純粋な愛と悲しみの運命を描くシェイクスピアの名作中の名作、舞台『ロミオとジュリエット』が東京・有楽町よみうりホールで上演中だ(2023年9月24日(日)まで。ほか大阪、富山、愛知、福岡、仙台公演あり)。
過去さまざまなメディア、さまざまな解釈で上演・上映され続けてきた本戯曲。今回の舞台版は翻訳:松岡和子、演出:井上尊晶による極めて正統な『ロミオとジュリエット』となっている。
王道の古典的名作に挑むのは、映像作品だけでなく「カリギュラ」や「ライフ・イン・ザ・シアター」など舞台でも鮮烈な印象を残す高杉真宙。
さらに藤野涼子、矢部昌暉、新原泰佑、三浦獠太、佐伯大地と、さまざまなキャリアを積む若手俳優が集結した。
「Sparkle web」では高杉、矢部、新原、三浦、佐伯の5人にインタビュー。
稽古を通じて改めて感じた『ロミオとジュリエット』の魅力、彼らだからこそ伝えられる若き熱量について。
さらに本作で座長を務める高杉について、4人から見た“座長・高杉”の魅力とは。誉め殺しに思わず悶える高杉の姿にも注目だ。
難解とも言える膨大なセリフの海から確かな“思い”を掴み取り、物語の本質を舞台上で放出する5人。ぶつかり合う彼らの若き“熱”に、ぜひその肌で触れてみてほしい。
interview
写真撮影の際も皆さん和気藹々とされていて、仲の良い雰囲気が伝わってきました。稽古場の空気感はいかがですか?
高杉:かなり良好かと思います。ダンスシーンなどは男女ペアだったりするので最初は緊張していたんですけど、ダンスや殺陣などの練習を通じてみんなでお話しする機会が自然と多く持てたので、結構序盤から分け隔てなく話せるような雰囲気になっていました。ありがたかったですね。
佐伯:触れ合うことで自然とみんなの距離も縮まって。それこそコロナ禍真っ只中の時は、稽古中も「お互い触らない方がいいかな?」とかありましたからね。握手とかも何となく「ちょっとやめとこうか」って。
高杉:握手の代わりに肘でしてましたよね。
佐伯:だよね!
三浦:肘と肘を、こう当ててね。
矢部:何なら対面で芝居するのも色々配慮して工夫してやっていましたよね。
佐伯:そうそう。あと「ツラ(客席寄りの舞台端のこと)行っちゃダメ」とかも。舞台ツラに行きすぎると「もうちょっと下がって」って。
新原・三浦:えーっ!?
高杉:客席に飛沫が届いちゃうんじゃないか、ってことだよね。
三浦:あーなるほど!
稽古時の感染対策も比較的緩和されてきたということで、とてもいい距離感で稽古できているのが伝わってきます。皆さんの中でムードメーカー的な役割の方はどなたになるのでしょうか?
三浦:やっぱり大地さんじゃないですか?
矢部:うん、大地くん。あと泰ちゃんも。
三浦:そうですね!
新原:本当!? 嬉しい!
佐伯:それこそ、ここにいるメンバーだけじゃなくて、いろんな方に聞いてみたことがあるんです。「今、ここの稽古場で誰に心を許しているの?」って。
高杉:なんでそんなこと聞くんですか?(笑)
新原:急に怖いこと聞きますね(笑)。
佐伯:だってさ、「誰と誰が仲いいのかな?」って気になって(笑)。そしたらね、「新原くん」って言う方がめっちゃ多かったよ。
矢部・三浦:へえー!
新原:なになに!? 何それ嬉しい!!
高杉:泰ちゃん、やっぱコミュニケーション能力が高いよね。
三浦:喋りやすいし。
高杉:可愛いし。
新原:えー!? そんな褒めても何も出ませんよ!(笑)
高杉:でも本当に話しやすいし、ムードメーカーだと思います。
新原:僕は人見知りとか全くしないタイプなので、皆さんとお話ししてる時間がすごく楽しいんです。それに会話の中で皆さんから稽古のアドバイスを頂いたり、お芝居とか読解の解釈のアドバイスを頂くこともあって。すごく濃密な時間を過ごさせていただいているので、逆に皆さんが僕と話してくれるのが本当にありがたいんです。
高杉さんと矢部さんは以前、対談インタビューで「お互いに人見知り」とおっしゃっていたので、新原さんのような方が良いポジションにいらっしゃるのかもしれませんね。
高杉:(深く頷く)。
矢部:本当にその通りです。
本作は東京公演以外にも大阪、富山、愛知、福岡、仙台と各地を巡ります。皆さんが地方公演で楽しみにしていることはありますか?
