劇団番町ボーイズ☆の記念すべき結成10周年記念公演「蚕は桑の夢を見る」が、2024年7月25日(木)から8月4日(日)まで、東京・CBGKシブゲキ!!にて上演される。
演出に松崎史也、脚本に堀越 涼(あやめ十八番)を迎えた本作は、劇団の歴史や団員たちの成長、そして絆を感じさせる重厚な演劇に仕上がった。
キャストは劇団員7名のみ。養蚕農家を生業とし、古くから村に伝わる律法に従った生活を送る7人兄弟を演じる。
さらに兄弟を支配する長兄・神原一夜と、物語の語り部も務める四男・神原幸四郎の二役を、菊池修司と松島勇之介が回ごとに役を入れ替えて上演する。
「Sparkle web」では本番直前の稽古場から臨場感溢れるショットをお届けする。
併せて、本作の見どころや稽古を通じて現時点で感じていること、団員への想いなどを語っていただいた。
interview
稽古の様子を拝見しましたが、皆さんの真剣な眼差しと細部にまで気を抜かずクオリティを上げていく様に目を惹きつけられました。稽古を通じて印象的だったことや、松崎史也さんの演出や言葉で強く印象に残っているものなどございましたらお聞かせください。
菊池:みんなのこの作品に懸ける強い想いを、気持ちを、改めて感じました。僕に出来ることは何か……与えられるものは何か……そんなことを考えながら、毎日稽古をしてきました。
稽古を通して思ったのは、やはり〝仲間〟は大切だということ。大人になって、胸を張って、僕には、共に進める仲間がいると思えるこの環境をこれからも愛していきたいと、強く思いました!
史也さんが、僕らの想いを紡ぐ演出をしてくださり、史也さんにも恩返しができるよう、より一層素敵な作品を、お客様に届けていきたいです。
松島:印象的だったことは演出の松崎さんが、劇団番町ボーイズ☆の劇団としての尊さを大事にしてくださったことです。今作では7人で息を合わせ声を揃えるシーンが多々あるのですが、そこを丁寧に繊細に僕たちを信じて演出してくださいました。
堂本:メンバー全員のこの作品に向けての向き合い方が印象的でした。松崎さんの演出では感情面はもちろんですが、テクニカルなところも細かくご指導いただけるのでかなり勉強になっています。僕たち俳優側の演じている感覚とお客様の観劇中の感覚の差異等は印象的です。
西原:僕の人生においての課題、人として現状からもう一つステップアップするためのヒント、僕だけかもしれないのですが、史也さんのお言葉は、そんな【自分自身】に寄り添ってくれて、成長させてくれるんです。だから、一つ一つのお言葉が胸に刺さり、明確に自分自身の壁として現れるので、自ずと全身全霊でその壁に立ち向かっています!
矢代:松崎さんの演出は常に新たな発見を与えてくれます。セリフの間であったり、どの部分を強調したらより伝わりやすくなるかなど、細かく繊細に指摘してくださるので、日々稽古を通じてクオリティが上がってるのを感じます。
印象に残ってる言葉は、「俳優は50%のナチュラルで演じたがる。自然に演じていた方が居心地良く感じるから。でもこの舞台は100%の気持ちで演じないと伝わらない」。この松崎さんの言葉で、ハッとさせられました。
宮内:俳優として自分が演じる役の気持ちももちろん大切だけど、それに身を任せるだけでなく、一緒に演技する人やお芝居を観てくださる方にどうやって届けるかを計算することが、とても大事だということをおっしゃっていたのがとても印象に残っています。
坪倉:今回の作品は一つ一つの言葉が本当に大切になってくるので言葉の立て方を特にご指導いただきました。僕が一番印象的なのは、今回僕が話すセリフの中にあります。今はまだネタバレになってしまうので控えますが、ぜひご覧いただいてそれを皆さんに感じていただきたいです。
10周年記念公演にして、重厚な演劇作品を届けます。稽古も重ねてきたことで、本作のテーマやお客様に伝えたいことなど、現段階ではどう捉えていますか?
菊池:僕はこの作品を観た時に、終演後すぐには立てない、具現化できない疲れが来るのではないかと思っています。それはきっと観た方にしか分からない何かを、言葉にならない何かを感じて、帰路で思い返した時に、何が悪かったのか、誰が悪かったのか。そんなことを考えて楽しんでもらえたら嬉しいです。ご観劇くださった皆様が、十人十色、それぞれの感想になるようにしたいです。
僕はそういう演劇が大好きなので、そういった作品を目指して、大好きな仲間と共に作り上げたいなと思っています!
松島:一見歪な形ではあるけどそこには確かに愛があり、希望があり、夢がある。これから先これまで以上に僕たちは歩幅を合わせ前を向いて進んでいく。その意志を皆様に届けられたらなと思います。
堂本:家族の大切さです。家族ではなくても大事な拠り所の大切さ。
それともう一つは養蚕業や蚕の一生。僕はあまり知らなかったのでこれを機に勉強できて良かったです。
西原:ルールや環境などの、今自分に置かれている制約の中で、どうすれば幸せに生きられるか、もしかしたらさらなる景色のために破壊が必要なのか否か、こう思うとリアルな世界でも誰しもが持っている葛藤なのかもしれないので……作品として、そういうことも受け取れるなと思っています!
