも観てほしいなと思います。Wキャストですしね。
本作では霧原兄弟、黒木兄弟などがWキャスト。かつ「TEAM WHITE」「TEAM BLACK」という2チームに分かれて公演を行います。まず弟の黒木ユウヤを演じるTEAM WHITEの佐奈さん、TEAM BLACKの矢部さんにお互いの印象を伺えれば。
佐奈:「弟感すげーな」と思いながら見てます。
矢部:あはは(笑)。
佐奈:「絶妙な弟感だな……」みたいな。ちゃんと、相手のタクヤがお兄ちゃんに見えるような立ち回りを考えているんだろうなって思います。なので見ていてすごく勉強になりますね。
吸収できるところも?
佐奈:そうですね。「あ、かわいいな今の」とか「弟っぽ!」みたいな、守りたくなるかわいらしさみたいなのがすごい出てて。僕はなんか、おっさん感が……(笑)。
矢部:いやいやいや!(笑)
佐奈:そういうところは参考にさせてもらってますね。
矢部:佐奈さんは、あの……普段はまあ、すぐふざけたりとかするんですけど(笑)。
佐奈:ふっ(笑)。
矢部:明るくて、みんなで話してる時も結構中心にいるタイプの方なんですけど、お芝居に一歩入ったら、すごく真摯に向き合ってらっしゃって、なんかそのギャップが「ずりーな」って(笑)。
佐奈:はははっ!(笑)
矢部:かっけーなって思います。
佐奈:すいませんそんな……ありがとうございます。
兄・黒木タクヤ役の曽野さんから見て、お二人のユウヤはいかがですか?
曽野:Wキャストだからなのか、稽古中にお互いの演技をすごく見ているんだなと感じてました。僕は佐奈さんと一緒のTEAM WHITEなんですけど、昌暉くんのTEAM BLACKの稽古中に、佐奈さんの表情とかチラッと見るんです。昌暉くんが何かやった時に「ああ! やってるねえ」みたいな表情されてて、楽しんでるんですよね。それを見て「いい関係性だな」って思ってました。
佐奈:恥ずい。
一同:(笑)。
Wキャストの面白さですよね。自分とは違う引き出しがあったり。
矢部:シングルキャストの時は、自分が出てる作品を俯瞰で観ることってできないので。Wキャストだとそれができるから、知れる情報というのはやっぱりすごく多いですよね。
佐奈:自分には無い発想とかもありますし、「お、確かに!」とか「うわ、そこ俺も迷う迷う」みたいな共感もあったり、なんかすごく楽しいですよね。
タクヤ役の曽野さんは木原瑠生さんとのWキャストです。
曽野:そうですね。Wキャストだからこその共通言語というか、同じく分かり合えるところとかも出てきたので、切磋琢磨して頑張っております。稽古中も横の席だったので、ずっと話してましたね。
佐奈:でも元々は、一番遠くの席にいたんですよ。
曽野:ふふっ(笑)。
佐奈:でも、なんか「寂しい……ここらへんの席空いてます?」とか言ってきて、「いいよおいで! 空けるから!」って。
矢部:あはははは!
曽野:稽古に参加した頃はまだ緊張してて、どこに座ればいいか分からなくて……で、端っこに座ってたらたまたまそっちが女性のグループみたいな感じだったらしくて!
佐奈:はっはっはっは!!
曽野:で、その日は女性の方が全然来られてなかったので、僕だけ一人ポツンと(笑)。男性の方がみんな遠くにいたので、寂しくって。
矢部:かわいかったー。
佐奈:かわいかったなー。「おいでおいでおいでおいで!!」ってみんなで呼んで(笑)。
曽野:僕、歳的に一番弟なんですよ。だから今回面白いのが、兄役が普段だと年下で、弟役が普段だと年上なんです。
佐奈:逆転してるね。
お二人から見て曽野さんのタクヤ役はいかがですか?
