ミュージカル『薄桜鬼 真改』山南敬助 篇が本日2023年4月8日より東京・シアター1010にて開幕。先駆けて行われたゲネプロレポート、舞台写真が到着した。
また山南敬助 役の輝馬、雪村千鶴 役の青木志穏、土方歳三 役の久保田秀敏、藤堂平助 役の樋口裕太、南雲 薫 役の星元裕月によるオフィシャル会見も行われ、各々が本作に懸ける意気込みや稽古中のエピソードを和やかな雰囲気の中、時に笑いも交えつつ語ってくれた。
本作は4月8日(土)~16日(日)まで東京・シアター1010にて、4月22日(土)、23日(日)には大阪・サンケイホールブリーゼにて上演される。
さらにシアターコンプレックスにて、4月23日(日)12:00公演、17:30公演のライブ配信も決定。この歴史ある「薄ミュ」の新たなる一歩をぜひその目に焼き付けてほしい。
report
舞台上がカッと赤く照らされた刹那、次に目に飛び込んできたのは苦悶の表情で床を這いずる山南の姿だった――ミュージカル『薄桜鬼 真改』山南敬助 篇、シリーズ初上演のエピソードは、そんなダークファンタジーテイストに満ちた衝撃的な幕開けに。
山南を演じるのは同役で長くシリーズを支えてきた輝馬。
新選組の中ではいち早く羅刹となり望まぬ形で集団からはみ出しながらも自分だけのやり方で“誠”を貫いてきた山南は、これまではどちらかというと狂気を強く滲ませるキャラクター造形だった。
しかし本作では圧倒的な歌唱力と抑制の効いた感情、そして深い愛情とほとばしる情熱と信念とを内包した山南として、誰よりもまっすぐに、そしてスタイリッシュに魅せていく。
そんな山南を誰よりも理解し、決して見失うことなくしなやかな愛情で鼓舞し続ける雪村千鶴を演じるのは青木志穏。輝馬のハイトーンと青木の澄んだ歌声が奏でる“愛の歌”の美しさも眩しかった。
新選組の活躍の裏で暗躍していた山南が主軸なだけに、千鶴と生き別れの双子の兄・南雲 薫(星元裕月)との因縁、山南と藤堂平助(樋口裕太)との友情の深さ、羅刹に対して抱く土方歳三(久保田秀敏)の思いなどにフォーカスしたストーリー展開はこれまでの「薄ミュ」とは異質な面白さ。
羅刹という存在自体への興味も含め、「あの物語の裏でこんなことが起こっていたとは!」という驚きと納得の連続で、改めて『薄桜鬼』というドラマの持つ多面的な魅力を味わわせてもらった。
劇中に繰り返し浮き上がる「光」と「闇」というキーワードは言葉としても心に刺さってくるが、ほぼ転換のない戦乱後の廃墟のようなセットをあらゆる場面に見せていくコントラストの効いた照明や色のインパクトといった“視覚”からも強く印象づけられたように思う。
序盤からずっと続いていた心臓音にも似た重低音のビートと、そのサウンドに急き立てられるようなスピード感で新選組を取り巻く“事件”を次々に描写していた1幕と、多くのキャラクターの心情に寄り添いながら丁寧にドラマを紡いでいった2幕という構成も鮮やか(ステージから客席へと繋がる階段も多用され、客席を巻き込んでの緊張感と臨場感も!)。
これは「自分は何者か」という苦悩の果てに揺るぎない「希望」を見つけていく人間の道程の記録。演出家・西田大輔の美学と山南敬助の生き方の美学がマッチした、エッジの効いた空間で味わう“熱” も格別だ。
「薄ミュ」史にまたひとつ、勇敢な足跡が刻まれた。
comment
輝馬(山南敬助 役)
これは、今までにないミュージカル『薄桜鬼』。これまで築いてきた「薄ミュ」にはない、斬新な感覚の作品になればいいなぁと思っています。
客観的に見てもすごくおしゃれな舞台で、皆様にもそのおしゃれさを感じていただきたいですし、一方で新選組という人斬り集団の熱量だったり生き様だったりというものも描かれている。相反するものがミックスされているところにも注目していただき、その魅力をぜひ劇場で目で心で耳で確認していただけたら素敵だなと思っています。中でも僕はオープニングが好き。これまでのミュージカル『薄桜鬼』が持っていた華やかさとはかけ離れた始まり方、そして、そこから終わりまでこの物語がどう展開していくのか――これまで「薄ミュ」を観てきてくださった方はびっくりすると思いますが、「これもまたミュージカル『薄桜鬼』なんだ」と思って好きになってくれたら、と。
