【小越勇輝】甦夢THEATRE「黄金仮面―masque doré―」【インタビュー&グラビア】

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江戸川乱歩の代表作の一つである長編推理小説『黄金仮面』。2011年には演劇ユニット「*pnish*」により舞台化されるなど、さまざまなメディアミックスが行われてきた本作が江戸川乱歩生誕130年を迎える今年、甦夢THEATRE「黄金仮面―masque doré―」として東京・天王洲 銀河劇場にて上演される(2024年10月11日(金)〜10月20日(日))。
2011年上演の*pnish*プロデュース版で脚本を務め、劇団「一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド」を主宰する石井幸一が本作でも脚本を担当。演出は『HUNTER×HUNTER』THE STAGE シリーズなどを手掛け、劇団「悪い芝居」 の代表として全公演の脚本・演出を行う山崎 彬が務める。
さらに今作ではキャストによる歌唱も盛り込まれ、全く新たな表現により名作ミステリーがこの令和に甦る。

「Sparkle web」では怪盗・黄金仮面と対峙する名探偵・明智小五郎を演じる小越勇輝にインタビュー。
「物語の世界に没入して読んだ」と語る『黄金仮面』の魅力や、今舞台化で期待していること、さらに『HUNTER×HUNTER』THE STAGE シリーズなどでもご一緒している山崎との関係性や演出手法の魅力などを伺った。

おごえ・ゆうき
1994年4月8日生まれ、東京都出身。最近の主な出演作に、『HUNTER×HUNTER』THE STAGE シリーズ(クラピカ 役)、映画『帰ってきた あぶない刑事』(宍戸隼人 役)、シアタークリエ『SHINE SHOW!』(加瀬貴久 役)など。2024年12月13日より舞台「呪術廻戦 0」WITH LIVE BAND(乙骨憂太 役)への出演を控える。X(Twitter)

interview


本作、甦夢THEATRE「黄金仮面―masque doré―」はまた小越さんにとって新境地になるのではないかと思いますが、出演が決まった際のお気持ちは?

小越:歴史ある作品ですし、明智小五郎というこれまで色々な方が演じている役で呼んでいただけたことに感謝しています。さらに今回、“江戸川乱歩生誕130年”という一つの節目でこの作品を上演できるということもあり、「頑張らなくては」と思っています。

これまで江戸川乱歩作品に触れた経験はありますか?

小越:あまり無かったんです。なのでこの機会に原作を読ませていただいて、13年前に上演された*pnish* プロデュース『黄金仮面』も拝見しました。すごく面白かったです。

『黄金仮面』は昭和5年(1930年)〜昭和6年(1931年)にかけて連載された長編推理小説。今とは時代背景もかなり違いますし、ちょっとアングラな匂いもする作品ですが。

小越:今読んでも面白いというか、どこかリアリティがあるので変な突っかかりもなく読むことができました。もちろん時代背景も違うので、セリフの言い回しや言葉の選び方などは自分が生きている今の世界線とは異なる部分もありましたが。でも「こういう世界もあるよな」ってすんなり没入することが出来て、ドキドキ、ワクワクしながら読了しました。

原作に触れながら、明智小五郎をどう演じようと考えていましたか?

小越:原作での明智の年齢は自分よりもっと上の設定なので、その明智を今の自分が演じるとどういう雰囲気になるのか、どういった役作りをしていくのか……トライアンドエラーを重ねて色々な方向性を探りながら、稽古を通じて上手く着地できればいいなと思っています。明智は名探偵ですし、謎を解いていく、事件に迫っていく際の凄みみたいなものを出さなければいけないと思うんです。僕の見た目と年齢とを活かせる部分は活かしながらも、この見た目で戦うとちょっとチグハグしてしまう気もするし、「名探偵なのに新人感が出ちゃうんじゃないかな?」とも思うので(笑)、演出の山崎 彬さんとも探りながら作っていけたらと思っています。

探偵ならではのセリフ回しも出てくると思いますし、そこにある種の説得力を持たせなくてはならない。

小越:「何言ってるんだ?」というところから有無を言わさず納得させられるような説得力も必要ですし、引き付けられるようなセリフ回しもすごく大事になってくるなと。ツラツラ説明することも出来るだろうけど、その中でどこをポイントとして聞かせるかといったことも、これからもっと探っていきたいなと思っています。さっきも言ったように、聞き馴染みの無い言葉遣いも結構多いと思うんですよ。普段の日常会話で出てこない言葉、今使われないような言葉を急に言われると、お客様も「ん?」ってなってしまうと思うので、そこをいかに自然な会話の流れの上で分かりやすく、ノイズ無く届けられるか。そういったところもすごく大事だと感じています。

演出の山崎さんとは『HUNTER×HUNTER』THE STAGE シリーズなどでもご一緒されていますが、本作については何かお話しされましたか?