佐奈:“弟のために必死になって頑張ってくれてるお兄ちゃん”みたいなものを、舞台上ですごく感じてます。「そんなお兄ちゃんのために僕も頑張んなきゃ」って思えるようなお兄ちゃんを作ってくれているので、僕の役の方向性とかも作りやすくなるんです。すごく助かるなって思いながら見てますね。
矢部:本当にめちゃくちゃ真っすぐだし、ユウヤのことを思ってるんだなっていうのがすごく伝わってきますね。普段はかわいらしいけど、役に入ったらちゃんとお兄ちゃんに見えてくる。特に僕にとっては直属の後輩でもあるので、普段からやっぱり「かわいいな」って思うことも多かったんです。なのですごくかっこいいなって思いましたね。
本作で演出を務める加古臨王さんについてもお聞かせください。
佐奈:加古さんが普通にプレイヤー(役者)っていうのもあると思うんですけど、最初からキャストに寄り添ってくれているというか、役者のことを第一に考えてくれていると思います。多分、加古さんが「僕が役者だったらこっちの方がいいな」みたいなことをベースに、僕たちに向けて行動してくれるので、僕らもすごく動きやすいし、めちゃくちゃ信頼できますね。役者としての悩み、「これ、どっちだと思います?」みたいなことも、演出家かつ役者の方に聞けるのはすごくいい環境なんじゃないかなって思います。
矢部:めちゃくちゃ優しくて物腰が柔らかい方なので、それもすごく良かったなって思います。だから稽古場の雰囲気もすごく良かったし、みんなで一緒になって考えながら、楽しく作っていってるなって感じがありますね。
曽野:本当にそうですね。一緒に作っていくっていうのをすごく第一に考えてくださる方で、(加古さんは)ステージ上には立たれないですけど、一緒に立っているような感覚になることが多くて。すごく親身に寄り添っていただいています。
「ナイト・ヘッド」とは、人間が使用されていないとされている脳の容量である70%の部分を指す言葉です。人間の持つ不思議な“力”はこの部分に秘められているとも言われていますが、皆さんの「ナイト・ヘッド」にはどんな能力が眠っていると思いますか?
佐奈:やっぱ、人を笑顔にする能力が欲しいなって……(美声で)。
曽野:はっはっはっは!
矢部:いやいやいやいや、十分あるじゃないですか(笑)。
佐奈:それか、やっぱり、愛する人を守れる力……そういったものが、欲しいですね。はい(美声で)。
矢部:ほら、こういうところなんですよ! こういうすぐふざけるところ!!
佐奈:でも、本当に何かあるとしたら、“闘争心”が眠っている気がしますね。なんか、ふとした時にそういう方を選ぶんですよね。急にラグビー始めたりとか。
一同:ええっ!?
佐奈:ずっとバスケとかサッカーとか色々なスポーツやってきたけど、高校で何やろうかなって思った時に、なぜかパッとラグビーを選んだんですよ、理由もなく。なんか内なる僕が選んだような、もしかしたら眠れる闘争心がそうさせたのかもしれない。本当に開花したらモリモリ筋肉もついて、ハルクみたいになるかも。顔はこのままベイビーフェイスで、体ハルクで。
矢部:あっはっはっは!
曽野:でっかいベイビーだね(笑)。
佐奈:そんな闘争心が眠っているような気は、どっかでしてますね。
矢部:なんだろなー……、でも、“やる気”だと思います。もちろん、やる気はちゃんとあるんですけど、僕結構スロースターターだし、本当に追い込まれなきゃできないタイプなんですよ。気を抜くと全く何もしなくなっちゃうので。頑張んなきゃやる気出ないんで(笑)、たぶん眠ってますね。でも今回は早めにギアかけていこうかなとは思ってるんですけど……。
“やる気スイッチ”を押す秘訣はあるんですか?
矢部:なんかこう、本当に追い込まれたら、ですね。自分がこう……どん底に落ちたら。
曽野:あははははは! そこまで追い込まれたら!?
矢部:そう、そこまで。
佐奈:追い込まれるしかないのか……じゃあ、加古さんに追い込んでもらって。
矢部:あっはっは! 泣いちゃうかもしれない(笑)。
一同:(笑)
曽野:でも、そこからスタートですもんね(笑)。
曽野さんはいかがですか?
曽野:覚醒しそうなのは、昌暉くんのようなベースとかギターですね。僕、この前ギターを始めたんですけど、手先が器用じゃなさすぎて、全然弾けなかったんです。なので、覚醒したらいけるんじゃないかなって思って。
それこそ先輩の矢部さんに教えてもらったり?
