日本各地を走る鉄道路線を擬人化した鉄道トリビアコメディコミック『青春鉄道』を原作に、2015年に第1弾が上演されるやいなや大反響を巻き起こしたミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』(通称『鉄ミュ』)。
そのシリーズ最新作となる、ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』6~ハッピーレール大作戦~ が東京・天王洲 銀河劇場にて上演中だ(2024年7月15日(月・祝)まで。7月19日(金)~7月21日(日)に兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobeにて)。
「Sparkle web」ではシリーズ初登場となる武蔵野線 役の佐藤祐吾、東武伊勢崎線 役の二葉 要にインタビュー。
プライベートでもよく会う仲だと話す二人だが、意外にも久々の共演となる本作への意気込みや、『鉄ミュ』への印象、『鉄ミュ』ファンへのメッセージなど存分に語ってくれた。
interview
お二人とも『鉄ミュ』初登場となりますが、これまで『鉄ミュ』に対してどのような印象をお持ちでしたか?
二葉:面識ある共演者の方がたくさんいらっしゃって、すごくアットホームな作品だと思います。温かな座組という印象がありますね。
佐藤:実は以前『鉄ミュ2』(ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』2 ~信越地方よりアイをこめて~・2016年)を観に行っていて、その時、要くんと一緒だったんです。要くん含め、当時共演していた舞台のメンバーたちと。その舞台の稽古期間中、KIMERUさんたちが稽古場に来てくれてアドバイスをくださったりしていて、そんな中で観に行ったのもあり、『鉄ミュ』は〝大先輩方が出ている作品〟というイメージが強いですね。
二葉:当時、KIMERUさんから「こういう風に役を作っていったら?」「お互いの関係性をこうやって作っていったら?」とアドバイスを頂いたのをよく覚えています。そこから僕らがまとまっていったんです。
佐藤:うんうん。
二葉:僕は音楽イベントでアーティストとしてKIMERUさんと共演させていただいたことがあります。ライブを一緒にさせてもらって楽しかった! 優しいんだよな、KIMERUさん。
脚本・演出・作詞を務める川尻恵太さんについてはいかがですか? お二人とも作品で関わりがあったかと思いますが。
佐藤:俺は一作品だけ川尻さんとご一緒させていただいたのですが、その時はがっつり関わるという感じではなかったんです。なので今回はがっつり関わりたいなと思っています。
二葉:僕は結構関わりがありまして、舞台「ひらがな男子」(2018年)などでご一緒させていただきました。そしてTWiN PARADOXというアーティスト活動もやっているんですが、TWiN PARADOXの楽曲を舞台化するという企画に、川尻さんが脚本で入ってくださっていたりして。関わりが深い方なので安心して臨めるなと思っております。
川尻さんの演出にはどのような印象をお持ちですか?
二葉:とにかく面白いですね(笑)。川尻さんって天才なので、川尻さんの頭の中で起きている〝面白いこと〟を、自分たちがどれだけ具現化できるかというのが課題だったりするんです。川尻さんが(自分たちに教えるために)実演すると、めっちゃ面白くなっちゃうんですよ。実演されちゃうと「それ超えなあかん」という不安が(笑)。でもすごく伸び伸びと自由に演じさせてもらえるので、まずは自分たちから色々と発信して、自分たちが提案したものを見てもらうことが多かったですね。
佐藤:川尻さんずるいよね、あんなの面白いに決まってるじゃん(笑)。しかもあの人にしか出せない面白さがあるから、それを役者が超えるのが難しいんですよね。
俺が以前に演出してもらった舞台は作品自体が結構ユニークで、すごく癖のある作品だったんですよ。掛け合いとかはあまり無かったので、今回の『鉄ミュ』では会話や掛け合いのテンポなどでより〝川尻さんらしさ〟が出てくるのかなと思っていて。そこが楽しみですね。
稽古場から川尻さんの頭の中の〝面白いこと〟を超えてやろう、川尻さんの予想もつかないものを出してやろう、といったチャレンジもしていきたいですか?
二葉:僕はどの現場でも「演出家さんのイメージを超えたい」という気持ちで臨むことが多いかもしれないです。今回も川尻さんが笑っていたらちょっと安心できるかなと思うので、稽古場で笑わせたいですね。
佐藤:あ、僕はもう全然、台本通りやります。
二葉:あはははははは!!
