【小越勇輝】映画『札束と温泉』【インタビュー&グラビア】

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ホラー小説シリーズ『人狼ゲーム』など数々のヒット作で知られる原作者の川上 亮が長編映画第2作目の監督と脚本を担当する映画『札束と温泉』が、上映中の東京・シネマート新宿を皮切りに全国順次公開される。
「Sparkle web」では川上監督の映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』で主演を務め、今作では高校教師・渡辺隼人を演じる小越勇輝にインタビュー。
2度目のタッグとなる川上監督の印象や、本作の撮影でドキドキしたこと、映画の見どころなどを伺った。

加えて、クラピカ役で久々の2.5次元作品出演となった『HUNTER×HUNTER』THE STAGEや、8月に控えるシアタークリエ『SHINE SHOW!』など舞台作品への思いについて。
観ている人に「嫌われたいんです」と語る、小越の目指す“役者像”についても聞いた。

おごえ・ゆうき
1994年4月8日生まれ、東京都出身。最近の主な出演作に、『HUNTER×HUNTER』THE STAGE(クラピカ 役)、リーディングアクト「六人の嘘つきな大学生」(森久保公彦 役)、ドラマ「警視庁アウトサイダー」(歌川涼牙 役)、映画『わたしの幸せな結婚』(辰石幸次 役)など。2023年8月18日より、シアタークリエ『SHINE SHOW!』(加瀬貴久 役)への出演を控える。Twitter

interview

本作の監督・脚本を務める川上 亮さんとは、小越さんが主演を務めた2020年公開の映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』以来のタッグとなります。今回はどのような経緯で出演が決まったのですか?

小越:『人狼ゲーム』は川上さんの初めての監督作品だったのですが、「また監督をやりたい」というお話は聞いていて。それで今回「情けなくて、やられっぱなしの役なんだけど、またちょっと出てもらえますか?」というお話を頂けて、すごく嬉しかったですね。監督が作りたい作品にまたこうしてお声掛けいただき、二つ返事で「やらせてください」と伝えました。

川上さんはどのような監督だと感じていますか?

小越ご自身で脚本も書かれるタイプの方なので、より作品に対しての思い入れが強いでしょうし、こだわりもあると思うんです。そういうところをとても真っ直ぐに、「こうしたい」ということを直接伝えてくれる方です。それに応えたいなと思わせてくださいますし、すごく信頼できる監督ですね。

本作の脚本を読んだ感想は?

小越第一印象は「ああ、川上さんの作品っぽいな」と感じましたね。すごくワチャワチャ、ドタバタしている物語なので「これをどうやって撮影するんだろう?」と思っていたら、「ワンカットで撮りたい」と。「できるのか!?」とビックリしたのを覚えています(笑)。結果的には“疑似”ワンカットで撮影することになったんですけど、「どうやって撮るんだろう? でも、これが形になったら面白いだろうな」と思いながら読んでいました。

疑似ワンカットで切れ目無く映像が続くことにより、息つく暇も無く物語に引き込まれてゆく感覚がありました。

小越確かに、すごく観やすい作品ですよね。上映時間的にもそんなに長くないので、いい意味でサッと観られる作品だと思います。

擬似とはいえ、ワンカット撮影の苦労もあったのではないでしょうか?

小越そうですね、「失敗できない」という緊張感はもちろんありました。僕は先生役なのですが、冒頭のシーンで生徒と会話しているところは台本にして5、6ページくらいあったのかな? そのボリュームをワンカットで撮ることって、映像作品では僕は今までやったこと無かったんです。一般的なドラマや映画でもワンシーンを一気に撮っちゃうこと自体はあるんですけど、例えば途中で噛んでしまってもそのまま続けてそこだけ撮り直したり、別のカットを使ったりできる。でも今回はずっと1台のカメラを回しっぱなしで、そのカットだけを使うことになるので、絶対にセリフを間違えられない緊張感がありましたね。ドキドキしました。

撮影前にキャストの皆様で打ち合わせなども行ったのですか?

小越他の皆さんは撮影に入る前に何日間かリハーサルがあったみたいなんですが、僕は予定が合わなくてちょっとしか参加できなかったんです。なので皆さんと「こうしよう」みたいな話はそこまでしてなかったですね。それにリハーサルの場所と実際の現場とでは、やっぱり広さであったり置いてある物などが多少違って、それによって動きが変わってきたりも。ある意味現場で試す部分も大きかったので、割とその瞬間に「どうするか」ということを考え、撮影に臨んでいたと思います。

これまで出演してきた映像作品とは違う頭を使うような感覚も?

