【鯨井康介×橋本汰斗×牧田哲也】ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』5~鉄路にラブソングを~【グラビア&インタビュー前編】

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日本各地を走る鉄道路線を擬人化した鉄道トリビアコメディコミック『青春鉄道あおはるてつどう』を原作に、2015年に第一弾が上演されるやいなや大反響を巻き起こしたミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』(通称『鉄ミュ』)。
そのシリーズ最新作となるミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』5~鉄路にラブソングを~ が2023年6月15日(木)より上演される。

「Sparkle web」では、シリーズ第一弾から出演する東海道本線 役の鯨井康介、シリーズ第二弾から西武新宿線 役として出演し、本作では函館本線 役も兼ねる橋本汰斗、そして本作がシリーズ初登場となる北陸本線 役の牧田哲也に話を聞いた。ボリュームたっぷりの鼎談を2回に分けてお届けする。
前半ではこれまで外から本シリーズを見ていた牧田の語る『鉄ミュ』の魅力、シリーズを支え続けてきた鯨井・橋本が感じる『鉄ミュ』の変化について。
また彼らが今回演じる東海道本線、函館本線、北陸本線は日本鉄道の黎明期から存在する「はじまりの鉄道・3路線」であり、作品のファンからは「御三家」と呼ばれている3路線。この3路線がどのようなシーンを繰り広げるのか……はたまた繰り広げないのか?
3人での共演は本作が初となるが、インタビューではすでに息ぴったり。本記事を通じて、面白くなること間違いなしの『鉄ミュ』本編第5弾へ期待を大きく膨らませてほしい。

全2回の1回目/後編はこちら

くじらい・こうすけ(写真中央)
1987年7月20日生まれ、埼玉県出身。最近の主な出演作に、MANKAI STAGE『A3!』シリーズ(鹿島雄三 役)、8月上演の舞台『弱虫ペダル』では演出も担当。2023年8月28日より、リーディング『First Love ~ツルゲーネフの「初恋」~』への出演を控える。Twitter

はしもと・たいと(写真右)
1991年11月1日生まれ、兵庫県出身。最近の主な出演作に、舞台『魔法使いの約束』シリーズ(ムル 役)、『Oh My Diner ~踊るぶんぶん狂想曲~』(マイケル 役)など。Twitter

まきた・てつや(写真左)
1984年6月7日生まれ、愛知県出身。最近の主な出演作に、脳内クラッシュ演劇「DRAMAtical Murder」フラッシュバック(悪島 役)、柿喰う客 新作本公演 『禁猟区』(銅底智羅永 役)など。2023年7月22日より、『嵐になるまで待って』(高杉 役)への出演を控える。Twitter

interview

シリーズ本編もいよいよ第5弾、スピンオフ、Rails Liveを入れると8作目です! まずは本作へのご出演が決まった際のお気持ちをお聞かせください。

鯨井:もう本当に「ただいま」って感じですね。僕は最初(ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』/2015年)から出させていただいているんですけれども、とても温かいカンパニーなので、みんなで口を揃えて「やっと『鉄ミュ』の季節だね」「やっと来たね『鉄ミュ』」なんて言いながら稽古初日を迎えました。

橋本:今回出演が決まって、他のキャストの名前を見てみたら牧田くんを発見して。牧田くんとの共演は10年ぶりぐらいなんです。元々同じグループの一員として活動していたんですが、また同じステージに立てるとは思っていなかったので、すごくびっくりしたと同時にめちゃくちゃ嬉しかったですね。

牧田:そうだね。僕は、自分が『鉄ミュ』に出させてもらうって想像は全くしていなくて。『鉄ミュ』には僕の知り合いもたくさん出ていて、「みんなで何か楽しそうにワチャワチャやっているな」ってイメージを持っていたので、今回お話を頂けた時には「お、これに出れるんだ! 混ぜてもらえるんだ!」ってとても楽しみな気持ちになったのを覚えています。

牧田さんは『鉄ミュ』初登場ということで、これまで抱いていた本シリーズへの印象をもう少し教えていただけますか?