高杉:どこの地方でも、僕はメシが一番楽しみです。
三浦:(佐伯と)僕らはサウナです。地方ならではのサウナに行くのが楽しみです。
高杉:楽しそうだね。
矢部・新原:行きたい!
佐伯:ロミオたちは“ロミオ一派”で行った方がいいんじゃない? 俺らはちょっと違うけどな。
三浦:そうそう。
佐伯:あんま仲良くなったら支障が出るかもしれないから(笑)。
矢部:(笑)。
高杉さんは本作の座長を務められますが、座長として心掛けていることはありますか?
高杉:一切ございません。僕は今回、“座長として生きていく”ということを全くやっていないんです。不甲斐ないところばかりですが、できる限り現場の空気、稽古場の空気が明るくなればいいなと思って頑張ってはいます。でもそれは多分みんなも心掛けていることだから。
佐伯:でも座長として背中で見せているものがあると思うよ。
高杉:本当にもう……そういうこと言われるとやりにくいって!(笑)
佐伯:マジで思うよ。「こうやるんだぜ」っていうのを、言葉じゃなくて、背中で見せているよね。
高杉:いやいや……(照れて悶えながら)、ありがとうございます!
佐伯:こちらこそありがとな!
一同:(笑)。
矢部:本当にその通りで。それはやっぱり真宙くんが真っ直ぐに稽古に向き合っているからだと思います。(演出の井上)尊晶さんから言われた言葉も、もう全部受け止めて何回でもチャレンジしていて。やっぱりそういう姿を見せられると僕も「ちゃんとやらなきゃな」と思いますし、本当に「背中で見せる座長だな」って感じます。
高杉:いじってるいじってる……。
佐伯:いじってないよなぁ、矢部くん!!
矢部:いじってない! 全くいじってないです!
佐伯:本当に思ったこと言ってるだけだよね!?
矢部:本当に思ってます!
高杉:……ありがとうございます(照)。
新原さんから見た、座長・高杉さんの印象はいかがでしょう?
新原:そうですね、皆さんの言うように本当に素敵な座長だと僕は思ってまして。
高杉:ははははははは!(褒め殺しに悶える)
新原:真宙くんは“座長であること”を全く感じさせないタイプの座長。「みんなで作っていこうよ」っていう謙虚さや「みんなと一緒を作りたい」という思いが伝わるからこそ、真宙くんのロミオについていきたくなる。そんな座長だと僕は思います。
佐伯:その通り。
ありがとうございます。ラスト、三浦さんからもお願いできますか?
三浦:そうですね、いやぁ本当に素晴らしい座長だなと思います(笑)。
高杉:いや笑っちゃってるやん!!
三浦:いやいやいや! なんて言えばいいのか分からなくて(笑)。僕は座長って何なのかまだちょっと分からないんですけど、ある意味“座長っぽくない”のがいいのかもしれないですね。自然体で、みんなと同じ目線で一緒にやるということに全てを注いでくれている。「座長だから自分が中心」というところが無いんです。そのおかげで、みんな同じラインで接することができるのがすごく素晴らしいところだと思っています。“現代の座長”って言うとあれですけど、なんて言うか、みんなで一緒という感じのキャプテンというか……。
佐伯:謙虚だってことだよね。
三浦:そうです!
高杉:ありがとうございます、もう本当に……ありがとうございます(照れて机に突っ伏す)。
高杉さんは以前のインタビューで、この『ロミオとジュリエット』という戯曲を「悲劇だけど笑える要素もある」と評していました。稽古を重ねるにつれ、改めて本作に対する印象が変わったり、新たに感じたことなどはありますか?
高杉:そこに関しては、僕はむしろさらに確証に変わった感じの方が強いかもしれないです。やっぱり前半はできる限り喜劇に、後半はその分、落差を大きくするために悲劇に振っているような印象は変わらなくて、稽古を通じてもその印象を強く持っていますね。
矢部さんは本作に対して今どんな思いを抱いていますか?
矢部:僕もどちらかというと「シェイクスピア作品ってちょっと敷居が高いのかな?」って感じていました。でも今回のように若者世代がたくさん集まった座組で、若者たち自身がその熱さを演じるからこそ、難しく考えすぎず、内に秘める思いや熱さというものを重要視して挑んでいきたいと思っています。まだ僕の中では「どうしようかな」って色々考えながら演じている状況ではあるんですけど、熱い気持ちだけは常に持ってこれからの稽古に挑んでいきたい。そういった気持ちが舞台上にも出たらいいなと思っています。
新原:演出の尊晶さんもいつも「若者の青春群像劇にしたい」とおっしゃっていて。昌暉くんが言うように、若さならではのパワーというものはとても大事にしています。そのパワーを通じて、このキャストならではの面白さが生まれてきていると感じます。僕が演じるマキューシオはいつもロミオやベンヴォーリオと一緒にいるんですけど、男同士の友情というか、本当に男子高校生みたいな和気藹々としたやり取りが楽しいですし、そこから悲劇に向かってゆくその落差にも注目していただければと思っています。
三浦さんは本作が初舞台。すごく大きな挑戦になるのでは?