小越そうですね。あとは役者同士だけのやりとりだけじゃなくて、スタッフさんやカメラマンさんの動きも考えなくちゃいけない。「今カメラは向こうを向いているから、その間にどういう動きをしておこうかな?」とか、「カメラがこっちを向いた時にこのセリフを言いたいよな」とか、そういう部分も実際に演じながら考えていました。役者として相手の演技に対応しつつ、ちょっと冷静な視点を持っている自分もいるような感覚がありましたね。

別府温泉の旅館をロケーションに撮影されたと伺いました。温泉でゆっくりするような時間はありましたか?

小越僕はできました! 10日間くらい別府に行きっ放しで撮影していたのですが、僕は出ずっぱりではなくちょこちょこと出てくる役どころなので、割とゆっくりできる時間もありまして。別府に行く機会もなかなか無いので、せっかくだから「地獄めぐり」をしに行ったりとか、あとは撮影場所の旅館で温泉に入ったりしてました。すごく素敵な旅館だったんですよ。ただ同じ場所で別シーンの撮影をしていたりもするので、あまり大っぴらにリラックスするわけにもいかず……こっそりと別府を満喫させていただきました(笑)。

「ちょこちょこと出てくる役どころ」というお話もありましたが、映画の予告編では何度も殴られる小越さんのシーンも。

小越そうなんですよ。なんかめちゃくちゃいろんな人に殴られるっていう(笑)。そこも一つの笑いどころというか、面白いアクセントになっているかと思います。

小越さんから見た、この映画のオススメポイントを教えてください。

小越旅館内の狭い空間で事件が繰り広げられることで、登場人物をカメラが追っていくような場面がたくさんあるのですが、観ている自分が実際にその場で追いかけているような感覚になるんじゃないかな。現場で事件が起こるその瞬間を見ているような感覚になれる作品だと思います。
先ほども言いましたがとても観やすい作品ですし、何も考えずに楽しめる面白い映画だと思うので、少しでも気になったら気軽に観に来ていただきたいですね。

ちなみに、もしも小越さんの目の前に突然、札束の詰まったバッグが現れたら?

小越どうしますかね〜! 何のお金か分かんなかったらすごく怖いですけどね。でも目の前にあったら……、いや、今回の映画のように人のところから持ってきちゃったらもちろんダメですけどね!(笑)

今年は『わたしの幸せな結婚』が3月に、そしてこの『札束と温泉』と、出演映画が立て続けに公開を迎えました。映画や映像作品で演じることの面白さはどんなところにあると感じますか?

小越そうですね……、ドラマ、映画、舞台、もちろん表現の仕方などはそれぞれ違いますけど、でも根本は同じなので大きくは変わらないとは思っています。ただ映画なら、例えば今回なら別府の旅館に10日間くらい行きっ放しで撮影できるので、その場に染まることができるような気がします。より“リアル”を追求することができるのかな、映像って。
例えば舞台なら、実際に入っている時もありますけど、コップに水が入っていなくても飲む芝居をすることがよくあります。でも映像なら実際にコップに入った水を飲むことができる。そういうことを通じて、非現実的な作品だとしてもすごくリアルに見せることができるし、自分もそこに“染まれる”面白さというものはあるのかなって思いますね。

小越あとは大きな作品になればなるほど、最終的にどういう形に仕上がるのか楽しみな側面もありますね。絵コンテなどを参考にしながら自分の中の想像で演じていたものが、CGなどの色々な技術が加わることで最終的には「すごいな、こんな風になったんだ」と。『わたしの幸せな結婚』でもそういう喜びがすごくたくさんありました。カマイタチのようなものが来て「うわーっ!」って驚く芝居をして、完成した映像を観たら本当に飛んできているみたいな。そういった実際には無いものをリアルに見せる演技というものが、表現する側、お芝居する側にとっては特別な面白さがありますし、それが形になった時には「うわぁ、すごいな。色々なものに助けられて、本当にそういう風に見えるな」と感動しますね。

舞台作品では5月に『HUNTER×HUNTER』THE STAGEにクラピカ 役で出演。いわゆる“2.5次元作品”への参加は久々だったかと思うのですが、何か出演の決め手などはあったのでしょうか?