牧田:『鉄ミュ』は元々共演歴がある方々が多く参加されている作品でしたが、僕も『鉄ミュ』に出させてもらえるとは想像していなかったですね。スタッフさんも含めて、久しぶりに会う方もたくさんいて。「あの頃はさ、」みたいな話ができる人たちと一つの作品を作れるってすごく嬉しいことだし、俳優を続けてきて良かったなという気持ちになりました。「みんなこれ、お仕事だと思ってやっているのか?」ぐらいの勢いで楽しんでますよね(笑)。

鯨井:思っては、ないです!

牧田:やっぱりそうだよね!?(笑)

橋本:あっはっはっは!!

牧田:とはいえ、やっぱりシリーズ初参加ではあるので、「混ざれるかな?」って不安もあったんですけど、稽古初日に入った瞬間、そんな心配はぶっ飛びましたね。皆さんの中にすんなり溶け込ませてもらった感じがありました。

鯨井:ま、溶け込ませてやったんですけどね?

一同:(爆笑)。

牧田:こういう冗談や“いじり”を何の挨拶も無しにできちゃうんですよ。鯨ちゃんとは初共演なんですけど、色々な界隈の繋がりがあるので全然“初めまして”感が無く。改めて、これまでたくさんの作品に携われたのは財産だなと思います。

鯨井:バックボーンとして、共通言語があるっていうのは大きいですよね。共通の話題があって会話をスタートさせられる。僕も『テニミュ』から(キャリアが)スタートした感が強いですもん。自分の人生の中で、そこから始めさせていただいた感じがあるからな〜。そしたらいつの間にか、「鉄道です」と言って騒いでいるおじさんになっちゃった。

橋本・牧田:ふははははは!!

牧田:でもそれをお客さんが楽しんでくれるというのが。

鯨井:嬉しい! 俺らが楽しいと感じているものを、あれだけたくさんの方に喜んでもらえるって本当に嬉しいことというか。これだけの高水準で、お互いに幸せな気持ちを共有できることってなかなか無いんじゃないかな? もちろんお客様が喜んでくださっていれば、ですけれども。

橋本:うんうん。

お客様も含めて「ただいま」「おかえり」と気持ちを交わせるような場になっているのかもしれないですね。さらに今回は久々に客席からの声出しも復活するのではと期待してしまいます。

鯨井:復活するんじゃないかと思い、稽古場でも準備しているところなんですよ!

橋本:そうですね!

鯨井:もう誰よりもアクセルを吹かせて待っているKIMERUという男がいますからね。顔合わせで「コール&レスポンスは私の担当です」みたいなことを言ってたので。皆様ご覚悟を、って感じです(笑)。

お客様も喉を温めておかないとですね。

鯨井:確かにお客様の発声も大事になってきますから、家で発声練習だけはしてきてほしい。

牧田:準備が必要なんだ。

鯨井:特にやっぱり“西武の民”が。

橋本:そうですよ! 皆さんの万歳が無いと西武は始まりませんので。

鯨井:万歳も「耳まで上げろ!」って言われますので、肩の可動域もしっかりアップしてきてもらわないと(笑)。

確かに、急に腕を上げると痛める可能性が(笑)。

橋本:ストレッチして挑んでほしいですね(笑)。

鯨井:皆様の覚悟も必要ですよ!

ちなみに今回、牧田さんを始め本シリーズ初参加のキャストも多いかと思います。稽古場の様子はどんな感じですか?

鯨井:溶け込んてくださっているようには見えますけれども……。

牧田:僕はもうすんなり。ありがたいことです。

鯨井:ケンケンさん(鎌苅健太)とか加藤(良輔)さんとかは……初参加とは言え、もう、おじさんなので(笑)。

橋本:ふふふっ。

牧田:いいおじさんですね。

鯨井:それも『鉄ミュ』の魅力の一つだと思うんですよ。「新キャストはフレッシュな若手です!」だけじゃないというか。この世界で言うところの“べテラン”の人たちも、新キャストとして入ってきてくれるのが嬉しいなと思います。かたや、若手のキャストたちも結構伸び伸びやってるように見えるよね。

橋本:そうですね!

鯨井:実は今回、若手新メンバーと呼ばれる人たちは千葉の路線で集まっていたりするんです。僕らとガッツリ絡まない分、逆に伸び伸びやれているのかもしれないし、3人の中のバランスも上手くいってるのかな。

牧田:そこはそこで新たな空気感を出せている感じもありますよね。

鯨井:そうそう。チームで新しい風を吹かせてきてくれているので、それもすごく楽しみだな。

牧田:やっぱりそこでも「キャスティングが素晴らしい」って話になってきますよね。総じて『鉄ミュ』は和やかな人が多いですね。

橋本:確かに!