三浦:そうですね。やっぱり舞台だからこそ、人間が持つ情熱とか魂みたいなものを肌で感じられるようなものにしたいなって、本当にそれだけです。難しく考える必要も無く、「人間ってこういう時あるよね」とか「そういう風に感じることあるよね」って、その時感じたものを最大限のエネルギーで発していければ、きっと観ている方が肌で感じるものがあると思うんです。それだけでいいかなって思っています。
佐伯さんは久々の舞台出演になるかと思います。今どんな思いを抱いていますか?
佐伯:本作はセリフ一つとっても難解だったり、普通の現代劇と比べると伝わりづらいことが多いと思うんですよ。そういったことをお客さんに感じさせないためにも、自分はすごく簡単に、単純に捉えるということを重要視していて。それが舞台を観に来てくれた人の「楽しかったな」に繋がると思うんです。久しぶりの舞台ですごく気合いが入っています。
ありがとうございます。最後に高杉さんから、まだちょっと敷居が高いと感じている方々の背中を押す一言を頂けますでしょうか?
高杉:現代は、なかなか忙しい人の多い世の中というか。映画もすごく短い時間にまとめられたり、早送りにして観るという方もたくさんいらっしゃると思います。それでも観ないよりはいいと僕は思うんですけど、でも「もったいないな」ってすごく思うんですよ。その「観よう」という気持ちに対して、その時間をいかに有意義に過ごしていただけるかということが、自分にとっても作り手にとっても幸せなことなのかなと思っていて。
映画に行く機会も少なくなってきていますが、舞台はより一層「行くぞ」という気持ちが必要ですよね。でもやっぱり、目の前に人がいて目の前で演じられることのすごさというものを、僕は舞台を観ていて感じるんです。僕らも目の前にいる人たちに対して「届けよう」という気持ちで演じます。なので「面白そう」でも、怖いもの見たさでもいいので、単純な興味で少しでも近付いてみてくれたら嬉しいなと思います。
information
舞台『ロミオとジュリエット』
【日程】2023年9月13日(水)~9月24日(日)
【会場】東京・有楽町よみうりホール
【日程】9月29日(金)〜10月1日(日)
【会場】大阪・森ノ宮ピロティホール
【日程】10月7日(土)、10月8日(日)
【会場】富山・富山県民会館ホール
【日程】10月14日(土)、10月15日(日)
【会場】愛知・東海市芸術劇場 大ホール
【日程】10月21日(土)、10月22日(日)
【会場】福岡・キャナルシティ劇場
【日程】10月28日(土)、10月29日(日)
【会場】仙台・仙台電力ホール
【作】ウィリアム・シェイクスピア
【翻訳】松岡和子
【演出】井上尊晶
【出演】
ロミオ 役:高杉真宙
ジュリエット 役:藤野涼子
ベンヴォーリオ 役:矢部昌暉
マキューシオ 役:新原泰佑
ティボルト 役:三浦獠太
パリス 役:佐伯大地
ピーター 役:皇希
バルサザー 役:田中 亨
皆藤空良、菅 彩美、木村咲哉、牧野彩季
松浦慎太郎、村井友映、井上百合子
キャピュレット夫人 役:冨樫 真
キャピュレット 役:廣田高志
モンタギュー夫人 役:一谷真由美
モンタギュー 役:松澤一之
乳母 役:星田英利
僧ロレンス 役:石井愃一
【チケット】
一般発売:発売中
公式サイト
https://2023-romeoandjuliet.com/
Twitter
gallery
present
高杉真宙さん・矢部昌暉さん・新原泰佑さん・三浦獠太さん・佐伯大地さんのチェキを1名様にプレゼント
応募方法:
①Sparkle公式Twitterをフォロー
②対象ツイートをリツイート
※応募締切:2023年10月15日(日)23:59まで
※当選された方にのみ、Twitterのダイレクトメッセージ(DM)にて、Sparkle公式アカウント(@Sparkle_stage)よりご連絡いたします。当選者の発表はDMをもって代えさせていただきます。
※プレゼント発送に必要な情報はDM上のみでお伺いします。応募フォームへの誘導と称してURLをクリックさせるようなことはございません。
※頂いた個人情報は、プレゼント発送以外の目的では使用いたしません。
※Twitter(X)の仕様が変更された場合、上記規約を変更する可能性がございます。予めご了承ください。
credit
テキスト:田代大樹
撮影:平田景子
スタイリング:荒木大輔(高杉)、岩田友裕
ヘアメイク:堤紗也香(高杉)、大岩乃里子、塩澤優花、塚原ひろの