【樋口裕太×佐々木喜英】ミュージカル『薄桜鬼 真改』藤堂平助 篇【インタビュー&グラビア】

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シリーズ累計100万本を超える大人気ゲーム『薄桜鬼』を原作としたミュージカル『薄桜鬼』。シリーズ18作目となる「真改 藤堂平助 篇」が2025年6月20日(金)~6月29日(日)、東京・天王洲 銀河劇場にて上演される。

本作で主役を張るのは2018年の「志譚 土方歳三 篇」より7年間、藤堂平助を演じ続けてきた樋口裕太。
「Sparkle web」では主演の樋口と、風間千景を演じる佐々木喜英にインタビューを行った。
これまでの共演で培ってきた二人の関係性が伝わるやり取りと、繋ぎ続けてきたミュージカル『薄桜鬼』への想いが伝わる言葉の数々に、本作への期待が高まる。

interview

樋口さんは2018年の「志譚 土方歳三 篇」より7年にわたり藤堂平助を演じ続けてきました。満を持しての「真改 藤堂平助 篇」ですが、お話を聞いた際のお気持ちはいかがでしたか?

樋口:嬉しかったですし、「いよいよだな」と感じています。これまでもミュージカル『薄桜鬼』(以下、「薄ミュ」)に懸ける思いは強かったので、準備は万端でした。なので、あとはこの公演に自分がこれまでやってきたものを全て乗せて、悔いなく「真改 藤堂平助 篇」を完走できたらと思っています。

ひぐち・ゆうた
1995年2月14日生まれ、東京都出身。最近の主な出演作に、ミュージカル「DREAM!ing」シリーズ(新兎千里 役)、SHOW×MUSICAL「ドリームハイ」(高校生ジェイソン / ホヨル 役)、「超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ」(ヘッポコ丸 役)、ミュージカル「ヘタリア~The glorious world~」(ロマーノ 役)など。X(Twitter)

佐々木さん演じる風間は前作の「真改 土方歳三 篇」(2024年)とはまた異なる立ち位置をとるかと思いますが、「真改 藤堂平助 篇」に臨む今のお気持ちは?

佐々木:風間は「真改 土方歳三 篇」でしかあんなに叫んだり怒鳴ったりしないですから、前作では土方 役のクボヒデ(久保田秀敏)から毎回パワーをもらって、僕もそれを返してという血の通ったお芝居をしながら、二人で作り上げてきた記憶があります。
今回の「真改 藤堂平助 篇」では風間の立ち位置が全く違う形になると思うんですが、2023年の「真改 山南敬助 篇」の最後に、原作には無いんですけど、風間と土方がちょっと共闘するみたいなシーンを(演出・脚本の)西田(大輔)さんが作ってくださったんです。風間は羅刹の存在を許していないので二人の共闘が成立したんですが、そういう意味での共闘が、もしかしたらこの「真改 藤堂平助 篇」ではもっと色濃く描かれるのかもしれないと思っているので、その辺りも楽しみにしています。

ささき・よしひで
1987年10月4日生まれ、東京都出身。最近の主な出演作に、舞台「鬼滅の刃」シリーズ(鬼舞辻󠄀無惨 役)、ミュージカル「Fate/Zero」~The Sword of Promised Victory~(雨生龍之介 役)、舞台「鴨乃橋ロンの禁断推理」(マイロ・モリアーティ 役)、「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE シリーズ(レイン・エイムズ 役)など。X(Twitter)

その西田さんからバトンを受け継ぎ、前作の「真改 土方歳三 篇」から脚本・演出を再び毛利亘宏さんが手掛けることになりました。稽古期間や本番中での印象的なエピソードやお言葉などはありましたか?

樋口:毛利さん、とにかく楽しそうでした!

