『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stageより展開されている、各ディビジョンごとの単独ライブ《Rep LIVE》(レペゼンライブ)。
2022年7〜8月に行われたヨコハマ・ディビジョン、シブヤ・ディビジョンのライブに引き続き、今年はシンジュク・ディビジョン、オオサカ・ディビジョン、イケブクロ・ディビジョン、そしてナゴヤ・ディビジョンの《Rep LIVE》が日本各地で展開中だ。
「Sparkle web」ではナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”より、四十物十四 役の加藤大悟にインタビュー。
本シリーズへの出演が自身のキャリア初舞台であり、そこから破竹の快進撃を続ける加藤大悟の原点とも言える『ヒプステ』、そしてナゴヤ・ディビジョンについて。
憧れでもあった《Rep LIVE》への想いや、昨年開催された《Bad Ass Temple VS 麻天狼》のエピソード。
さらにはアーティストとしても大活躍の加藤に、役者活動から音楽活動に還元されることや、アーティストとしてのビジョンも伺った。
ロングインタビューを前後編に分けて公開する。
全2回の2回目/前編はこちら
interview
もう少しだけ《Bad Ass Temple VS 麻天狼》を振り返りたいのですが、今回相対したシンジュク・ディビジョンについても、刺激を受けたり感化されたりしたことはありましたでしょうか?
加藤:アダルトだな、かっこいいなって思いました! (鮎川)太陽さん、荒木(宏文)さん、井出(卓也)さんにしか出せないアダルトさがまさにシンジュク・ディビジョン“麻天狼”でしたし、その姿を見て「ナゴヤも負けてられないな」って思いました。とはいえ今回の(神宮寺)寂雷は(天国)獄と対峙する時、精神の持ちようがちょっと子供っぽいんですよね。
シンジュクと比べると、ナゴヤは子供っぽさがあるんですよ。でもその無邪気さがすごくいいなって思っています。一方、シンジュクは大人の価値観で殴ってくるタイプのディビジョンですよね。僕がすごく好きなのが、(波羅夷)空却に対して(観音坂)独歩と(伊弉冉)一二三が言葉をかけるシーン。そのおかげで空却が成長して帰ってきて獄を叱るっていうあの流れも、独歩と一二三がいたからこそできたのかなと。
そして僕にとっては、荒木さんという事務所の大先輩の存在も大きかったです。荒木さんのお芝居を間近で観させていただいたことは本当に勉強になりました。それに僕がすごくびっくりしたのは、荒木さんが意外とイジられキャラだったことです(笑)。
そうなんですか!?
加藤:たぶんナゴヤとシンジュクの相性がすごく良かったんですよね。うちの廣野(凌大)が荒木さんをいじるんですよ! シンジュクの井出さんも荒木さんと歳が近いからか楽屋でも仲が良くて、井出さんがよく荒木さんを笑わせていたのを覚えてます。荒木さんの新たな一面を見られてホッコリしました(笑)。
加藤さんの立場から荒木さんをいじることはなかなかできないですもんね(笑)。
加藤:絶対に無理です!!(笑) だけど今回で荒木さんにより話しかけやすくなったというか、すごくたくさん話ができたので、良かったなって思います。
また『ヒプステ』を構成する重要な要素として、ディビジョン・ダンス・バトル “D.D.B”の存在は欠かせないかと思います。同じ板の上に立つ加藤さんだからこそ分かる彼らの凄さや、助けられたことなどありましたら教えてください。
加藤:僕たちキャストが飲み込まれちゃうんじゃないかっていうぐらい、存在感がハンパなくて! でも「あくまでもお前らが輝いてくれ」と僕たちを持ち上げようとしてくれる気持ちがすごく伝わってくるんです。なんてったって皆さん世界で活躍しているダンサーの方々ですから、僕からしたら同じ板の上で一緒にダンスしてパフォーマンスできること、お客様を喜ばせるエンタテインメントを一緒に作れることがすごく幸せで。“D.D.B”の皆さんがいなければ『ヒプステ』は成り立たないって思いますし、僕たちのバイブスもブチ上げてくれる本当に重要な方々です。
稽古中も常に刺激を受けている?
加藤:すごいですよ。毎回本気で踊るんです! 演出の植木さんに「ちょっともう止めて! やりすぎだから。身体のことが心配だ」って言われるぐらい毎回本気でやってくれるんです。だから僕たちもそれに乗せられて本気になりますし、本気でぶつかり合えることですごく「稽古してるな!」って感じられます。
以前『Sparkle vol.50』で表紙を飾っていただいた際、インタビュー内で加藤さんから演出の植木さんに「《Bad Ass Temple VS 麻天狼》ではもっともっと成長した姿を見せたい」という発言がありました。
加藤:稽古中に豪さんが「大悟、すごく成長したね」みたいなことを言ってくださったんです。スタッフの方からも「変わったね大悟」って言葉を頂いて。3年前の『track.3』からしっかり成長した姿を見ていただけたのがすごく嬉しかったです。
具体的に「ここが変わった、成長した」とご自身で思うところは?