その和やかな空気感は演出の川尻恵太さんによるところも大きいのでしょうか?

鯨井:そうですね。ただ、ある意味“笑いのプロ”なので、本当のことを言えば一番厳しい方だと思います。

牧田:うーん、確かに。

橋本:うんうん。

鯨井:笑いには一番厳しいと思うんですけれども、表現としては僕らに厳しさを一切見せない方です。ただダメなシーンは面白くなるまでどんどん変わっていきますね。さらっと笑顔で手を差し伸べてくださいますけれども、よく考えると「あ、これはダメってことなんだろうな」ということもあります。でもスタイルとしてはすごく優しい方ですよ。僕らがやりやすいように笑顔をずっと作ってくださる方なので。

橋本:そうですね。基本的にはどんどん稽古場で変えていって作っていく感じが多いと思います。

役者の皆様からも演技のプランを提案したり?

橋本:台本の段階では余白の部分がいっぱいあるので、その部分をどういう風に埋めていくかは、役者それぞれに委ねられていると思います。それでベースを作ったところで川尻さんがアドバイスをくださって、という流れですね。

東海道本線を演じる鯨井さんはシリーズ第一弾から、橋本さんは西武新宿線 役としてシリーズ第二弾のミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』2 〜信越地方よりアイをこめて〜(2016年)から出演。共に本シリーズを引っ張ってきたお二方かと思います。公演を重ねてきたことで感じる変化や、逆に変わらないものはありますか?

鯨井:立ち上げとなる1本目に僕は出させていただいたんですけれども、その時って当然ながら、今の『鉄ミュ』の形というものは全く無かったんですよ。「どうやってこの原作を舞台として面白く仕上げるか」と、本当に手探りで作っていたので、今のような和やかな空気感ではなかったんです。実は初演の時なんて、役者主導で全員で車座になって「この作品をどう面白くしていくか」って話し合ったこともあったりして、結構みんな試行錯誤の中、幕を開けた感じなんです。それがいつからこんな、家族のように和やかな座組になっていったんだろうなと、僕にとっては振り返ると驚きで。こんなに毎年の楽しみと思える作品になるなんて最初は想像もしていなかったので、そういう意味での変化としてはとても大きいものがあるなと思っています。
でもそれも、やはり全ては永山(たかし)さんとKIMERUさん、主にずっと出演されている二人の力がすごく大きくて。あの人たちがきっとこの空気を作ってくれたんだろうなとすごく感じています。永山さん、KIMERUさんという屋台骨がいて、素敵なキャスティングによっていい人が集まってくることで生まれた変化なんだろうなと思いますね。

橋本さんはいかがですか?

橋本:基本的には全作に『鉄ミュ』の和やかな雰囲気が流れているんですけど、実は作品ごとにそれぞれの色も出ているような気がしていて。特に西武のスピンオフ(ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』〜すべての路は所沢へ通ず〜/2019年)や、高速鉄道スピンオフ(ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』~誰が為にのぞみは走る~/2022年)で顕著だったと思うんですけど、何か各作品とも、稽古場の時点からそれぞれの雰囲気が出ていたような気がしています。例えば西武のスピンオフだと、ひたすら何回もM(ミュージック)の稽古を繰り返していた印象があったり。後はやっぱり西武って、まとまってお客さんを煽って万歳させたりとか、ちょっと『鉄ミュ』の中でも特殊というか……まあ、全部特殊だからなんとも言えないんですけど(笑)。“どの路線が主軸になるか”によっても雰囲気がすごく変わるんですよ。だから今回も楽しみです。

鯨井:確かに、案外そこは作品によって違うかもね。

橋本:そうなんですよね。ベースは本当に一緒なんですけどね。

皆さんは今回、日本鉄道の黎明期「はじまりの鉄道・3路線」を演じるということで、共演シーンも多いかと思います。稽古の段階で、どのような掛け合いや化学反応が生まれていますか?

