作・横山拓也、演出・瀬戸山美咲のタッグによる不条理劇『う蝕』が2024年3月3日(日)まで東京・シアタートラムにて上演中だ(3月9日(土)、3月10日(日)に兵庫、3月16日(土)に愛知公演あり)。
「う蝕」とは虫歯の正式名称。本作は坂東龍汰、近藤公園、綱 啓永、正名僕蔵、新納慎也、相島一之の男性キャスト6名が、陥没し人々を飲み込んでゆく災害に見舞われた島で、犠牲者の身元判明のために集められた歯科医師たちを演じる。実力派キャストによるスリリングな会話劇が展開される。
「Sparkle web」では坂東龍汰と綱 啓永にインタビュー。
互いに久々の舞台出演となる二人に本作への意気込み、本公演に向けたワークショップでのエピソードなどを語ってもらった。
interview
写真撮影時もお二人の仲の良さが存分に伝わってきました。
坂東:会うのは去年、この公演のビジュアル撮影の時以来だよね。
綱:半年ぶりくらいですね。
お二人は以前ドラマでも共演されていましたが、俳優としてお互いにどんな印象を持っていますか?
綱:めちゃめちゃ伸び伸びとお芝居をする人だなと思いました。それだけでなくいろんなところに気を配って現場も明るくしてくれていて、お芝居だけじゃないところでも役者としてのレベルがすごく高くて。真似しなきゃいけないなって思う部分がたくさんありました。
坂東:真似しなくていいよ(笑)。
綱:いやいや、しますよ!(笑)
坂東:でも啓永も……あ、「啓永」って呼んじゃった。前は「綱ちゃん」って呼んでたのに。
綱:嬉しいっす。でも俺「綱ちゃん」も好きですけどね。
坂東:綱ちゃんは初めて一緒にお芝居した時「元気なお芝居をされる人だな」って思いましたね。綱ちゃんが演じたのがテンション高い役だったんですが、そういう役って最初どれくらいまで上げたらいいのか、その加減が難しいんですよ。僕ならきっと、どれくらいまで上げたらいいか掴むために一回様子を見ると思うんですけど、綱ちゃんは最初からスコーンって気持ちいいぐらいに演じきっていて。元気なキャラクターや明るいキャラクターを清々しく演じる俳優さんだなって印象でした。
なんでなんだろう?と思ってよくよく観察していると、根も清々しいほどに明るくて突き抜けている人物で。素の自分を活かして、それを表現に繋げていけるタイプの俳優さんなんだなって思いましたね。どこか可愛さや愛おしさを感じるのも、きっと綱ちゃんが今まで歩んできた人生とかから滲み出てくるものだと思うし、そこがすごくチャーミングで素敵な魅力になっている。
綱:ありがとうございます。さすがに、自然にテンションの高いキャラをやれているわけではないですけどね(笑)。自分の中ではバシバシにスイッチを入れて頑張ってやってるつもりなんですけど、でも確かにそういう要素が自分の根っこにあるとは思います。
坂東:オフでも物静かな方ではないもんね。でも確かに、テンション上げていく大変さは俺にも分かる。
綱:ね、龍汰くんもいつも頑張ってやってくれてますよね。
坂東:今作で綱ちゃんが演じるのはそういう部分もありながら、ちょっと不思議な感じの役だよね。
綱:確かに〝不思議ちゃん〟かも。そういう意味ではさっき龍汰くんが「どこか愛おしいって思っちゃう」と言ってくれましたが、今回の役にもそういう部分をしっかり出せたらいいなって思います。
坂東:そこは多分、意識しなくても出ちゃうと思うから心配ないと思うよ(笑)。
綱:ふふっ(笑)。
逆に坂東さんが演じる役はどういったキャラクターになりそうですか?
坂東:今回、俺どんなキャラクター?
綱:ええ、俺が言うんですか!?(笑) とにかくずっと舞台上に出ずっぱりですね。回し役のような感じかな?
坂東:確かに。でも回し役でありながら回せていない、ちょっとどっちつかずなところもありますね。俺が演じるのも〝不思議ちゃん〟かも。
綱:たくさんいじられてますよね(笑)。
坂東:確かにね! 俺らはどっちも〝いじられキャラ〟かも。
そんなお二人と共演するのは近藤公園さん、正名僕蔵さん、新納慎也さん、相島一之さんと、錚々たる舞台俳優の面々。今回の公演に向けたワークショップでも衝撃を受けたとインタビューでおっしゃっていましたね。
坂東:緊張してたからね、俺ら。
綱:めちゃめちゃしてました! えっ、龍汰くんも緊張してたんですね?
坂東:俺もしてたよ! 二人でやった立ち稽古覚えてる?