佐藤:日々、同じことをしっかりとやります(笑)。
おそらく同じことをやらせてくれない作品ではないかと……(笑)。
佐藤:(笑)。でも大体、アドリブをしたがる人がいる現場だと僕がまともなポジションに入ることが多いので。
二葉:確かにね。
佐藤:とはいえ、今回は周りが大先輩ばかりなので、逆に新しく参加する人たちがどうかき回すか、どんな刺激を与えるか、といったところが稽古場の面白さにも繋がるかなと思ってます。
以前、鯨井康介さんにインタビューさせていただいた時には「『鉄ミュ』は仕事だと思っていない」とおっしゃっていました。皆さん稽古場から楽しんでいると。
佐藤:あはは(笑)。
二葉:それこそ(稲垣)成弥さんともすごく仲良くさせてもらってるんですけど、確か撮影の日に一緒になって、開口一番「楽しいからな! この現場楽しいからな!」って言ってました(笑)。
佐藤:俺の場合、同年代の俳優たちがどんどん出演していって、楽しそうにしていて。なので今回の出演が決まった時は「やったぜ!」って本当に楽しみでした。いざシリーズ本公演の第6弾から入るとなれば他の現場だと緊張しちゃいそうなんですけど、『鉄ミュ』は純粋に楽しみな気持ちが大きかったですね。
それにキャストを見てみたら要くんや(佐川)大樹くんがいて。今まで一緒にやってきた人たちとまた共演できるというのも楽しみですね。
二葉:本当に『鉄ミュ』に参加できるということが嬉しかったですし、共演キャストに祐吾の名前があった時はめちゃくちゃ嬉しかったし安心しました。意外と共演の機会が無かったんですよ。
佐藤:無いんですよ。
二葉:ずっとプライベートでは会ったりしてたんですけど、「1回も無いね」って話していたところ、今回一緒になれたので、楽しみですね。
佐藤:ね。
佐藤さんが演じる武蔵野線、二葉さんが演じる東武伊勢崎線について、現時点ではどのように演じようと考えていますか?(※インタビューは稽古前に実施)
佐藤:俺の演じる武蔵野線には相方として東武東上線 役の高崎翔太さんがいるので、そこの絡みが楽しみです。大きな出番ではその二人でいる時が多いので。
二葉:僕の東武伊勢崎線はみんなを掻き回すポジションだと思うので、フレッシュに楽しんでいきたいなと思います。そして唯一、KIMERUさん演じる銀座線の先輩だということで! 多分そこも舞台で描かれると思うので、KIMERUさんとどんな風にそのシーンを演じようかなと。大先輩のKIMERUさんにちょっと申し訳なさもありますけど(笑)、でもKIMERUさんだったら絶対に温かく包んでくれると思うので、ぶつかっていこうかなと思います。
佐藤:フレッシュにね(笑)。なかなか無いよね、この歳ぐらいで自分がこんなに年下の現場って。
二葉:そうね! 周りが先輩ばっかりってあんま無いよな。そういう意味でも楽しみ!
そして『鉄ミュ』と言えばお客様の熱量が高いことでも有名です。
佐藤:俺らが観に行ったのは、ゲネプロだったんですよ。
二葉:そう、ゲネプロしか行けてないんですよ!
佐藤:なので実際にお客さんが観ている反応は、まだ体験できてなくて。(高崎)翔太さんも言ってたんですけど、「お客さんすごい声出すよ、こっちが恥ずかしいぐらい出すよ」みたいな(笑)。
二葉:へぇ〜!! めっちゃあったかいんや、安心やなぁ。皆さん! 続けてください、その声援!(笑)
佐藤:この出演が決まる前から、僕のファンの方の中にも「『鉄ミュ』に出てほしい!」って言ってくれる人がすごくたくさんいたんです。すでに『鉄ミュ』をご存知の方ばかりなので、ファンの皆さんの方が先輩なんですよ。僕が一番後輩なので、これから勉強していきます(笑)。
お二人は今回久々の共演ということですが、改めて役者としてはお互いにどんな印象をお持ちですか?
二葉:さっきのインタビューの回答にも出てたんですけど、祐吾ってプロ意識がすごく高くて、求められているものをしっかり具現化し体現してくれる役者の一人だと思うので、共演する側としてはすごく安心できますね。「祐吾がいたらまとまるな」というような存在なので、何の心配も無くただただ共演を楽しめると思います。
佐藤:一緒に2年間やってるからね。そこから6、7年ぐらい経ってるのか。
二葉:わけ分からんよな、共演はしてないのに一緒にキャンプ行ったりさ(笑)。
佐藤:あははは!
二葉:一緒にチンチラカフェ行ったり。謎すぎるやろ(笑)。
佐藤:確かに(笑)。要くんはやっぱり歌がずば抜けていますよね。『鉄ミュ』は歌もあるので不安だったんですよ。僕、歌がそんなに自信無いので。そしたら共演に要くんがいたから、「それなら大丈夫だ」って一安心しましたね(笑)。
二葉:いや、でも祐吾、大丈夫よ。お前上手くなってる。
佐藤:はははは!
二葉:一緒に練習とか行ったなぁ。
佐藤:カラオケとか行ったな。この稽古期間にもめちゃくちゃ行けるよ!
二葉:そやな、また何かアドバイスできることあったら言うわ!
ちょっとコラム的な質問も伺いたいのですが、本作の副題「ハッピーレール大作戦」に掛けて、お二人が〝ハッピー〟を感じた鉄道の思い出はありますか?
二葉:これ、ハッピーなのか分からないですけど……。
佐藤:1回どんな話か聞かせて(笑)。
二葉:僕、大学時代すごく鼻血が出る時期があったんですよ。電車に乗ってる時に出ちゃって、「わー!」って焦ったけどハンカチも何も持ってなくて、「どうしようどうしよう」と思ってたら、前に座ってたおじさんが広げてた新聞紙を1枚、ビリッと破って渡してくれたんですよ。
佐藤:おぉー!