小越:そうですね。この間も僕のイベントに出ていただいたり、彬さんの舞台(第1回 愛しのボカン大作戦『こんなんほろんでいい世界』)のアフタートークに出させていただいたりと、ありがたいことにちょくちょくお会いする機会がありまして。アフタートークの時はもう甦夢THEATRE「黄金仮面―masque doré―」の発表もされていたので、そこでちょっと「次もよろしくね、いい作品にしようね」とお話しすることが出来ました。
彬さんをはじめ、今作のスタッフの皆様、そしてキャストの皆様には知っている方がわりと多いので、今回のお話を頂いた時点できっと面白くなるんじゃないかと感じていました。観に来てくださる皆様の想像を超えるような面白い作品に出来たらと思っています。

山崎さんはX(Twitter)で小越さんに対して「この世で最も信頼を送る俳優の一人」と言及されていました。

小越:あはは、ありがとうございます。そうですね、ありがたいですね(照)。初めて一緒にお仕事させていただいてから計3作品やらせていただいて、その間にも色々とお話しする機会があったんですけど……、僕は正直、役者としての自分の良さが何なのか分からないんですが、でもそんな僕という一役者に対してそう言っていただけるのはすごくありがたいですし、嬉しいです。毎回毎回「期待を裏切れないな」というプレッシャーがのしかかってもくるんですけど(笑)。
彬さんは役者もやられているので僕ら役者の気持ちを分かってくれるし、同じ場所に降りてきてくれて、一緒に面白いものを作ろうと動いてくださる演出家です。彬さんもおっしゃっていましたが、同じお芝居が好きなもの同士、面白いものを作っていく“戦友”みたいな関係性だと感じています。僕らがやっていることは結局“娯楽”に過ぎないかもしれないし、どこまで残るものなのかは分からないですが、でも何かしら残ることを信じて自分たちも楽しむし、来てくださる方たちにも楽しんでもらえるような作品を作っていく仲間。偉そうに聞こえたら申し訳ないですが、そんな風に感じさせてくださる方ですね。

山崎さんから具体的に、小越さんのここを評価されていると感じることはありましたか?

小越:何ですかね……本当に分かんないです(笑)。稽古場にいても別に「こうして」、「こうしたら?」といったことはあまり言われないんです。こう、「何するんだろうな?」という感じで見られているというか。なので自分から「どうするのが面白いかな?」とか、「何も言われないということは、これもアリだけど、他にもやり方があるんだろうな」とか考えたり……。彬さんも悪い人というか(笑)、わりと「あれ、今の言葉ってきっとチクッと指摘してるんだろうな」みたいな瞬間があるんですよね。「もっと出来るでしょ?」じゃないけど、「もっとやり方あるんじゃない?」みたいなことなのかなって。そういったことを逃さず読み取るようには心掛けているので、もしかしたらそういうところを見てくれているのかな?
彬さんは役者のことをすごく見てくださっているから、例えば稽古終わりにみんなに一言ずつ掛ける言葉も本当に的確ですし、そんな彬さんからそういった言葉を掛けていただけるのはすごく嬉しいです。まあ、嬉しいですけど良い意味でプレッシャーですね(笑)。頑張ります!

小林芳雄 役の佐藤永典さんとは『ロック☆オペラ サイケデリック・ペイン』(2015年)以来の共演かと思います。

小越:久しぶりですね。でも数年前にプライベートで、『サイケデリック・ペイン』のメンバーで集まれる人がちょっと集まる機会があったんです。ただ、その時も数人で喋っていましたし、『サイケデリック・ペイン』期間中もバンドメンバーたちでいたことが多かったので、佐藤さんと二人きりでいたことって多分そこまで無かったと思うんです。今回、久しぶりにお会いする前は「僕ら二人ってどうやって喋ってたんだっけ……?」ってちょっと不安だったんですが、いざお会いしたら佐藤さんのペースでめちゃくちゃ喋ってくれたので(笑)、安心しました。こういった作品でまたご一緒できると思っていなかったのですごく嬉しいですし、また当時とは違った感じでお芝居できるんじゃないかなと思っています。

甦夢THEATRE「黄金仮面―masque doré―」では歌唱も大きな見どころの一つ。この物語を歌を織り交ぜ表現することについて、小越さんはどう感じていますか?