綱:ありましたね。
坂東:俺らがトップバッターだったんですが、何していいか分からなくて! 普段は台本を覚えて現場に行くので、本を持ちながら相手の目を見たり相手のお芝居を感じるのがなかなか慣れなくて、ガッチガチでした。
綱:本当に難しかったです。終わった後、「……うわぁ」って感じでしたもん(笑)。
坂東:「何もできねぇ」って悔しい気持ちを抱えたまま席に戻ったら、次の組からめっちゃ面白くて。大爆笑。
綱:そう!! 自分のターン終わってホッとしてるのもあったと思うんですが(笑)、先輩方の芝居は本当にすごかったです。
坂東:僕蔵さんと相島さんのペアは最高でしたね。
綱:最高でしたね、めっちゃ笑いましたもん。
坂東:俺らの番が終わった後、僕蔵さんに「坂東くん、トップバッターで芝居してくれてありがとね。ヒントもらえたわ、盗ませていただきます」って言われて。そしたらまんまとめっちゃ面白いんですもん。
綱:へぇー!
坂東:でも、僕らみたいなまだまだこれからの役者からも貪欲にアイデアを盗もうとしてくださる、本当に素敵な役者さん方だと感じましたし、こっちも皆さんのアイデアや一挙手一投足を見逃さないように稽古していきたいなと思います。
綱:本当にそうですね。
ワークショップを通じて、本作で演出を務める瀬戸山美咲さんの印象はいかがでしたか?
坂東:ずっと笑ってました。
綱:笑ってましたね〜。優しくてふわふわした空気感の方でした。
坂東:妖精さんみたい。本当に優しい方です。
坂東さんは本作の劇作家である横山拓也さんの公演、iaku『モモンバのくくり罠』をご覧になったそうですね。
坂東:シアタートラムで観させていただいたんですけど、死ぬほど面白くて。観客全員を置いていかない笑いというか、みんなを巻き込んで一体となって笑わせて、その盛り上がりがどんどんどんどん膨らんでいって、最後にはちゃんと落ちがあって。素晴らしかったです。『う蝕』がより楽しみになりました。
綱:へぇ〜!
坂東:『う蝕』のワークショップでは、僕と綱の会話や、僕らが別の俳優さんと話している場面、そして僕らのお芝居を観察されていて。それを元に『う蝕』の台本を書き下ろしていただいているんですよ。
その『う蝕』ですが〝男性6名の実力派キャストが織り成す濃密な不条理劇〟とのこと。お二人はどう挑んでいきたいですか?
綱:稽古の合間は不安とか考える暇も無いので、バチバチに吸収しながら必死に進んでいくだけですね。一日一日を大事に、必死にもがいてしっかり頑張るだけです。
坂東:台本を読むと「『不条理劇』ってこういうことか」と一度、自分の中に落とせるんですけど、どこか落ちきってなくて。ずっと穴掘り続けられる本だな、と思っています。きっと公演最終日まで常に新しい発見があるんじゃないかな。皆さんと一緒に稽古して公演を重ねていくことで、常に作品としての〝うねり〟を増していくことができると思うので、常に気持ちを持続させた状態で挑みたいですね。一回読むだけじゃなかなか理解できない本だよね?
綱:できないです(笑)。
坂東:理解できないからこそ、面白いなって思っています。
2月10日の初日から兵庫、愛知公演も含めると3月16日の大千秋楽まで、公演を重ねることにより変化/進化していく部分があるかもしれないですね。
坂東:初日と最終日ではきっと自分自身も違うものを見つけているだろうし、2回以上観に来てくださるお客さんも、もしかしたら違う発見があるかもしれないですね。
綱:確かにそうですね。
坂東:それこそ瀬戸山さんがこの間やられていた、ピアノとダンスとセリフで構成された3人舞台『ある都市の死』を観させていただいたんですけど、セリフだけが決まっていて音楽とダンスは即興なんですよ。3日目の公演で「毎日全く違う舞台になる」って言ってらっしゃって。僕はその中の1回を観させていただいたんですけど、話によると2日目の公演が初日と全然違ったらしくて。
綱:へぇ〜! すごいですね!
坂東:そういった即興性や偶発性といったものが多分『う蝕』にもあると思うので楽しみですね。瀬戸山さんは役者に委ねてくださる部分も多いと思うので。
お二人は普段、映像作品を中心に活躍されている印象です。ファンの皆様も舞台でお二人をご覧になるのは新鮮なのでは?
坂東:舞台、最後に出たのはいつ?
綱:多分、3年前くらいですかね? 龍汰くんは?