矢部:絶対に教えないです(笑)。
曽野:なんで!?(笑)
佐奈:あ、ちょうど稽古場にギターあるじゃん。
曽野:そう、確かに!
矢部:ぜっったいに教えないです!!
佐奈:なんで!?(笑)
曽野:ちょっと教えてよー(笑)。
矢部:やっぱりこうね、芽はどんどん摘んでいかないと。
一同:(爆笑)。
曽野:怖い先輩!
佐奈:(芽を摘むの)手伝います。
曽野:あっはっは!!
ちなみにギターで目標とかはあるんですか?
曽野:目標……無いです!
佐奈:無いんかい!!
曽野:ただ「触りたいな」と思って。
矢部:で、買ったの?
曽野:買って、ちょっと飽きちゃって……。
一同:(爆笑)。
曽野:今はもう、おしゃれなインテリアになってます。いつかきっと、どこかで……はい。
矢部:あははは(笑)。
最後に、劇場または配信で観劇を楽しみにしている方々に一言頂けますか?
佐奈:『NIGHT HEAD』が持っているSFの迫力や魅力を、ちゃんと加古さんも準備されているので、そういったところは舞台版でもぜひ期待していてほしいです。その迫力の裏にある人間ドラマ、この兄弟たちの葛藤や悩みといった部分を、今度は役者のみんながしっかり丁寧に話し合いながら作っているので、迫力とドラマと、しっかりとした2本の柱で見応えのある作品になっています。ぜひお楽しみに。
矢部:そうですね。それに視覚的にも面白い要素がすごくたくさんある作品になってますので、シアターGロッソという素敵な場所を最大限に活かして、映像なりアクションなり、たっぷりとお届けしていきます。
曽野:やっぱり一番の見どころは超能力のアクションだと思ってます。僕たちの見せる鮮やかなアクションと映像のミックスというのが、おそらく日本のここでしか観れないと思うので、ぜひ皆さん観に来てください!
佐奈:ギター弾くかもしれないしね。
曽野:ギター弾くかもしれないですし!(笑)
information
『NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-』
【日程】2022年7月1日(金)~7月10日(日)
【会場】東京・シアターGロッソ
【原作】飯田譲治/NIGHT HEAD 2041 製作委員会
【脚本】月森 葵
【演出】加古臨王
【出演】
霧原直人 役:猪野広樹・鍵本 輝(Lead)(Wキャスト)
霧原直也 役:横田龍儀・大崎捺希(Wキャスト)
黒木タクヤ 役:曽野舜太(M!LK)・木原瑠生(Wキャスト)
黒木ユウヤ 役:佐奈宏紀・矢部昌暉(DISH//)(Wキャスト)
双海翔子 役:中山莉子(私立恵比寿中学)・清井咲希(Wキャスト)
小林君枝 役:飯窪春菜
武藤玲佳 役:菅原りこ
曽根崎道夫 役:大原海輝
秋山 唯 役:立野沙紀(劇団4ドル50セント)
御厨恭二朗 役:河合龍之介
本田大輔 役:佐々木 崇
奥原晶子 役:悠未ひろ
アンサンブル:
塚田知紀、白崎誠也、小笠原竜哉、菅野慶太、佐々木駿也、村上歩夢、大澤えりな、吉浜あずさ
【配信】
7月8日(金)14:00公演、18:30公演(TEAM WHITE公演)
7月10日(日)12:00公演、16:30公演(TEAM BLACK公演)
詳細は公式サイトにて
officeendless.com/sp/nh2041
Twitter
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佐奈宏紀掲載
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内容:【椎名鯛造×佐奈宏紀(「BANANA FISH」The Stage -後編-)】
本文7ページ(対談+コラム&撮り下ろしグラビア)
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矢部昌暉掲載
『Sparkle vol.45』発売中
内容:【佐藤流司×矢部昌暉(ミュージカル『ジェイミー』)】
本文7ページ(対談+コラム&撮り下ろしグラビア)
+巻末綴じ込み佐藤流司・矢部昌暉ソロピンナップ
credit
テキスト・撮影:田代大樹
© 飯田譲治/NIGHT HEAD 2041 製作委員会
©『NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-』製作委員会