【加藤大悟】ミュージカル「贄姫と獣の王〜the KING of BEASTS〜」【主演インタビュー】

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瘴気漂う禁忌の世界の孤独な王・レオンハートと、彼の99番目の生贄として捧げられた少女・サリフィとの運命を描いた優しくも勇敢な物語「贄姫と獣の王」がミュージカル化される。
主演を務めるのは加藤大悟。大好きなミュージカルでの初主演、すでにどっぷりと『贄姫と獣の王』の世界観に魅了されているという彼に、高鳴り始めている胸の内を語ってもらった。

かとう・だいご
2000年9月19日生まれ、愛知県出身。最近の主な出演作に、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ(山姥切国広 役)、舞台『魔法使いの約束』シリーズ(ヒースクリフ 役)など。2023年3月10日より、ミュージカル『刀剣乱舞』 ~陸奥一蓮~(山姥切国広 役)、6月1日より、舞台『魔法使いの約束』エチュードシリーズPart1(ヒースクリフ 役)、6月28日より、舞台『魔法使いの約束』オーケストラ音楽祭~main story~(ヒースクリフ 役)への出演を控える。Twitter

interview

初めに本作への出演が決まったお気持ちから伺えますか?

加藤:舞台で主演を務めさせていただくのが初めてなので、本当にすごく嬉しくて心から頑張りたいと思ったし、でも「こんな自分に何ができるんだろう」とか、不安や緊張の気持ちもすごくあります。もちろん自分自身「いつかは主演という立場になれたら……」と思っていましたが、想像していたよりも早くお話を頂いて、最初は「えっ、本当に!?」って。
去年は特に大きい舞台をたくさん経験させていただいてとても充実した活動をしていたんですが、その真っ最中にこの作品への出演が決まったので、自分でもまた新しい扉が開いたかのような思いで──まだ23歳、ちょっと早いかも、とも思いましたが、この機会に改めてこのお仕事にしっかり向き合って頑張っていきたいなってって、身が引き締まりました。

原作はご存じでした?

加藤:はい! 僕はアニメが大好きで、毎シーズン「今期はどんな作品があるんだろう」ってチェックしているので、「贄姫と獣の王」も1話から知っていたんです。原作は舞台が決まってから読みましたが、まず物語の導入がめっちゃ好きで……って、話し始めるとオタクが止まらなくなっちゃうんですけど(笑)。
まずサリフィが生贄として連れてこられて、たぶんそこでもうサリフィは王の本質を見抜いていたんだと思うんですよね。だから王自身もサリフィにだけは本心を真っ直ぐ伝えられたんだと思うし、その始まりのドラマが素敵だなと。原作を最後まで読んで「ここまでの展開のあれとかこれとか全部伏線だったんだ! すごい!」と思い、また最初から読み直して「この物語すごっ!」と感動しました(笑)。あまり喋りすぎるとネタバレになってしまうので控えますが、「贄姫と獣の王」の物語はレオンハートもサリフィも周りのキャラクターも、愛を知ってどんどん成長していくのが魅力。途中でキャラクター同士が嫉妬やモヤモヤした思いを抱いたり、ヒリヒリとした展開もあったりして、本当に最高の作品ですよね。

魅了されてますね〜。

加藤:ですね。もうすでにハマってしまって何度も読んでいて、家族に引かれるぐらい(笑)、読んでる最中ずっとニヤニヤしています。読み返すたびに毎回発見があるんですよ。

レオンハートのキャラクターについてはどう捉えていますか?