あと「薄ミュ」は楽しい曲もいっぱいあって、「宴」はやっぱり見どころですよね。過去の公演でもお茶碗やお酒を掲げて踊っていたり、脱いでいる人がいたり(笑)。今回の「宴」も楽しいですよ。
稽古場ではやはり僕が愛してやまない近藤 勇 役の井俣太良さんの、姿が見れるだけで嬉しいと思える存在感、安心感! 大ベテランなのに僕たちと同じ目線に立って楽しんでくださるのがありがたいですし、今回も全体的にとてもいいカンパニーとなっています。
スタッフ・キャスト一同が同じ方向を向いて作っている作品の持つパワー、お客様にも感じてもらえたら幸いです。
青木志穏(雪村千鶴 役)
今回、歴史ある「薄ミュ」に参加できることを嬉しく思いますし、個人的にも目標にしていた作品だったので、自分が今この場所に立っていることが本当に不思議な気持ちです。千鶴を通して素敵なキャストの皆さんの魅力がさらに伝わるように精一杯努めていきたいと思います。
「薄ミュ」カンパニーは本当に温かく和気あいあいとした雰囲気で、でも集中する時はグッと集中してインプット・アウトプットを繰り返すことのできる現場。だからこそ私も「返そう」とすごく感じられました。
(南雲 薫 役:星元)裕月さんとは「この二人だからこそ作れる“双子”ってあるよね」といろんなお話をしながら稽古させていただき、とても心強かったです。よく一緒にいるので近頃は段々言動が重なってきたりして(笑)、いよいよ双子に近づいてきてるかなと思っています。千鶴としては千鶴目線でのそれぞれの隊士との心の通じ合いだったり関係性みたいなところを大切にお届けしたいですね。全体としては歌と共に表現されていたり、あと豊富な殺陣シーンが本当にものすごくかっこいいので、そこも注目していただけたらと思います。
すごく重厚感のある作品になっています。心の奥底に染み込んで積もっていくような、そしてその中からお客様それぞれに一筋の光を見つけてもらえるような……。皆様のご観劇、お待ちしております。
久保田秀敏(土方歳三 役)
シリーズ初の「山南敬助 篇」。これまであまり表に出なかった山南が実は裏で何を考えていたのか、僕自身、今作でそれが初めて分かりました。彼はこんな風に僕らのことを思っていてくれたのかと感じさせてくれる、目に見えない絆、仲間と仲間の心の通じ合わせ方みたいなところを楽しんでいただけたら嬉しいですね。
また今作は自分がここにいる意味、自分は一体何者なのか……というところを皆さんも心の中に置いた上で観ていただけると、ふっと感じることがあるんじゃないかなと。何のために生きているのか、誰のために生きるのか、そこを照らすいろんな光が物語の中にあります。
大事なキーワードがたくさん散りばめられてもいるので、それらを拾い集めていくと、最後に「あ、こんなメッセージがあったんだ」と気付いていただけるはず。仲間って素晴らしいな、繋がりって素敵だなと思える言葉たちの重さ、偉大さを感じ取ってもらえたらいいですね。「光が当たる裏側には必ず影ができる。そして、光だけが正解なのではく、影にも正解がある……」。今回の作品を通してそんな真実、自分が何者であるのかという問いかけを持って帰っていただければと思います。
樋口裕太(藤堂平助 役)
いよいよ「山南敬助 篇」の幕が開きます。長年一緒にやってきた輝馬くんが山南として座長としてセンターに立っているのをみると、「うわっ!」というすごい感動もあり、嬉しくもあり。共に頑張ってきた仲間だからこそ、自分も最後まで側で支えていければと思います。
とはいえ「山南さんが千鶴と……」と思うと、僕としては恥ずかしくて恥ずかしくて(笑)。特に二人が互いに一歩踏み込んだシーンは素敵なので、お客様にはぜひそこにも注目していただけたら。
