「青春に台本はない!」構成演出の川尻恵太が新たに仕掛けるのは、アイドル、芸人、俳優などさまざまな属性のキャスト14人を集めた“筋書きのない演劇”。
大まかな設定はあれど、あらすじは仮、キャラクターも仮。役者と共にゼロから話し合い、稽古場から生まれたものをストーリーに仕立て上げてゆく斬新な手法で作り上げられる舞台、『ドラマチックハイスクール』が、2022年10月7日(金)に東京・品川プリンスホテル クラブeXで開幕した。
Sparkle webでは、映像研究会に所属し監督を志す男子生徒・加藤清海を演じる田村升吾にインタビュー。とはいえ、この設定ももちろん「仮」。全く新しい挑戦となるこの実験作に対する意気込みや、田村自身の高校生活についても伺った。
ここで語られた内容が果たして実際に上演されるのか、真実はぜひ劇場で見届けてほしい。
interview
この『ドラマチックハイスクール』はあらかじめ決められた台本が無く、役者の皆さんが構成演出の川尻恵太さんと話し合いながら、稽古場から一緒に作られる物語と伺っています。新しい試みで作られる演劇かと思うのですが、参加が決まった時のお気持ちは?
田村:ざっくりとした設定だけしか決まっていないということで、初めは「大丈夫かな?」って思いました。でも川尻さんが「自分の劇団ではこれに近いことをやっているので、ある程度勝算はあります」とおっしゃっていて。なので川尻さんについていけば、“みんなで作る演劇”としていいものができるんじゃないかなと思います。
稽古場でやる作業がいつもと違うことになりそうですよね。普段は“脚本“という正解があるものを自分たちで深めていくのですが、今回は0から1を作る作業になる。僕もやったことがないので、これからどのような形で作っていくのか不安ですけど、やったことのないことをやれるのは楽しみでもあります。
川尻さんとはご面識はありますか?
田村:以前、ミュージカル『刀剣乱舞』 歌合 乱舞狂乱 の脚本に入ってくださっていたのですが、川尻さんの担当部分は自分が出ていたパートではなかったんです。でも他のキャストが演じる本番を観て「面白いホンだな」と思っていました。いつかはご一緒したいなと思っていたので、今回はとても楽しみですね。
「テレビ演劇 サクセス荘」の監督・脚本も手掛けています。
田村:あれもアドリブ劇ですよね。何か化学反応が起こせるように、僕も色々提示したいなって思います。
提示というところで言うと、田村さんはこれまでコメディ色の強い作品にも数々出演されています。そういう作品の稽古場では、自分からアドリブを仕掛けていく方ですか? それとも相手が出るのを待って、それに返す方ですか?
田村:自分から出しますね。「NO」って言われる覚悟で出すのが好きです。でも事前に作り込んでやることはあまりないですね。その場で思いついてやったことがアドリブになっちゃうみたいな感じです。
ただこれ難しいんですけど、例えば「ここは日替わりにします」と完全に決まっているシーンでは、自分でちゃんと練っていったものを出すことも必要というか。そういう場合のアドリブはなんとなくでやったら良くないと思うので、ある意味一番練習しなきゃいけないんですよ。日替わりのアドリブこそ、生っぽく見えて実は綿密に準備している方が結構多いんです。僕もそれを見習いたくて、挑戦しようと思った時は結構練りますね。
でも稽古場ではわりかし、その場で生まれたものを大事にしたいなと思っています。今回はまだどんな作り方になっていくのか全然分からないので、状況に合わせて自分なりに案を出していければなと。
この取材時(稽古開始前)の段階では、「加藤清海」という役名と大まかな設定しか与えられていない状態です。この限られた手掛かりしかない中で、どうやってキャラクターを作っていきますか?
田村:いやー、まず真面目なのか陽気なのか、その大枠で作り方が変わってくるなって思います。主役の女の子は陰キャって決まってるんですけど、自分はどっち側なのか、ですよね。みんなとのバランスを見ながら決めたいですね……。
(ここで改めて資料を手に取って)「映画研究会に所属して、将来監督を志している」。僕はまだ作る側には回ったことないんですけど、そっちも素敵だなとずっと思っていたんですよ。最近そういう映像研究会みたいな、個人で作ったフィルムの映画とか結構ありますよね? そういうものを観に行ってみようかな。大きな規模の映画じゃなく、小さな映画館に行って、その監督の作り方とか考えながら。多分、別にそれが何かの役に立つわけじゃないですけど、そういうところから清海の心の動きとかを引き出せていければと思いました。
加藤清海の設定にはもう一つ「文慶と仲良し」というワードがありますが、その朝妻文慶を演じるのはまさかの唐橋 充さんです。
田村:いやめちゃくちゃ嬉しいです! 唐橋さんと以前ご一緒したのが舞台「どろろ」という作品で、3、4年前になるかと思います。その時は僕が子供の役で、唐橋さんは有澤樟太郎くんが演じてた青年の父親役。だからもう見た目からして父親と息子くらい離れた歳のイメージだったんですけど、今回は同じ高校生役で、しかも親友みたいな感じじゃないですか。唐橋さんとニコイチになれるように作っていければなと思います。本当に素敵な方で、でも「どろろ」の時はほとんど役としての関わりが無かったので、お話しすることもそんなに無かったんです。なので今回はちょっと殻を破って、尊敬する先輩として仲良くできればいいなと思っています。
唐橋さんもそうですが、本作はアイドル、アーティスト、お笑い芸人など年齢もバックボーンもさまざまなキャストが集った印象です。共演者の中で特に気になる方はいらっしゃいますか?