佐々木:ふふふっ。

樋口:すごく少年のような顔をして稽古に臨まれていて、この毛利さんが作る流れに俺らが乗ったら絶対良いものが生まれるなって思いました。プラス、クボヒデさんが本物の武士のように自分を追い込んでいて。俺らに出来ることって支えることしか無いと思うので、少しでも支えになりたいとクボヒデさんの背中を追いかけていましたね。毛利さんクボヒデさんを筆頭に稽古場の活気がどんどん溢れていって、全員が同じ方向に向かっている感じがすごくしていました。

佐々木:毛利さんって毎回、稽古初日にワークショップをやってくださるんです。名前鬼やキャッチボールといったお芝居の基礎みたいなことをやってくれるんですが、「ああ、毛利さんの現場に来たな」って感じる瞬間でもありまして。「真改 土方歳三 篇」ではその中で一人3分くらいのスピーチをしたんです。そのテーマが「自分の人生の中で一番感謝を伝えたい人」というもので。それによってみんなの生い立ちだったりとか、そういうことが全部分かったように感じるとても意味のある濃い時間で、稽古初日にして千秋楽のような気持ちになったのがすごく印象に残ってますね。

「真改 土方歳三 篇」では、佐々木さんが久保田さん演じる土方歳三と繰り広げた苛烈な死闘が未だに脳裏に焼きついています。

佐々木:毎回お芝居が日によって違って、本当にステージ上でクボヒデが生きているんだなっていうのをすごく感じましたね。お芝居だけではなくアクションも日によって「今日はここが強い」、「今日はこっちが強い」といった緩急がすごくあったので、それによって僕も血の通ったお芝居が出来た。やっぱり2.5次元作品って原作があるので、お芝居も結構なぞりがちになってしまうことがあるんですが、そこは本当にクボヒデに助けてもらった感覚があります。

今作では樋口さんが座長を務めるということで、前作の座長である久保田さんから受け継いだものや、逆に「自分はこうしたい」といったビジョンはありますか?

樋口:俺、「真改 土方歳三 篇」ラストの土方と風間が戦うシーンを、舞台袖の客席から見えるか見えないかくらいのギリギリのラインでしゃがんで、毎日見てたんです。

佐々木:えっ、そうだったんだ!

樋口:見てた! それこそ今ヒデ様(佐々木)が言ってた通り毎回違うし、何よりもお互い楽しそうにやってるんですよ。もう、ニヤニヤしながら。袖から見ながら「かっけえなぁ……!」って震えてました。でもそれはあくまでも土方と風間であって、俺が目指すところではないなっていうのも思っていて。ただシンプルに、みんなの“絆”みたいなものを大切にやっていきたいなって思ってます。やっぱり、今まで同じメンバーでずっとやってきたので。もう本当にそれだけです。

お馴染みの座組で何年も届け続けているからこそ、ですね。皆さんにとってはある意味“劇団”のような存在でもあるのでしょうか?

樋口:いや、それはいい意味で無いです。みんなずっと一緒にいますけど、みんなそれぞれ各々のことをしっかりやっているような感じですね。

佐々木:うんうん。

樋口:でもちょっと話は変わるんですが、ヒデ様は地方行った時とか、ご飯に誘ってほしそうにしてるんですよ。俺は気付いてます!

佐々木:はははははは! まあ、そうね(笑)。

樋口:俺は原田左之助 役の川上将大と二人で飯行くことが多いんですけど、たまにヒデ様が楽屋に一人残っていることがあるんです。「あれ? この時間までヒデ様いるの珍しいな」と思って、俺と将大くんで誘うと、ヒデ様めちゃくちゃいい笑顔で「行く! 行く行く!」って言うんですよ。ほら、やっぱり誘ってほしかったんだ!って(笑)。でもサウナだけには絶対来ないんですよ。

佐々木:サウナは暑いの苦手なんだよ(笑)。僕は自分から誘うタイプじゃないので、「ヒデさん、ヒデさん」って来てくれる人とばっかりご飯行っちゃいますね。鬼チームだと不知火 役の(末野)卓磨くんとかが毎回セッティングしてくれるんですが、それ以外では毎回「今日はどこについていこうかな?」って、どこかしらについていくタイミングを見計らってます。

お食事中はお芝居のお話もされるんですか?