二葉:「わぁ、ありがとうございます!」って受け取ったんですけど、それがちょうどスポーツ紙のちょっとエッチな記事のところで。「うわ、これ見て鼻血出したみたいになるやん!」って(笑)。
佐藤:ははははははは!! 何そのネタみたいな話!
二葉:ほんまにマンガみたいなこと起きたのよ! あれはハッピーでしたね(笑)。
佐藤:それハッピーなの?(笑) 俺、高校の時は東武東上線ユーザーだったんですよ。埼玉県民って遊ぶとなると池袋しかないので、40分くらいかけて池袋に行くんですけど、その時に車窓から見た景色は本当にずっと記憶に残ってますね。それこそ遊びに行く時とかにずっと使っていた路線なんですけど、初めての一人暮らしで埼玉から出る時には全然風景が違って感じられたり。
今でも地元に帰る時には東武東上線を使うので、すごく思い出深いといった感じではないんです。だけど俺にとっては特別な路線になってますね。
二葉:いいね。俺の近鉄奈良線みたいな感じやな(笑)。関東圏にその哀愁があるの、いいな。
佐藤:いつでもすぐ乗れちゃうんだけどね(笑)。
ありがとうございます。お二人にとっての東武東上線、近鉄奈良線のように、たくさんの方々に長年愛されてきた『鉄ミュ』ですが、公演を楽しみにしている方々に一言頂けますか?
佐藤:さっきも言ったんですけど、シリーズ6作目、スピンオフも全部合わせたら9作目もの作品に、こんな大先輩方に囲まれて途中から入るって普通に考えたらすごいプレッシャー。ただ、その先輩方もウェルカム感がすごくて、さっきも言ったように翔太さんが「楽しいよ!」と言ってくださったり、ファンの方々も「祐吾くん出るんだ、楽しみ!」と迎えてくれて。とにかくアットホームな作品だと思うのでそこに甘えつつも、新しく入った身としてはそこで新しい『鉄ミュ』を魅せるんだという意気込みも忘れずに、楽しんでいただけるものを作っていけたらなと思っています。
二葉:お客様も含めた『鉄ミュ』の座組に、今回からお邪魔させてもらうという気持ちがあるので、いち早く皆さんと馴染めるように、楽しみに観に来てくれる方々に受け入れてもらえるように、本番に向けて精一杯挑戦していきたいです。ぜひぜひ劇場では大きめの声で笑っていただけたらなと思います(笑)。温かく見守ってください。
information
ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』6~ハッピーレール大作戦~
【日時】2024年7月4日(木)~7月15日(月・祝)
【会場】東京・天王洲 銀河劇場
【日時】7月19日(金)~7月21日(日)
【会場】兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobe
【原作】『青春鉄道(あおはるてつどう)』(KADOKAWA/カドコミ、COMIC BRIDGE連載中)
【原作者】青春(あおはる)
【脚本・演出・作詞】川尻恵太(SUGARBOY)
【音楽】あらいふとし、ミヤジマジュン
【振付】EBATO
【出演】
東海道新幹線 役:永山たかし
銀座線 役:KIMERU
東海道本線 役:鯨井康介
京浜東北線 役:高橋優太
東武東上線 役:高崎翔太
宇都宮線(東北本線)・山陰本線 役:稲垣成弥
北陸新幹線・丸ノ内線 役:渡辺コウジ
山陽新幹線 役:八神 蓮
山陽本線 役:吉澤 翼
北陸本線・東武日光線 役:牧田哲也
日比谷線 役:登野城佑真
武蔵野線 役 佐藤祐吾
岩徳線 役:佐川大樹
東武伊勢崎線 役:二葉 要
東武野田線 役:大野紘幸
<東京公演ゲスト>
北海道新幹線 役:輝馬
有楽町線 役:石田 隼
<兵庫公演ゲスト>
りんかい線 役:山本一慶
【アンサンブル】
兼次要那、能代谷和輝
【チケット】
一般発売中
イープラス
チケットぴあ
ローソンチケット
銀河劇場チケットセンター ※東京公演のみ
【配信】
7月14日(日)13:00公演(全景映像)/18:00公演(スイッチング映像)
7月21日(日)13:00大千秋楽公演(スイッチング映像)
シアターコンプレックスTOWN ※7月7日(日)12:00〜公開
www.marv.jp/special/aoharutetsudou
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佐藤祐吾さん・二葉 要さんのサイン入りチェキを2名様にプレゼント
応募方法:
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②対象ポストをリポスト
※応募締切:2024年7月21日(日)23:59まで
※当選された方にのみ、X(Twitter)のダイレクトメッセージ(DM)にて、Sparkle公式アカウント(@Sparkle_stage)よりご連絡いたします。当選者の発表はDMをもって代えさせていただきます。
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credit
テキスト・撮影:田代大樹
ヘアメイク:瀬戸口清香、櫛引桃奈
©︎青春 ©︎ミュージカル『青春鉄道』製作委員会