田村:そうですね……なだぎ(武)さん。まだご一緒したことはないんですけど、観に行った舞台に出てらっしゃって。やっぱりすごく面白いですし、パワーとか引き出しが絶対的にいっぱいある方だと思うので、何か盗めたらいいなぁなんて思います。
お笑いの方がいらっしゃると独特のテンポ感がありますよね。
田村:やっぱり何か違いますよね。勉強になるんだろうなって思って楽しみです、なだぎさん。
皆さん同じクラスですから、きっと絡みもありそうですよね。
田村:でもどうやってみんなが絡んでいくんだろうなって感じですよね。だってみんな個性しかないじゃないですか。読モ、生徒会長、映像研究会、野球部のエース、ギャル男、先生、不良、文系男子、ガリ勉……。
一人一人でそれぞれストーリーができちゃいそうなくらい“濃い”方々ばかりですよね。
田村:本当ですね。だから「どこに(話の)終着点を作るのか」とか「どこで落とすのか」とか、それも僕たちに委ねられているのかな?
田村さん演じる加藤清海がメインの話も出てくるかもしれないですね。
田村:そうですね。何か物語を背負うのか……そもそも、そんな重い話をするのかな?(笑) でも学園生活って、他人からしたら正直どうでもいいようなことでも、その当時は楽しかったり悔しかったり苦しかったりするから。そういう高校生の苦しさ、心の脆さ、でもキラキラしてたりしているそういう部分を、自分の経験と照らし合わせながら表現していければなと思います。
田村さんは実際どんな高校生活を送ってましたか?
田村:もう高2くらいからお仕事をしていたので、漫画のような青春はできなかったですね。取り戻したいなって思うけど、若い内からお仕事ができたことは今となってはとても糧になっているし……でも「ちゃんと高校生活したかったな」っていう思いもあります。
あとちょっと斜に構えてましたね。今思うと、ちょっとイタかったんじゃないかな。分かりやすく“思春期”みたいな(笑)。女子とは喋らなくて、男子としかつるんでなかった記憶があります。今は「みんなと仲良くしておけばよかったな」って思いますけどね。人見知りというのもあったと思うんです。もっと殻を破っておけばよかったな。振り返ると「だせぇな」とも思いますけど、でもその時の自分も自分だし、大人になってからは殻を破っていろんな人と喋れるようになりました。
人見知りを克服したんですね。
田村:恥ずかしいってのもあったと思うんです。目立つの恥ずかしかったんですよ。今なんでこんな仕事してるんだろうって多分みんな思うと思うんですけど(笑)。だから僕にとっての高校生活は“取り戻したい時間”ですね。
そんな思いを今回の役に反映してもいいかもしれないですね。
田村:そうなるときっとめちゃくちゃ陽気なキャラになっちゃいますね(笑)。
現段階では田村さんも何も分からない状況かとは思いますが、お客さんにはどのようなところを楽しみにしていてほしいですか?
田村:まず僕自身、青春群像劇なんてやったことないんじゃないかなってくらいなので、普通の学生を演じている姿を見せられることがとても楽しみです。そして唐橋さんもそうですが、僕の先輩方も同年代になって高1、高2、高3と同じ3年間を過ごすということで、観に来てくださる皆様もきっと同じように学生に戻った気持ちになれると思うんです。他の女性キャストやメンズキャストにも個性的な役がいっぱいいるので、誰に共感して観てもらっても面白い最後を迎える作品になるんじゃないかな。僕の役に共感しながら観る人も、二度目は唐橋さんの役に共感しながら観てもいいと思うし。そうすれば何度観ても面白いんじゃないかなと思いますし、主役は一応いるけど、そうやって観ればみんなが主役になる。学生時代なんてみんなが主役じゃないですか。その感覚をお客さん含め、一緒に味わえたらいいなって思います。
information
『ドラマチックハイスクール』
【日程】2022年10月7日(金)~10月16日(日)
【会場】東京・品川プリンスホテル クラブeX
【構成演出】川尻恵太(SUGARBOY)
【出演】
星名美怜(私立恵比寿中学)、佐奈宏紀、田村升吾、田島芽瑠、風見和香(私立恵比寿中学)
鈴本美愉、草地稜之(円神)、中本大賀(円神)、後藤萌咲、福島海太
村田 充、唐橋 充/馬場園 梓/なだぎ 武
【チケット】
公式サイト
【配信】
2022年10月9日(日)12:30公演、17:00公演
詳細ページ
dramatic-highschool.com
Twitter
gallery
YouTube
present
田村升吾さんのサイン入りチェキを2名様にプレゼント
応募方法:
①Sparkle公式Twitterをフォロー
②対象ツイートをリツイート
※応募締切:2022年10月23日(日)23:59まで
※当選された方にのみ、Twitterのダイレクトメッセージ(DM)にて、Sparkle公式アカウント(@Sparkle_stage)よりご連絡いたします。当選者の発表はDMをもって代えさせていただきます。
※プレゼント発送に必要な情報はDM上のみでお伺いします。応募フォームへの誘導と称してURLをクリックさせるようなことはございません。
※頂いた個人情報は、プレゼント発送以外の目的では使用いたしません。
check
田村升吾掲載
『Sparkle vol.48』発売中
内容:【田村升吾×永田聖一朗】
本文8ページ(対談インタビュー+ソロコラム&撮り下ろしグラビア)
+巻末綴じ込み付録:田村升吾×永田聖一朗ツヤツヤ厚紙2shotピンナップ
credit
テキスト・写真:田代大樹