坂東:6年前かな?(笑)
綱:6年前ですか! そしたら確かに〝鬼古参〟の方しか観てないかも(笑)。
坂東:鬼古参(笑)。
お二人を入り口に、『う蝕』で初めて舞台をご覧になる方もいらっしゃるかと思います。初めての観劇で二の足を踏んでいる方もいるかと思うのですが、背中を押す一言を頂けますか?
坂東:いやー、でも綱ちゃんのファンは「生で綱ちゃん観れるならぜひ!」っていう人が多いんじゃない?
綱:確かに生で芝居を観れることを楽しみにしてくれている方が多いと思います!
坂東:それに綱ちゃんのファンはライブ公演を通じて、実際に生で応援することに慣れてる人も多そうだよね。ガシガシ来てくれるんじゃない? 俺のファンとかは「どうしよう、どうしよう」って思ってる人いるかもしれないけど(笑)。
綱:そんなことないですよ!(笑)
坂東:でも、舞台だからってそこまで構えずに来てもらえる内容になっていると思います。必ず持って帰れるものがあると思う。僕はどの舞台をどのタイミングで観ても、必ず何かしら持って帰るものがあるんですよ。絶対あるよね?
綱:ありますね。
坂東:我々のファンの方でもそうですが、本当にまだ舞台を1回も観たことない人も多分たくさんいらっしゃると思うんです。まだちょっと「勇気がいるなぁ」って思ってくれている人は……、一応、我々もガッツリ出ているので(笑)、我々を入り口にぜひたくさんの方に観てもらえたら。同じ空間で同じ時間を2時間びっしり過ごすことって、映画やドラマではなかなかできないことですし。舞台ならではの機会だと思うので、僕自身もどういう風に受け取ってもらえるのかすごく楽しみです。だって普段とは全然違う姿を見せられるわけだから。
綱:本当ですよね。なのでぜひ、構えずに来てほしいですよね。僕自身も舞台を観に行った時にいつも感じますが、本当に画面越しと生とでは全然違うし、何かしら感じて何かしら持って帰ってもらえるものがあると思う。この『う蝕』という舞台も必ずそういうものになると確信しているので、来てくれた人の心に残るようなものを届けられたらいいなって思ってます。
坂東:最後、幕が閉じた時の独特な高揚感というか、自分が舞台に立っていたわけではないのにそこにいたかのような感覚があるよね。
綱:うんうん、確かに。
坂東:その気持ちのいい疲労感みたいなものをいつか板の上で味わいたいと思って6年経っていたので、今作は本当に楽しみですね。そして、僕らのことを知らないでこの舞台を見に来てくださる方にはその期待を裏切らないように、初心に戻ったつもりで板の上に立たせてもらえたらなと思います。
『う蝕』を終えてからも舞台はやっていきたいですか?
坂東:やっていきたいです!
綱:定期的にやれたら嬉しいですね。
『う蝕』以降のお二人のご活躍にも期待が高まります。まだ情報解禁前のこともあるかと思いますが、ファンの皆様に楽しみにしておいてほしいことはありますか?
坂東:言いたいこと……いっぱいあるよね?
綱:ありますね〜(笑)。まずはこの『う蝕』で間違いなく、2024年のいいスタートダッシュが切れると思うので!
坂東:確かにね! 僕は4月からアニメ「オッドタクシー」の世界から生まれた新ドラマ「RoOT / ルート」が控えているので、それもすごく楽しみにしていてほしいですね。
綱:僕も色々と、3月からは映画『恋わずらいのエリー』も公開になりますし、その先も……、あんまり言うと匂わせすぎちゃうので言えないですけど(笑)。
information
『う蝕』
【日程】2024年2月10日(土)~3月3日(日)
【会場】東京・シアタートラム
【日程】3月9日(土)、3月10日(日)
【会場】兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【日程】3月16日(土)
【会場】愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【作】横山拓也
【演出】瀬戸山美咲
【出演】
坂東龍汰 近藤公園 綱 啓永/正名僕蔵 新納慎也/相島一之
【チケット】
オフィシャルサイト
setagaya-pt.jp/stage/2132
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坂東龍汰さん・綱 啓永さんのサイン入りチェキを1名様にプレゼント
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credit
テキスト:田代大樹
撮影:平田景子
スタイリング:[坂東]李 靖華/[綱]三宅 剛
ヘアメイク:[坂東]OLTA 後藤 泰/[綱]牧野裕大(vierge)
衣装協力=[坂東]ジャケット:VETRA(Bshop 03-5775-3266) ニット、シューズ:MARGARET HOWELL(03-5785-6445) パンツ:MHL.(03-5785-6445)
[綱]ジャケット:アズ スタンダード(アドナスト ミュージアム 03-5428-2458) シャツ:メゾン オルタナティブ(ヘムト PR 03-6721-0882) パンツ:イロコイ(03-3791-5033)