そして平助としては山南との一騎討ちがあります! 真剣な殺し合いのようでもあり楽しんでいるようでもあり。長い付き合いの二人だからこその場面も見どころです。闇の中にも光があり、光の中にも闇がある。その中で人間たちが葛藤して居場所を見つける。そんなメッセージを胸にキャストみんなが同じ方向を見て一本道を走り、それを西田さんがまとめてくださり、輝馬くんが背中で生き様を見せてくれてできあがった「薄ミュ」。お客様がまだ観たことのないミュージカル『薄桜鬼』になっております。応援のほど、よろしくお願いいたします。
星元裕月(南雲 薫 役)
初めてミュージカル『薄桜鬼』の世界に参加させていただくということですごく緊張していたのですが、皆さん素敵な方ばかりで、初参加の私たち(青木、山崎 烝 役:田口 司)を温かく迎え入れてくださいました。
個人的にはデビュー以来7年ぶりに西田さんとご一緒できたこともすごく嬉しくて。初めましてと再会と……ご縁とご縁の巡り合わせ、奇しき縁に未来と感謝を感じながら過ごした現場となりました。南雲 薫は9年ぶりに登場するキャラクターでその心情は結構ドロドロとしているんですが、千鶴役の志穏ちゃんともたくさん話し合いをしましたし、信頼感を築き合った私たちだからこそ紡ぎ上げることのできた薫像・千鶴像がお届けできるのではないかと思います。
ちなみに私も「宴」のシーンは大好き。自分がシリアスな分、はっちゃけているみんなを音楽に乗りながらいつも袖で見ています(笑)。「宴」はお客さんも一緒に盛り上がってくれたら嬉しいですね。
シリーズ初の「山南篇」、お客様の注目度も高いことと思います。その中で南雲 薫は悪役……ではあるのかもしれないけれど、この子にはこの子の思いがある。そこをお客様にも感じていただき、共にこの作品に降る桜を、雨を感じていただければと思います。
information
ミュージカル『薄桜鬼 真改』山南敬助 篇
【日程】2023年4月8日(土)~4月16日(日)
【会場】東京・シアター1010
【日程】4月22日(土)、4月23日(日)
【会場】大阪・サンケイホールブリーゼ
【原作】オトメイト(アイディアファクトリー・デザインファクトリー)
【演出・脚本・作詞】西田大輔
【音楽】坂部 剛
【殺陣】六本木康弘
【振付】MAMORU
【出演】
山南敬助 役:輝馬
雪村千鶴 役:青木志穏
土方歳三 役:久保田秀敏
沖田総司 役:北村健人
斎藤 一 役:大海将一郎
藤堂平助 役:樋口裕太
原田左之助 役:川上将大
永倉新八 役:小池亮介
山崎 烝 役:田口 司
近藤 勇 役:井俣太良
風間千景 役:佐々木喜英
天霧九寿 役:横山真史
不知火 匡 役:末野卓磨
雪村綱道 役:川本裕之
南雲 薫 役:星元裕月
アンサンブル:白崎誠也、坂本和基、橋本征弥、来夢、多田 滉、平澤佑樹、大嶌幸太、田中 慶
【チケット】
ローソンチケット
詳細は公式サイトにて
【ライブ配信(見逃し配信付き)】
2023年4月23日(日)12:00公演(全景定点映像)/17:30公演(スイッチング映像≪大阪千秋楽公演≫)
【販売期間】4月16日(日)12:00~4月30日(日)20:00
【視聴期間】
ライブ配信:公演配信開始~公演終了まで
見逃し配信:ライブ配信終了後~2024年4月30日(日)23:59
【アーカイブ配信】
2023年4月23日(日)17:30公演(スイッチング映像≪大阪千秋楽公演≫)
【販売期間】5月3日(水・祝)12:00~5月16日(火)23:59
【視聴期間】購入から7日間
【配信特設ページ】
シアターコンプレックス
www.marv.jp/special/m-hakuoki
Twitter
check
山南敬助 役:輝馬、藤堂平助 役:樋口裕太 掲載
『Sparkle vol.52』発売中
内容:本文8ページ(対談インタビュー+コラム&撮り下ろしグラビア)
+巻末綴じ込み付録:輝馬×樋口裕太ツヤツヤ厚紙2shotピンナップ
credit
Ⓒアイディアファクトリー・デザインファクトリー/ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会