樋口:マジでしないです! びっくりするくらいしないんですよ。会話した内容も覚えてないくらいです(笑)。

佐々木:ははははっ、そうだね(笑)。

あくまでも息抜きの時間なんですね。お二人とも同役を長く演じ続けていらっしゃいますが、繰り返し長く演じてきたからこそ見えてくるものや、「今度はこう演じてみよう」といった新たな試みなどはあったのでしょうか?

樋口:いっぱいあります。平助はめちゃくちゃ寂しがり屋で、本当はみんなと一緒にいたいんですよ。でも若いからこそ他とぶつかったり悩んだりして、だけど結局最後まで自分が人間として、男として生きていくということを曲げなかった奴だと思うんです。俺が平助を作る時はとにかく毎回、本当にその場で生きているという感じで作っているので、だから毎回「こうしたい、ああしたい」というのはあえて考えないようにしています。それにとらわれちゃうので。その時あったことに対して自分がどれだけ平助としていられるか、というのを目標にやっています。

佐々木:僕が風間を演じたのは2017年からなんですが、僕、原作で風間の声優をされている津田健次郎さんの声が大好きなんです。すごくかっこよくて渋い声で。2017年の「原田左之助 篇」ではその声を再現したいと思い挑んだのですが、そのせいか声ばかり意識してしまって、そっちの方ばかり考えてしまっていたな、という記憶がありまして。
でも回を重ねるごとに、さっき言ったクボヒデとの正面からのぶつかり合いのように本当に血の通ったお芝居をすることが出来て、風間としてもどんどん変化していっているのを僕自身も感じています。なので今回は原作にしっかり寄り添いつつ、そういったリアルなお芝居もより追求したい。どっちも追い求めるって本当に難しいことなのですが、そこを目指してやっていけたらいいなと思っています。

公演ごとに異なるルートを演じることにより、また別の角度から各キャラクターを見ることで新たな発見などもあるかと思います。今回の「真改 藤堂平助 篇」でも過去作とは異なる平助と風間の関係性が描かれそうですね。

樋口:多分、風間との距離感が今までで一番近付くと思います。楽しみでしかない!

佐々木:ふふふっ。

樋口:かなりの共演回数を経て、今のヒデ様との関係性で「真改 藤堂平助 篇」をやれるのがすごく嬉しいです。この距離感が作品にいい影響を与えるんじゃないかなって。

佐々木:うん。本当にそうですね。

これまでの共演経験を振り返って、改めて役者としてお二人はお互いにどのようなイメージを持っていますか?

樋口:ヒデ様は完璧主義者ですね。もう、角度から完璧!

佐々木:はははははは! 角度!?

樋口:1ミリでもずれたらもう、「今日は違うな」みたいになりそう。だからこそ完璧なんだろうなと。ヒデ様はもう存在自体が作品なんだと思います。美術館です。

佐々木:美術館!?(笑)

樋口:「歩く美術館」って書いといてください!(笑)

佐々木:(笑)。でも確かにこだわりは強いと思います。僕、歩数とかもあらかじめ決めちゃうんですよ。「この殺陣の始まりは絶対に右足から入って、3歩進んだところで刀を合わせて」みたいな。それがちょっとでも狂っちゃうと、「あれ、どっちの足を出すんだっけ? ああ、もう〜!」ってパニックになったりも(笑)。自分の型が確固としてある方だと思うのですが、でもそれはいいところでもあり自分の弱点だとも思っていて。より柔軟なお芝居をしていきたいなという思いもあるので、自分の型をいい意味で崩していけたらいいなと思いますね。

佐々木さんは役者としての樋口さんにどんなイメージを抱いていますか?

佐々木:いや、もう本当にめちゃめちゃ絡んでくるんですよ!

樋口:いや何それ!? 「どんなイメージですか?」って聞かれて「めちゃくちゃ絡んでくるんですよ!」って!(笑)

佐々木:さっきもスタイリストさんと「靴どうしますか?」って選んでいたんですよ。そしたら「ヒデ様は裸足でいいですよ!」って。いちいち何か言ってくるんですよね!(笑)

樋口:あははは! いや、なんかヒデ様って完璧で「いじってはいけない人」みたいな感じがあるじゃないですか! 俺はそれが嫌なんです!!