小越結果的に、2.5次元と言われる舞台への出演はすごく久しぶりになりましたけど、「2.5次元だから出る、出ない」とか、「『HUNTER×HUNTER』という人気作だから出た」というわけでは全然ないんです。最近は映像を中心にやらせていただくことが多いのですが、やっぱり自分は舞台が好きなので「年に1本はやりたいです」ということをマネージャーさんと話したりしていて。ありがたいことに色々な作品のオファーを頂くこともあるんですが、年に1、2本やることのできる舞台の中でそういった2.5次元作品がタイミングとしてたまたま合わなかっただけというか。
でも『HUNTER×HUNTER』のような、すごく人気があって大きな作品からお声を掛けていただいたことはとても嬉しかったですし、クラピカのような役って今まであまりやったことが無くて。プレッシャーはすごくありましたけど、久々に2.5次元をやるからこそのワクワクやドキドキであったりとか、改めて感じるものはすごくたくさんありましたね。

主人公のゴンを演じた大友至恩さんは舞台初出演だったということで、小越さんも大友さんの姿を通して初心に返るようなこともあったのでは?

小越ああ、そうですね〜! 僕も幼い頃から役者をやらせてもらってますけど、初めての舞台が高校に入ってすぐだったんです。彼も高校に入ってすぐ『HUNTER×HUNTER』に出るということだったので、その当時の自分とはすごく重なりましたね。その頃のことを思い出したり、「自分も周りからこういう風に見えてたのかな?」ということを感じたりしていました。

大友さんにアドバイスなどもされましたか?

小越いや、僕は全然してないです(笑)。アドバイスとかあんまり得意じゃないですし、そこは演出家さんを中心に周りの役者さんたちも色々おっしゃっていたかと思うので、僕はお芝居がどうこうというよりは普段の会話をするようにしてましたね。「疲れてない?」とか「最近どう?」とか、そういう何ともない話をしていました。

また8月にはシアタークリエ『SHINE SHOW!』への出演を控えています。

小越初めてのクリエなのですごく楽しみですし、今までやってきた舞台ともまた違った作品なので、座組の雰囲気も全然違うと思うんです。共演の皆さんのお芝居のやり方など、まだ自分が知らないものを稽古の段階から感じられる作品なんだろうなって思っています。『HUNTER×HUNTER』では年齢が座組の中で割と上の方だったんですけど、今回は下の方になるので、皆さんのいいところを吸収しながら楽しくお芝居できたらいいな。どの作品に入る時も毎回ドキドキはするんですけど、今回もそのドキドキ感を楽しみながら頑張りたいですね。

シアタークリエという劇場も伝統のある素敵な舞台ですね。

小越やっぱり昔からクリエや帝劇、日比谷のあの辺ってすごくキラキラしているイメージがあります。エンターテインメントの中心というか。自分も観客として観に行ってもいましたし、「こんなところに立てたら楽しいだろうな」って思ってました。小さい頃からそう思っていた自分が今、そのキラキラした街の劇場に立てるということで、またちょっと違った景色が舞台上から見えるのかな、とワクワクしますね。

ありがとうございます。映像でも舞台でも注目作が目白押しの小越さんですが、改めて役者としての目標を最後にお聞かせいただければ。

小越せっかくこういう、色々な表現をすることのできる役者というお仕事をさせていただいているので、これからもずっと「これ」って決めずに色々なことができたらなって思っています。ドラマや映画もそうですし、舞台やミュージカル、他にも色々ありますけど、これからも表現者としていろんなところに立ったり出たりしていきたいですね。
役についても「これ」って決めつけず、本当に色々な役を表現していきたい。だから、嫌われたいんです(笑)。“役で嫌われる”ってすごくいいなって思っていて。「やだ、あの人嫌い」「なんで?」「いやだって、あの役、嫌だったじゃん」みたいな、それってすごく役者冥利に尽きるというか。本当にそういう嫌な奴に見えたんだな、本当にそこに存在しているように見えたんだな、ってことだと思うので。その世界に、何の違和感も無くいられるような役者にどんどんなっていきたいなっていう気持ちがありますね、すごく。

information

映画『札束と温泉』

【日程】2023年6月30日(金)〜
【劇場】東京・シネマート新宿 他にて全国順次公開

【監督・脚本】川上 亮

【出演】
沢口愛華、小浜桃奈、糸瀬七葉、大熊杏優、佐藤 京、星れいら/小越勇輝 他

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テキスト・撮影:田代大樹
ヘアメイク:小竹珠代

©2023 cosaic Co., Ltd.

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