加藤:やっぱりこれまで色々な舞台に出演させていただけたことで、舞台での居方というものが少しずつ分かってきたのかなと。自分では「まだまだだな」と思うんですけど、セリフ回しなどの引き出しが少しは増えたんじゃないかなと思います。そこに関して「成長した」と言っていただけたのかなと思っています。
それでまた凌大さんと(青柳)塁斗さんにいじられるんですけどね。「大悟さんならやれんだから」とか「大悟さんのおかげですね!」とか。ああ、どこまでいっても僕はいじられるんだな、と(笑)。
そしてさらにさかのぼり、『track.3』で初舞台を踏む前のタイミングでも『Sparkle vol.42』でインタビューを。
加藤:僕、めっちゃ覚えてます!
ありがとうございます。その際は「体重を5kg落として十四と同じにした」「原作CDを何度も聴き込み、歌い方を近づけた」などストイックな役作りについて語っていただきました。今でも十四を演じるに当たり気を付けていること、意識していることはありますか?
加藤:そうですね、今でも原作の音源はたくさん聴かせていただいています。でも『track.3』を経て十四くんのことを色々と知ることができて、その後も色々な舞台に出させていただきいろんな方から吸収して思ったことは、“声だけ似せる”っていうのはちょっとダメなのかなって、最近ちょっと分かってきたというか。
僕たち生身の役者ができることは、そのキャラクターの性格や気持ち、考えていることなどを読み取って、それを舞台上で表現するということだと思うんです。声などはもちろん寄せていかなくてはいけないんですが、それは気持ちを作っていく上で自然とだんだん似てくるというか。もちろん歌も、ヴィジュアル系の歌い方や(『ヒプノシスマイク』四十物十四 役の声優)榊原(優希)さんの歌い方をすごく勉強して似せるようにしましたけど、“似せる”というよりかは“もう一人の四十物十四”を舞台上に誕生させる、輝かせるということが、僕はすごく大事なことなんじゃないのかなと。2.5次元舞台でしか誕生させることができない四十物十四を僕が一役者として演じること、それがすごく大事だと思っています。
その考えに至ったのは、周りの役者さんから自ずと感化されたのか、それともどなたから直接アドバイスを頂いたのでしょうか?
加藤:それも凌大さんと塁斗さんが背中で語ってくれたことがすごく大きかったかもしれないです。声優さんと同じことを役者がやろうとしたら意味が無いというか。せっかく一人の役者なんだから、声優さんの『ヒプマイ』と役者の『ヒプステ』という二つのコンテンツ、新しいコンテンツを僕たち自身が生み出さなければいけない。そういうことをすごく背中で語ってくれているので、今でもその姿勢を勉強しています。
こうして振り返ってみても、十四はまさに役者・加藤大悟のキャリアと共に歩んできた役かと改めて感じます。これまで様々な役を演じてこられた加藤さんにとって、改めて四十物十四はどのような存在になっていますか?
加藤:十四くんのように、人から受けた愛をしっかりと返すことができる人って僕はあんまりいないと思っていて。《Bad Ass Temple VS 麻天狼》で自分のいじめられた過去を振り返って歌にして、獄と空却からもらった愛を今度は獄のことを助けようとする気持ちに変える。僕、「この子は本当に強いな」って思ったんです。そんなことできないじゃないですか普通。
獄にいじめから助けられて、空却という自分をビシバシ鍛えてくれる人に出会って、その二人によって自分自身を成長させて、ちゃんとその成長によって自分自身を内から変えていく。そして獄に「今度は自分が助ける番です」と言える十四くんが、本当に素敵だな、かっこいいな、可愛いだけじゃないなと。ナゴヤのメンバーの一人として恥ずかしくないかっこよさがここにあるなって、僕は改めて思いました。
加藤さんはアーティストとしても5月14日に自身2度目のライブツアーを完走したばかりです。ファイナルは豊洲PITと、これまでで最大のキャパシティでした。
加藤:いやもう圧巻でした。何も言うことはありません。すごすぎました。過去の自分に「お前は一人でこんな大きなステージで、アーティストとして自分の夢を叶えるんだぞ」ってことをとにかく伝えてあげたいです。
緊張感が無かったと言ったら嘘になりますけど、とにかく楽しみまくったという記憶しかないですね。とにかくこの時間の一分一秒を噛み締めながら、皆様とライブを楽しませていただきました。
『ヒプステ』やその他の舞台で培ったものがアーティスト活動にもフィードバックされることはあるのでしょうか?
