映画と演劇、異なる二つのメディアを通じて一つの物語を多角的に描くプロジェクト「東映ムビ×ステ」。
そのシリーズ第4弾となる『仁義なき幕末』の舞台版、舞台『仁義なき幕末 -令和激闘篇-』が上演中だ(2023年5月7日(日)まで東京・サンシャイン劇場、5月18日(木)~5月21日(日)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて)。
映画『仁義なき幕末 -龍馬死闘篇-』の続きを描く本作では、和田琢磨演じる大友一平を軸に、令和のヤクザと幕末の志士が入り乱れる一大抗争が舞台上に展開。
文字通り血で血を洗うド派手な殺陣の応酬と、複雑に絡み合うキャラクターたちの心情が織りなすドラマから片時も目が離せない、超一級エンターテインメントがここに完結を迎える。
report
幕末での死闘を終え、一人令和の世に帰ってきた村田組のヤクザ・大友一平(和田琢磨)。心の傷も癒えぬまま、一平は敵対する錦旗会との抗争に身を投じていく。
そこへ、坂本龍馬(松田 凌)、土方歳三(石黒英雄)、沖田総司(本田礼生)、原田左之助(小野健斗)、中岡慎太郎(赤澤 燈)、桂 小五郎(岡 宏明)ら歴史上の偉人が現代にタイムスリップ。村田組と錦旗会に分かれ、幕末さながらの激闘を演じる。
前半の見どころは、アクションシーン。だんだら模様の羽織をまとった新選組が、スーツ姿の令和のヤクザと斬り合う“時空の入り乱れた”戦いは、本作ならではの光景。
さらに歌とダンスを盛り込み、血生臭い任侠の世界にポップなアクセントを加えている。
そんなエンタメ色の濃い前半から一転、中盤以降は濃密な人間ドラマで観客を惹き込む。
令和のヤクザと幕末のサムライ。生きる時代も環境も違うが、時代に取り残された悲哀という点では同じ。時代遅れのはぐれ者たちが、己の大義を懸けて血を流し合う姿は悲壮でありながら、どこか美しくさえある。
そして、そんな戦いの中で浮き上がってくるのは、本編の主人公・一平の孤独。上映中の映画で“ある罪”を犯した一平が自らの過ちにどうケジメをつけるか。そこに、物語の焦点が絞られていく。
素直に本心を口に出せないのが、任侠の男。その不器用さが、悲劇を招く。大切なものほど傷つけてしまう男たちの愚直な生き様に胸が苦くなる。
タイムスリップというSF要素が盛り込まれているが、舞台上で繰り広げられる凄絶な任侠劇は、『仁義なき』という冠にふさわしいもの。
任侠ものを愛する毛利亘宏らしく、『仁義なき戦い』へのオマージュを感じる演出も見られ、ヤクザ映画ファンにとっても歓喜の出来映え。そこに紡がれる坂部 剛の哀愁漂う音楽が、男たちの挽歌として観客の胸に響くだろう。
information
舞台『仁義なき幕末 -令和激闘篇-』
【日程】2023年4月27日(木)〜5月7日(日)
【会場】東京・サンシャイン劇場
【日程】5月18日(木)~5月21日(日)
【会場】大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【作・演出】毛利亘宏(少年社中)
【出演】
大友一平 役:和田琢磨
坂本龍馬 役:松田 凌
大友小夜 役:水谷果穂
土方歳三 役:石黒英雄
沖田総司 役:本田礼生
原田左之助 役:小野健斗
尾崎水月 役:木津つばさ
北園郷蔵 役:吉田メタル
蘭月童子 役:荒川ちか
桂 小五郎 役:岡 宏明
若松総太郎 役:柏木佑介
中岡慎太郎 役:赤澤 燈
伊達唯臣 役:鈴木勝吾
岩上美優、岡田治己、鹿糠友和、小山雲母、杉本佳幹、夛田将秀、星 賢太、横山慶次郎
【ナレーション】
矢崎 広
【チケット】
公式サイト
toei-movie-st.com/jinbaku/stage
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村田恭次(坂本龍馬)役:松田 凌 掲載
『Sparkle vol.52』発売中
内容:本文8ページ(インタビュー+コラム&撮り下ろしグラビア)
+巻末綴じ込み付録:松田 凌ツヤツヤ厚紙ピンナップ
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