小越:楽しみです。歌が入ることで作品をより熱く深く届けることが出来るんじゃないかと思いますし、それが入るからには「やっぱり入らない方が良かったね」って言われないように、「あ、『黄金仮面』ってこういう見せ方も出来るんだ」という面白さを出せたらなと思っています。

作詞は三ツ矢雄二さんが担当されます。

小越:三ツ矢さんもお久しぶりですね。多分ミュージカル『テニスの王子様』以来じゃないかなと思うので、10年ぶりぐらいです。すごくキャッチーな詞を書かれるイメージなので、この甦夢THEATRE「黄金仮面―masque doré―」という作品での歌詞はどんな感じになるんだろう? とても楽しみです。

そして黄金仮面 役を務めるのは岡 幸二郎さんということで、小越さん演じる明智との歌唱での対決もあるのではないかと楽しみです。

小越:岡さんが歌わないわけ無いですもんね(笑)。歌での対決と言われると、もう足元にも及ばないですが。僕は岡さんのすごいところを盗みながら、僕の演じる明智としての“歌う意味”を作品に入れることが出来ればと考えています。
アクションもありますし、盛り沢山な舞台ですよね。原作も情報量の多い内容だと思うのですが、それをギュッとこの舞台に詰め込んでいるので、お客さんも集中して観られて「うわぁ!」ってドキドキできるものになるんじゃないかなと思っています。

原作を知らない方は明智小五郎と黄金仮面との駆け引きを固唾を飲んで見守ることになると思いますし、原作を知っていても「舞台ではこうやって表現するのか」という驚きがあると思います。

小越:そうですね。演劇で表現することにより生まれる面白さって絶対あると思うんです。人が演じることにより生まれる熱量、そこから感じられる躍動感、緊張感。そして原作小説を読んで想像していた空間が実際に舞台上に広がっているということ。そこで演じられているのは“嘘”なのかもしれないけど、ある意味、その作品の世界が“本当”に現れるというか。その魅力を全力で出していけたらと思います。
舞台をやっていると毎回、「儚いな」って思うんです。今回は東京・天王洲 銀河劇場の全13公演だけなので、1カ月間稽古して本番を迎えて、多分いつも以上に「ああ、もう終わっちゃうんだ」って感じると思う。だからこそ稽古、本番としっかりこの作品に向き合って、いい時間を作っていけたらと思っています。

今回は原作ファンの方、江戸川乱歩ファンの方や、小越さんはじめ役者陣のファンの方々など、さまざまな客層の方が劇場にいらっしゃるかと思います。

色々な方面から楽しみにしてくださっている方が多い作品ですよね。「江戸川乱歩、『黄金仮面』ってこんな楽しみ方も出来たんだ」、「こういう作り方も出来るんだ」って、何か一つでも引っかかるものが出来たらなと思っていますし、観てくださる方に何かしら持って帰っていただけたら嬉しいです。もちろん「この作品を観て良かった」と思ってもらえることもそうですし、「お芝居って楽しいな」と思ってもらえたり、観に来てくださる皆さんの記憶に残る作品になったらいいなと。座組みんなで全力で頑張っていきますので、「うーん、どうしよう?」と悩んでいる方はぜひ迷わず来ていただけると嬉しいです。

information

甦夢THEATRE「黄金仮面―masque doré―」

【日時】2024年10月11日(金)〜10月20日(日)
【会場】東京・天王洲 銀河劇場

【原作】江戸川乱歩『黄金仮面』
【演出】山崎 彬
【脚本】石井幸一(一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド)
【音楽】油井誠志(Avex Music Creative Inc.)
【作詞】三ツ矢雄二

【出演】
明智小五郎 役:小越勇輝

波越警部 役:井阪郁巳
小林芳雄 役:佐藤永典
大鳥不二子 役:小林由佳
鷲尾侯爵 役:高橋良輔

山田風太 役:石田 隼
中井英利 役:川﨑優作
中島河太 役:吉澤 翼
坂口大吾 役:納⾕ 健
松本清太 役:福島海太
木々太郎 役:増本 尚
高木 彬 役:平松來馬

黄金仮面 役:岡 幸二郎

【チケット】
一般発売中

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www.nelke.co.jp/stage/theatre_ougon
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テキスト・撮影:田代大樹
スタイリング:小田優士
ヘアメイク:佐々木渚香

©Nelke Planning co.,ltd.

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