加藤:それはすごくたくさんありまして。役者は役になって台本やセリフを読むじゃないですか。そうすると役ごとに様々な感情でセリフを読んだり人と会話をしたりするわけですが、歌というものも僕はそれに付随するものがすごくあるなと思っているんです。いろんな表現で歌うことにより、皆さんがいろんな感情を受け取ってその楽曲を聴くことができる。例えば「ここは悲しいところなんだけど、“怒り”で歌ったらどうなんだろう?」とか、そういう感情の引き出しが以前に比べて見違えるように増えたんです。なので役者活動とアーティスト活動というのはすごく繋がっていると思います。
1stシングル「0%」の配信も開始されました。
加藤:元々自分が一番聴く音楽がバラードで、中でも失恋ソングが大好きなんです。僕にとって一番最初のソロ曲で、しかも自分で作詞させていただけるということで、じゃあ失恋ソングを書こう、と自分の中でストーリーを組み立てました。僕はゴリゴリの三角関係とかドス黒い恋愛モノが大好きなので(笑)、最初の曲は自分が好きなそういう音楽を皆様に共有したいって意味で作詞させていただきました。だから思い出深いこの曲が1stシングルとして配信リリースされたり、映画『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』の主題歌にも起用していただいたりと、本当に感無量です。
「0%」の他にも何曲も作詞をされていますね。
加藤:ずっと考えても歌詞が浮かばない時は、外に出て歩いたり走ったり、お酒飲んだりとか色々します(笑)。電車に乗ったら急に出てくる時もありますね。思いもしないタイミングで出てくることもあるので、そういうところも作詞の面白さかなって思います。
僕は元々たくさんの言葉を知っているわけではないので、ド直球にストレートな歌詞を書くスタイルでやらせていただいてます。でも役者として頂くセリフには色々なパターンがありますし、そういうものからインスピレーションを受けることもありますね。
2度のライブツアーを終え、今見えているアーティストとしての目標は?
加藤:まだ2度目なのに豊洲PITに立たせていただくという、僕としては快挙みたいなことが起きてしまったので、今の自分をもっと超えていかなければならないですし、役者活動も続けながらアーティストとしての幅を広げて、もっともっと皆様に加藤大悟という存在を知っていただきたいです。音楽というものは本当に素晴らしいんだよ、ライブって本当に素晴らしいエンタテインメントなんだよってことをもっと皆様に伝えたい。この気持ちだけはずっと忘れずにアーティスト活動をしていきたいなと思っています。
僕の中で“音楽”というエンタテインメントはずっと続けていきたいコンテンツの一つ。皆様に幸せになってもらって帰っていただけるような、そんなライブをこれからもやっていきたいなと思っています。
ありがとうございます。そしていよいよ《Rep LIVE side B.A.T》が名古屋の地から始まりますが(※取材時)、あえてナゴヤ・ディビジョンのファン以外の方、他ディビジョンのファンの方々にナゴヤの魅力を伝えるなら、どんな言葉になるでしょうか?
加藤:ひたすら汗をかいて熱くなって楽しめるライブを求めている皆様、ぜひ我らがナゴヤ・ディビジョンのライブに来ていただいて、一緒にブチ上がって、一緒に声枯れるぐらいまで楽しんでください! いろんなストレスを抱えるこの時代、こんな時代をぶち壊すくらいの勢いで皆さんと一緒に楽しめたらなって思うので、そんな刺激を求めている皆様にもぜひ来ていただきたいなと思います!
ナゴヤ・ディビジョンの《Rep LIVE》を待ち望んでいたファンの皆様にも、最後にメッセージを。
加藤:はい! ナゴヤ・ディビジョン推しの皆様、四十物十四 役の加藤大悟でございます。今回ナゴヤ・ディビジョン初めての単独ライブをさせていただきます。ナゴヤ・ディビジョンにしか出せない味、ナゴヤ・ディビジョンにしか作れない空間を皆さんと一緒に作り上げて、この全12公演駆け抜けていきたいと思います。
そのためにはやっぱり皆様のお力が必要ですし、僕たちも皆様と一緒に作り上げていくためだけの力をこれから用意しなければなりません。稽古は今進んでいますが、もうすごくブチ上がることは間違いなしだと思います。
なので皆様にはとにかくこのステージを楽しんでもらって、日頃の嫌なこと、ストレス、なんでもいいです! 全部このライブで吹っ飛ばしてもらって、また一から仕事頑張ろう、いろんなことを頑張ろうって感じていただけたら僕たちは幸せです。ぜひ皆さん足を運んでいただいて、一緒に最高のライブを作り上げましょう! よろしくお願いします!!
information
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《Rep LIVE side B.A.T》
【日程】2023年5月30日(火)、5月31日(水)
【会場】愛知・Zepp Nagoya
【日程】6月5日(月)、6月6日(火)
【会場】大阪・Zepp Osaka Bayside
【日程】6月8日(木)~6月10日(土)
【会場】東京・Zepp Haneda(TOKYO)
【演出】植木 豪
【脚本】亀田真二郎
【音楽監督】KEN THE 390
【テーマソング】井手コウジ
【出演】
ナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”
波羅夷空却 役:廣野凌大
四十物十四 役:加藤大悟
天国 獄 役:青柳塁斗
ディビジョン・ダンス・バトル”D.D.B”
Toyotaka、RYO、gash!、SHINSUKE、HILOMU、Dolton、KENTA、GeN、KIMUTAKU
【チケット】
公式サイト
【配信】
ABEMA PPV ONLINE LIVE
【商品情報】
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《Rep LIVE side B.A.T》
Blu-ray・DVD 2023年9月27日(水)発売決定
詳細ページ
hypnosismic-stage.com/replive2023
Twitter
credit
テキスト:田代大樹