佐々木:でも逆に絡んでくれるのが嬉しくて!

樋口:だって、こんなに可愛い先輩いないですよ!

佐々木:他の座組だとこんなに絡んでくれる人ってなかなかいないんですよ。だから嬉しくて(笑)。前回かな、前々回かな? カーテンコールで風間と平助が隣同士だったんですよ。なんか、隣からの殺意がすごくて! 隙あらば切ってくるんです!(笑)

樋口:はははは! だってずーっと正面向いて動かないんですよ!(笑)

佐々木:そんなやり取りを毎回やっていましたね。ファンの皆さんもそれを楽しんでくれていて。

樋口:写真撮影タイムでも銅像みたいに動かないですし。

佐々木:撮影の時は色々とポーズを変えるんですが、変える瞬間も皆さんずっと連写で「パシャパシャパシャ」って撮ってらっしゃるんですよ。でもポーズを変える瞬間って美しくないじゃないですか!

樋口:ほら、だから「歩く美術館」なんですよ!

佐々木:あんまり美しくない瞬間を残してほしくないなと思って(笑)。

樋口:それを見てたらどうしても絡みたくなって。我慢できなくてちょっかい出しちゃいました(笑)。

そういったやり取りからもお二人の素敵な空気感が伝わってきて、ますます「真改 藤堂平助 篇」が楽しみになります。最後に開幕を楽しみにしている方々へ一言ずつ頂けますか?

佐々木:今回は千姫が加わったり、それこそ千鶴も新たなキャストだったりと、いつもとちょっと違うメンバーで挑む「真改 藤堂平助 篇」ですが、毎回毎回その年の公演に臨む際は「このメンバーでやれるのはこの年しかない」と僕は思っていて。それによって「薄ミュ」自体がどんどん進化していって、それこそ桜のようにその時期しか見れない貴重なものに、そして力強くて美しいものになっていると思うんです。今年の「真改 藤堂平助 篇」も満開の桜をぜひ楽しみにしてもらえたら嬉しいです。

樋口:これまで平助を演じてきたことで、いろんなことを経験して、いろんな背中を見てきて。そしてこの「真改 藤堂平助 篇」でいよいよ前に立つということで、本当に平助のように風を起こして、季節外れですが桜吹雪を客席に届けたいなと思っております。ぜひ、劇場でお待ちしております。

information

ミュージカル『薄桜鬼 真改』藤堂平助 篇

【日程】2025年6月20日(金)~6月29日(日)
【会場】東京・天王洲 銀河劇場

【原作】オトメイト(アイディアファクトリー・デザインファクトリー)
【脚本・演出】毛利亘宏
【音楽】坂部 剛
【振付・ステージング】本山新之助
【殺陣】六本木康弘

【出演】
藤堂平助 役:樋口裕太
雪村千鶴 役:岡田真祐子

土方歳三 役:久保田秀敏
沖田総司 役:北村健人
斎藤 一 役:大海将一郎
原田左之助 役:川上将大

永倉新八 役:小池亮介
山崎 烝 役:田口 司

山南敬助 役:輝馬
近藤 勇 役:井俣太良

風間千景 役:佐々木喜英
天霧九寿 役:横山真史
不知火 匡 役:末野卓磨
雪村綱道 役:川本裕之
千姫 役:斉藤瑞季

アンサンブル:笹原英作、齊藤大士、鼓太郎、滝山翔太、寒川祥吾、坂本和基、橋本征弥、相田真滉

【チケット】
一般発売(先着):発売中
ローソンチケット
銀河劇場チケットセンター

www.marv.jp/special/m-hakuoki
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テキスト:田代大樹
撮影:平田景子
ヘアメイク:吉田梨々花

©アイディアファクトリー・デザインファクトリー/ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会

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