東京での生活に行き詰まった主人公・祐也が、恋人と一緒に故郷に帰省し、幼馴染と過ごした思い出の秘密基地を訪れるところから始まる物語。
夢や恋、友情とそれぞれが向き合う青春群像劇で映画初主演を務めるのはTHE RAMPAGEのパフォーマーとして活躍する鈴木昂秀。鈴木は、グループ内ユニットMA55IVE THE RAMPAGEのメンバーとして本作の主題歌も担当した。
そして本作が長編映画の初監督作品となる俳優の碓井将大。アーティストと俳優、監督と俳優……「Sparkle web」後編として、鈴木昂秀さんと碓井将大さんのソロインタビューも公開!
全2回の2回目/前編はこちら
solo interview:鈴木昂秀
数年前から、ご自身で作った楽曲が未発表ながらたくさんあるというお話をしていらっしゃったと思います。その時から換算すると、もう相当なストックがあるのでは?
鈴木:ストックはたくさんあるんですけど……。やっぱり昔作った曲を聞き返すと、聴いてられないものばかりで(笑)。今年に入ってから作った楽曲だけでも、すでに20曲くらい作っていて。今年はいろんな形で世の中に発信していきたいという思いで、機材購入にもガッツリお金をかけまして。家に篭って作業するために自分の部屋をスタジオ化して、人を呼んで一緒に曲を作ったりもして。そして形ができたら自社のスタジオも借りてラフでミックスしてもらって、録って……みたいなことを年始から繰り返していて。
ちょうど2月に、そこでできた楽曲のRECとかもしようかなと思っているところなんです。MA55IVE THE RAMPAGE(以下、MA55IVE)はもちろん、THE RAMPAGEの曲についてもディレクションをしたり……そういうことをやりたいんで。今はゴリゴリ制作中です。きっとどこかで僕の名前を見ることが多くなる年になるかなと思います。いや、絶対にそうなります! もう言い切ります!……って言っておかないと頑張れないタイプだから(笑)。
楽しみにしています! そういう意味では、今回の映画の主題歌である「ガーベラ」もご自身から提案されたそうですが、それを話した時のメンバーの反応は?
鈴木:意外とあっさりと受け入れていただきましたね。映画寄せの楽曲でありつつ、自分たちらしい楽曲になったんじゃないかなとも思っているんです。MA55IVEには「Way Up」という背中を押してくれるような楽曲があるんですけど、今回は映画の世界観に合わせて、さらに幅広い方に聴いてもらえるような曲を目指しました。
メロディーラインもたくさん考えて……多分サビは50回くらい歌い直したかな。ここは違うな、とか。一番最初のデモも残ってるんですけど、メロディーラインは全く違うものになっていますね。これ、制作間に合うかな?と思った瞬間もあったんですけど……意外とできました!
作詞に関してもガッと作り込んだというよりか、サラッといい曲ができた感じで。でも自分はそこにたくさんの思い入れがあって。本当にこうやって形にすることができて良かったです。
“鈴木昂秀”制作の楽曲が世に出る、記念すべき1曲目になりましたね。
鈴木:めちゃくちゃ嬉しいです! 自分のやりたい夢の一つがやっと叶いました。またここから2歩3歩と進んでいけるように、これからもたくさんの曲を作っていきたいです。
これまでの俳優のお仕事で言うと、「HiGH&LOW」、REAL RPG STAGE『ETERNAL』シリーズ、『PICK☆3』などがあげられますが、「この経験があったから映画でこんなお芝居ができた」と思うことはありますか? 『Sparkle』では『ETERNAL』出演メンバーの取材をさせていただいたことがありますが、皆さんがそれぞれの形でお芝居に向き合っていた印象です。
鈴木:『ETERNAL』は大変でしたねぇ……。確かに〝精神力〟という面では、あの作品で完全につきましたね(笑)。元々演技は好きだったし、やりたいっていう思いはあったんですけど、『ETERNAL』の稽古をやっていた時は「自分に演技は合ってないのかな」って悩んだ時期でもありました。今だから言えますが、一度は演技を辞めたくなるレベルまで落ち込んでしまって。でも、一緒に出演していたメンバーから「それでもいいから1回やってみようぜ」ってケツ叩いてもらって挑んだ結果、お客さんからスタンディングオベーションを頂くこともできて。その景色を見ることができた時、「やって良かったな」って達成感もありましたし、「ちゃんと見てくれる人はいたんだ」って思えました。
演技が好きだし、他のメンバーよりも上手いって自信がどこかにあったりもして。でもだからこそ、演技ができなくなってしまった自分に後悔もしました。ダメじゃん、って。ダンスもそうですけど、自分の性格的に嫌いになってしまったらダメなんだなって思いました。もう一生そうならないようにしなきゃって。やるって決めたら最後までちゃんとやる、そう決めました。大変でも、自分で自分のケツを叩くことを心掛けるようにしています。
お芝居に向き合えた分、演じることへの思いも強くなったのでは?
鈴木:そうですね。今は前よりもっとお芝居が好きですし、むしろこの映画を通して本当の意味で演技が好きになったからこそ、この先もたくさん演技のお仕事もやっていきたいなって思いました。自分の仕事の幅というか、「もっとやりたい」と思う目標に対しての幅がすごく広がった分、それをちゃんと形にして、世の中に発信していけるように頑張っていきたいです。
solo interview:碓井将大
監督をやってみて感じた魅力は?
碓井:監督は、作品の世界観を作れるところが一番魅力的なのかなと思います。自分は撮影や録音などの機材が好きだし、スタッフさんたちとコミュニケーションを取るのも好きで。俳優だけをやっている時は、忙しなく動かれているスタッフさんにはお声掛けできないことも多かったんですけど、そういった制作側の人たちがどういう思いで仕事をしているかとかも、監督をやることで知ることができて。そういう、各部署の思いとかも知れるのが監督業や作り手の魅力なんじゃないかなと思います。
元々、作り手への憧れが?