加藤:僕は魔族でもないし獣の王になったこともないし高貴な生き方の経験もないですが、彼は色々なことを乗り越えながら王であることを受け入れている。でも内心では絶対に拭えないコンプレックスがあって……絶対に民には知られてはならない秘密を隠しながら人々の頂点に立つのって、相当の覚悟が必要だと思うんです。そういうところで「この人すごいな、かっこいいな。もし自分だったら……」と考えたら、すごく感情移入してしまって。レオンハートと同じように自分も苦しみながら原作を読み進めていった感じでした。
そして、孤独に包まれた王の人生に突然現れた一筋の奇跡がサリフィ。「そばに誰かがいる」っていう愛情の温かさや大切さを改めて感じました。レオンハートの考え方は、「そこ分かる」「そういう気持ちになるよね」と共感できることが多いです。
あと、ファンの方たちにはよく「犬っぽい」って言われるんです(笑)。ただ自分としては「ガタイがいいので犬ではないかな、でも確かに何かしらの獣っぽいかなぁ」とは思ってて。

そこからの〝獣の王〟!

加藤:はい。そこについては「やってやったぞ」って感じですね(笑)。発表されるのが楽しみでした。なんと言うか、「みなさんが見たかったものが見られるかもしれませんよ」っていう気持ちです。

しかも今回はミュージカルです。「贄姫と獣の王」、ミュージカルにとても似合う世界観だなと思いました。

加藤:レオンハートは獣の姿と人の姿、二つの姿があるので、それぞれの姿でそれぞれに歌のシーンがあるのかなと思うと、とても緊張します。お芝居も歌も、それぞれの姿によって微妙に違った心情を表現することになるだろうなと思うので……。

アウトプットの仕方が二通りになってくる。

加藤:その差別化はすごく楽しみな部分でもあり、すごく難しい部分だと思っています。獣の姿と人の姿の〝真ん中〟の心情とかもあるだろうし……ドラマシーン、戦いのシーン、いろんなシーンでの歌があるだろうなって勝手にどんどん想像しちゃって、うん、やっぱり不安より楽しみですね(笑)。今は自分で想像しているだけですが、稽古に入ったら演出の上島(雪夫)先生やカンパニーの皆さんとそういうところもしっかりコミュニケーションを取り、話し合いながら、素敵な作品にしていきたいです。役に入っていくのはもちろんですが、まずは皆さんと仲良くなることが大事。そして、僕も座長として自分ができること、やるべきことをしっかりとやっていきたいです。

2.5次元ミュージカルならではの表現もあるかと思います。

加藤:2.5次元ミュージカルはやはり原作という確固たる正解があるわけで、僕は原作に描かれているキャラクターの性格や細やかな心情を俳優が噛み砕いて演じていくのって、すごく素敵なことだなと思うんです。レオンハートは人間の姿にもなるので、その時の気持ち、寂しさや悲しさのような心情の表現は、本来自分が持っているところからのアプローチができる面白さもある。そうやって俳優としての自分とすでに正解があるキャラクターとしての表現との間で様々な駆け引きをしながら作っていくことに、「2.5次元をやっていて楽しいな、面白いな」とかの簡単な言葉じゃなく、もっとずっと、すごく奥が深いなと感じるんです。最初に確固たる正解と言いましたが、むしろ逆にそういう表現の世界は正解があるけど無い、みたいな領域だったりもして。

「ひたすら追い求めていく」ような感覚ですね。

加藤:そうなんですよ! 原作には絶対届かない、でもずっと〝それ〟を探求していく感覚。そこに向けてどんどんどんどん、関わってくださる皆さんと一緒にひたすら追い求めていく形がエンタメとしてすごく素敵なことだと思いますね。本番ではぜひそういう表現の探究の化学反応を楽しんでいただけたらと思います。

では、加藤さん自身にとって「表現」の根源とは?