牧田:まだ探っている段階ではあるんですけど、この3路線のシーンがあるんですよ。例えば新幹線とかのキラキラした感じとは対照的に、在来線の“お茶の間感覚”的な雰囲気が出たらいいのかな、なんて思ってますね。普段から良く乗る“皆さんの足”としての身近な路線として、黎明期からずっと走り続けてきたこの3路線だからこその。例えば新幹線がすごい演出でバンバン目立っているところに、なんか急に、ブラウン管テレビとちゃぶ台が出てきたみたいな……。

一同:(笑)。

鯨井:「あ、この小さなエリアだけでいきます?」みたいなね。

牧田:あんなに色々なセットがあるのに、むしろ何もしないでちょこちょこ喋ってるだけみたいなシーンなんですけど。逆にそこで緩急みたいなものが出たらいいのかな、というのは今日取材を通してこの3人で話していても思いましたね。

鯨井:もちろんこれから変わっていくかもしれないですけど、この3人で「こういう空気を楽しみたいね」なんて話はしましたよね。僕は正直、この3人で空気合うかな?と思っていたんですよ。まず汰斗は、休みができるとすぐ海外行っちゃうようなファンキーなヤツで。

橋本:はははははは!

鯨井:実はこれまでは役的に一緒のシーンがあまり無くて、そこまで関わりが無かったんですよ。さらに初共演の牧田さんというヤツが来るらしい、どうやら劇団の人でガッツリ芝居に本気な、これまたヤバいヤツが来ると。

牧田:あははは!

鯨井:で、俺はこんなキャラだし。正直どういう空気になるんだろうって思っていたんですけど、最初にポンって座った時、意外と俺、居心地が悪くなかったんですよ。

橋本・牧田:へえ〜。

鯨井:「あ、なんか気持ちいいかも」と思ったのが印象的で。「居心地いい」って思っちゃったんですよね〜。変な人二人なのに、なんでだろうって。

橋本・牧田:あっはっはっはっは!

鯨井:どうなるんだろうと思ってたんですけど、嬉しい誤算でした。

橋本:本当に、これといった起伏のあるシーンではないんですけど、何か本当にこの3人がしてそうな日常の会話をそのまま切り取った感じなんですよね。

牧田:川尻さんに聞いちゃいましたもん。「これ、何にも起きてないですけど?」って(笑)。この内容だけでいいの?って、ちょっと不安でした。

鯨井:で、俺ら二人は慣れた顔してるしね、「こんな感じなんですよ」みたいな(笑)。

橋本:だけど、ナチュラルに交わしている会話の中にも「はじまりの鉄道・3路線」の関係性が滲み出ているような言葉などが不意にあったりするんです。このシーンを通して3路線の関係性みたいなものが、そのままお客さんに伝わったらいいなって思っています。

information

ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』5~鉄路にラブソングを~

【日程】2023年6月15日(木)~6月25日(日)
【会場】東京・天王洲 銀河劇場
【日程】6月30日(金)~7月2日(日)
【会場】兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobe

【原作】『青春鉄道あおはるてつどう青春あおはる(KADOKAWA/コミックウォーカー、COMIC BRIDGE連載中)
【脚本・演出・作詞】川尻恵太(SUGARBOY)
【音楽】あらいふとし+ミヤジマジュン
【振付】EBATO

【出演】
東海道新幹線 役:永山たかし
常磐線・西武池袋線 役:KIMERU
東海道本線 役:鯨井康介
京浜東北線 役:高橋優太
東武東上線・信越本線 役:高崎翔太
宇都宮線(東北本線) 役:稲垣成弥
北陸新幹線・西武安比奈線 役:渡辺コウジ
函館本線・西武新宿線 役:橋本汰斗
東北新幹線 役:石渡真修
秋田新幹線・千代田線 役:神里優希
上越新幹線 役:田中涼星
九州新幹線・西武西武園線 役:馬場良馬
山陽新幹線 役:八神 蓮
西九州新幹線 役:石田 隼
羽越本線・西武国分寺線 役:加藤良輔
上越線 役:鎌苅健太
北陸本線 役:牧田哲也
東金線 役:滝川広大
総武線(総武本線) 役:伊崎龍次郎
中央線(中央本線) 役:皆木一舞

アンサンブル:益川和久、小山麗也、西本健太郎

【チケット】
公式サイト

【配信】
ニコニコ生放送

www.marv.jp/special/aoharutetsudou
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present

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credit

テキスト・写真:田代大樹
スタイリング:MASAYA
ヘアメイク:依田陽子

©青春 ©ミュージカル『青春鉄道』製作委員会

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