碓井:作っている人たちの思いに興味がありました。今振り返ると、自分が留学している時に、留学先の学校で「こういう風に作っているんだ」というのを知られたのが大きかったのかもしれないです。きっと、いろんなところに“演劇の留学をした”って書いていただいてると思うんですけど……僕が行った学校は、演劇の学校と制作の学校がくっついていて。作る方もそこでたくさん学ばせてもらったんです。そして日本に帰ってきてからは、監督をしている先輩がいる制作会社さんで、少しの間ですが勉強させてもらったという経緯もあって。
そして今回が初の長編映画への挑戦となりましたが、改めていかがでしたか?
碓井:今まで俳優だけをやっていた時よりも、いろんな苦労を知れました。だからこそ、自分が出演する時に懸ける思いやモチベーションもグッと上がりましたね。映画って、誰かの思いがあってできるものだなということを改めて再確認できたので、監督をやったからどうとかじゃなく、演者として作る時もなるべく気持ちの水準を高く持って取り組みたいなと思いました。
本作において、碓井監督の色はどういうところに出ていると思いますか?
碓井:俳優としての仕事が全然無い時、映画をたくさん借りて観ていたんです。それしか勉強する方法が分からなくて。それでTSUTAYAの「あ」から順に、英語タイトルなら「A」から順に片っ端から借りては観てを繰り返していました。そしてそのうち「映画をたくさん観ているから」ということで、新聞で映画のコラム連載をやらせてもらったりして。それが高じて、今度は「本場アメリカで映画を作っているところに行ってみたい」という気持ちも生まれて。自分の人生を振り返ると、映画に救われ、映画と共に歩いてきたのかな、なんて思うんです。昂秀との対談でも話したように、自分が好きな映画は、終わった時に「この先、この人たちはどう生きていくんだろう?」って思える作品で。そういうものを僕自身も撮りたいなという風に思っていたんです。
碓井さんご自身が感じてきたものが、この映画にも投影されているんですね。
碓井:人生って、全部は説明されないんですよ。だから自分の作品の中でも、説明が強いものはなるべく省きたいなと思ったんです。だから分かりづらい描写がもしかしたらあるかもしれないんですけど、人生はそんなものだと思っているんです。残酷だし、いいことばかりじゃないし、断片的だし。それは映画を作る中で大きなテーマとして持っていて。内容は別なんですけど、“映画を作る”ことにおいては、そういう風に思って取り組みましたね。
人生、フィクションのようにはいかないですもんね。
碓井:そうなんですよ。日常はつまらないことの連続だったりするけど、でもだからこそ、自分たちが生み出すもので少しでもお客さんが楽しんでもらえたらって思いますし、そういうものができたらいいなと思って取り組んでいます。
本作はオールロケ作品でしたが、ロケハンで意識したことは?
碓井:“街の匂いがある場所”っていうんですかね。人が昔いた“匂い”がある場所……今はもう使われていないけど、確かにそこに人がいた痕跡のある場所を探しました。まず、広い画は絶対欲しいっていうのを意識して、街を歩いて。そしてロケハンで撮った写真を架空の街――今回は「風見町」でしたが、そこの地図に並べて、世界観ボードを作ったんです。
風見町のマップを作ったんですね。
碓井:ここが降りる駅で、ここに向かって歩くとこの人の家がある、ここを歩くと居酒屋、秘密基地にはこういうルートで行く……ということを全て決めて、事前に俳優の皆さんに共有したんです。初めて行く場所になるべく溶け込んでもらいたいというか、やっぱりみんな地元の人間を演じるわけなので。やっぱり自分が俳優として参加している時に「こういうことも知れたらいいな」って思うことは、なるべく投影できたらいいなって思ったんですよね。
映像が綺麗で、ノスタルジックな色味が印象的でした。撮影の際に意識したことは?
碓井:彼らが住んでいる街は古いけど、そこにはノスタルジックな魅力があると思ったんです。古き良き、みたいな。使われてない漁港とかも、あの時代に栄えていた、キラキラした景色が昔ここにはあったんじゃないかって想像させてくれますし、今は埃を被っている美しさって僕はあると思うんです。そういうところをなるべく映像として切り取りたいと思いました。
秘密基地も、昔このゲームセンターでは子どもたちが遊んだりしていたんだろうなとか、きっとここは温泉旅館だったんだろうなとか……。画面上で説明してはいないけど、そういう街の息遣いを感じてもらえるような作品にできたらいいなと思いながら撮影しました。
今後の展望も生まれましたか?
碓井:今回でスタッフィングのことや制作のこと、キャストとの関係値として「もっとこういうことをやっておけばよかった」ということにもたくさん気付けました。次回作へと続く未来への構想ももちろん何本か持っているんですけど、それまでに自分のレベルをもっともっと上げないとなと思っています。高いモチベーションと水準を持って、制作活動にも俳優活動にも取り組んで、また皆さんのお目にかかれるように頑張ります。
information
映画『ただ、あなたを理解したい』
ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国公開中
【監督】碓井将大
【脚本】鈴木裕那、渋谷未来
【出演】
鈴木昂秀、野村康太、新谷ゆづみ
森高 愛、比嘉秀海、伊藤千由李、山本愛香
吉田晴登、城 夢叶
高橋ひとみ
【主題歌】
「ガーベラ」MA55IVE THE RAMPAGE
tadaanata-movie.com
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credit
テキスト:田中莉奈
撮影:田代大樹