矢代:劇団ならではの一体感を伝えられたらなと思います。稽古終盤で改めて、このシーンはどういう心情で臨むのか、互いの相互関係を共有し合って、他の現場では踏み入って話せないような深い所まで意見を出し合いました。
数年間共に劇団として活動してるからこそ、他では出せない空気感が出せると思います。この7人でできる最高の舞台を皆様にお届けできたらと思います。
宮内:古くからの慣例や慣習から抜け出すことの難しさや苦しみを描いた作品ですが、その中で見える家族愛や兄弟愛が鍵となってくる作品だと思っていて、その点では劇団として僕たちの強みでもある、何かそういったものを感じていただけたら嬉しいです。
坪倉:そうですね、10周年公演で番ボでこの作品をやる意味がすごくあるなと思っておりまして、このメンバーならではこその作品だと思っております。自分が身代わりに役目を果たしていく事だけが決して正解とは限らず、周りの人達と協力すると言うことは本当に大切な事だと思っています。
本作では皆さんで7人兄弟を演じられるということで、それぞれ一つ上の兄を演じる方についてお聞かせください。本作の本読みや稽古などを通じて改めて感じたことや、劇団番町ボーイズ☆の活動を通して、日頃感じている感謝の気持ちや、思い出話などございましたら。末っ子である七男・神原末葉 役の坪倉さんから、六男・神原 睦 役の宮内さんについてお願いします。
坪倉:今回の作品は役を当て書きで書いてくださっているので、本当にそれぞれの役がピッタリハマってるんですよ! その中でも伊織が演じる睦は唯一この作品の中で重たい空気を崩していけるような役割でもあり、伊織のとあるシーンでいつも笑わせていただいております(笑)。彼も真面目なので本当に真剣に演じれば演じるほど仲良すぎて面白くなってくるんですよね(笑)。
宮内さんは五男・神原研吾を演じる矢代さんについて、いかがでしょうか?
宮内:矢代卓也はすごく真面目でマイペースでかなり個性的なんですが、イベントなどでトークを振ると、かならず笑いをとってくれる頼もしいやつです。本人の中では計算してる部分もあるらしいのですが、確実に「天然だっただろ」ってツッコみたくなるようなところもみんなに愛される可愛らしさになってると思います。
矢代さんは四男・神原幸四郎と長男・神原一夜を役替わりで演じる松島さんについて。
矢代:勇之介くんは、初期の頃から知っていますが本当に尊敬しています。MC、トークが上手くてスタイルも顔も良い。そしてこの舞台を通じて改めて感じたのは、舞台に取り組む姿勢や周りに対してのアプローチなど全てが完璧だったことです。勇之介くんの演技を見るごとに、見入ってしまうような魅力がありました。
また、幸四郎、一夜のそれぞれの役へのアプローチが全く違くて、他の人が演じているのかなと錯覚してしまうぐらい別人のように感じます。
松島さんは三男・神原三鶴 役の西原さんについて。
松島:健太くんと最後に舞台で共演したのは約3年前。その時の演出も松崎さん。不思議な縁を感じます。そんな久しぶりの共演で改めて健太くんのお芝居に対する姿勢、想いが僕は大好きなんだなと稽古を重ねて気付きました。
どんなことにも愚直に真摯に向き合う姿を何度も見てきました。これが最後なんて考えず心の底からお芝居を楽しみましょう!!
西原さんは次男・神原影次 役の堂本さんについて。
西原:やっぱりこの人は世界を作るのがすごく秀でていると思います! しかもその引力は凄いです! 人に押し付けることなく、引いて興味をそそらせる。とてもすごい俳優だと思います!
それと、とても感謝しています。僕は今回の舞台で俳優を引退させていただくのですが、翔平くんとはとても長い付き合いで、苦楽を共にしたまさに戦友です。
メンバーみんなにもそうですが、本当に心から感謝しています!
堂本さんは長男・神原一夜と四男・神原幸四郎を役替わりで演じる菊池さんについて。
堂本:Wキャストなので修司と勇之介について話します。修司は稽古後の話し合いなど稽古時間外のところで 「え、修司めっちゃリーダーじゃん!」って率直に思いました。この作品で修司の存在はとても大きかったなと思います。
勇之介は久々の共演でしたが、安心感がありました。台本入れるスピードも速い速い。毎回の稽古で新しい事にチャレンジしてる姿勢もとても素敵でした。
最後に、長男の神原一夜を演じる菊池さんには、七男・神原末葉 役の坪倉さんについて伺います。
菊池:数年ぶりに劇団公演をやり、一番成長を感じたのが康晴でした。台本の読み方も、役作りも、演じる力強さも前よりも何倍もの進化を遂げて帰ってきて、とても刺激を受けています。きっと、これまで共演した方々が素敵な方ばかりなんだろうとうらやましくも思います。
昔、初めての大きなオーディションの時に、僕に役作りを相談してくれたことがあり、その康晴がこんなにも素敵な役者になって、歳が近いながらも、大きくなって帰ってきて、お兄ちゃんのように嬉しい気持ちです。
information
劇団番町ボーイズ☆結成10周年記念公演「蚕は桑の夢を見る」
【日時】2024年7月25日(木)~8月4日(日)
【会場】東京・CBGKシブゲキ!!
【演出】松崎史也
【脚本】堀越 涼(あやめ十八番)
【出演】
神原一夜/神原幸四郎 役:菊池修司
神原一夜/神原幸四郎 役:松島勇之介
神原影次 役:堂本翔平
神原三鶴 役:西原健太
神原研吾 役:矢代卓也
神原 睦 役:宮内伊織
神原末葉 役:坪倉康晴
【チケット】
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当日券:一般チケット+500円
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撮影:平田景子