加藤:僕自身、元々歌が大好きで、アーティストになりたくてこの世界に飛び込みました。それから舞台に出演させていただくようになって、「歌って全てに繋がっているんだな」と強く感じる瞬間がたくさんありました。役者としてお芝居の中で歌う時や、ステージで好きな曲をカバーしたりユニットで自分の楽曲を歌ったりする時、歌という表現の中で「こういう感情もあったな」と感じます。役者だけではなくて、アーティストだけでもなくて、自分のやりたいことが「エンターテインメント」で全部繋がっている、それってすごく素敵なんだなということに気付けたというか。なのでこれからも歌に舞台に色々なジャンルに挑戦していって、色々なことを吸収しながら自分の表現をしていけたらいいなと思います。

今回の初主演もまたその新たな一歩ですね。

加藤:大きな一歩すぎます! しかも自分の大好きなミュージカル、歌でもお芝居でもたくさん表現できる作品での主演、とてもありがたい機会を頂きました。舞台ってその日の役者さんの熱量で……少しお芝居のニュアンスが変わるだけでシーンの流れも変わっていくし、それによって作品がより良い方向に変化していくじゃないですか。あの緊張感、ヒリヒリとした空気を感じるのがとても好きなので、僕もそういう空気感を生み出せたらと思っています。座長として、頑張りたいですね。

ターニングポイントがやってきた実感が。

加藤:舞台に出演させていただくようになってもう4年目。ここからはやっぱり頼るだけじゃなくて自分からも発信する力をちゃんとつけなければいけないと思うので……主演という立場を頂いての最初の挑戦、全てをぶつけていきたいなと思います。台本を読み込んだり作品について深く考えたりすることも大切ですが、誰よりも強い気持ちをもって、周りを僕から突き動かせるようにならなきゃいけないと思うので、そこは自分の中の課題でもありますし、大きな目標でもあります。

今からこの舞台を楽しみにしている皆さんに、改めてメッセージを頂けますか?

加藤:漫画の良さって、何もかもに対して自分の中の想像を膨らませて解釈する、みたいなところだと思っています。一方、舞台はそこにもう色があって、声があって、音もあって、情景もあって、それを僕たち役者が演じる物語をお届けする。そこで生まれるものが、「新しい発見」として受け止めてもらえたらいいなと思いますし、原作の読者の方が舞台を好きになり、舞台を観た方が原作を好きになるきっかけになる、そうやってお互いにお互いのフィールドを広げる場にもなったら、とても嬉しいです。「あの場面がこういうシーンになったんだ」とか、「あのシーンは漫画ではどう描かれてるんだろう」とか、舞台を観終わった興奮冷めやらぬ内にそんなことを確認したくなるような、そういう相乗効果が生まれたら本当に素敵ですよね。「贄姫と獣の王」の世界を一緒に作り上げていけたらすごく幸せだと思います。そういう幸せな空間を作り上げられるよう頑張りますので、皆様もぜひ、期待して待っていてください。

information

ミュージカル「贄姫と獣の王〜the KING of BEASTS〜」

【原作】「贄姫と獣の王」友藤結(白泉社・花とゆめコミックス)
【脚本・演出・振付】上島雪夫
【作詞】浅井さやか(One on One)
【音楽】八幡 茂

【出演】
加藤大悟 他

stage-niehimekob.jp
Twitter

story

人間を寄せつけない瘴気漂う禁忌の世界。 

そこにはかつて人間を喰らい支配した異形の眷属と魔族を統べる王がいる。

異形の眷属の王の 99 番目の生贄として捧げられた少女・サリフィは、

供儀の夜、何者も寄せ付けない孤高の王・レオンハートの真実の姿を知る。

ひとりぼっちの少女と孤高の王の隠された心が触れあい、二人の運命は大きく動き出す。

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加藤大悟 掲載
『Sparkle vol.50』発売中

Amazon商品ページ
楽天ブックス商品ページ

内容:《『ヒプステ』よりナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”が登場!》
波羅夷空却(廣野凌大)×四十物十四(加藤大悟)×天国 獄(青柳塁斗)
(『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《Bad Ass Temple VS 麻天狼》)
表紙+巻頭特集:インタビュー+コラム&撮り下ろしグラビア
+巻末綴じ込み付録:ツヤツヤ厚紙3shotピンナップ

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テキスト:横澤由香
ヘアメイク:水﨑優里

©友藤 結・白泉社/「贄姫と獣の王」舞台製作委員会

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