東京での生活に行き詰まった主人公・祐也が、恋人と一緒に故郷に帰省し、幼馴染と過ごした思い出の秘密基地を訪れるところから始まる物語。
夢や恋、友情とそれぞれが向き合う青春群像劇で映画初主演を務めるのはTHE RAMPAGEのパフォーマーとして活躍する鈴木昂秀。鈴木は、グループ内ユニットMA55IVE THE RAMPAGEのメンバーとして本作の主題歌も担当した。
そして本作が長編映画の初監督作品となる俳優の碓井将大。アーティストと俳優、監督と俳優……「Sparkle web」インタビュー前編では互いに二つの顔を持つ彼らの対談をお届けする。
全2回の1回目/後編はこちら
interview
初めて鈴木さんとお会いした時の印象について教えてください。
碓井:実は僕、THE RAMPAGE(以下、RAMPAGE)さんとご一緒するのは昂秀が初めてではないんです。以前、同じグループの川村(壱馬)さんが出演しているゲームアプリのCMも撮らせてもらっていて。その時も、川村さんはとても物静かだけどすごく男気があって印象がとても良かったから、「RAMPAGEさんとまたご一緒できるのは嬉しいな」と思っていました。ただ今回は青春モノで、日常に近い感じのテイストの作品だったので……。まず最初に頂いた昂秀のプロフィールが、金髪のオールバックでアイラインもガンガンで。あの時はどうしようかと……(笑)。
鈴木:ははははは! ちょうどその時のアー写が怖かったかもですね(笑)。
碓井:めちゃくちゃかっこいいんですよ!? でもこの作品の日常感とはかけ離れていたというか……。
鈴木:分かりますよ! 差がすごいですよね(笑)。
碓井:台本とプロフィールを見比べて……大丈夫かな?って。でも会ってみたらめちゃくちゃ好青年で、祐也にもピッタリで!
鈴木:ありがとうございます。
鈴木さんは監督とまず何を最初に話しましたか?
鈴木:僕、元々監督が「シュガーレス」っていうドラマに出てた時から知っていて。
碓井:ははははは!
懐かしい……!
鈴木:懐かしいですよね(笑)。僕がまだRAMPAGEに入ってない……EXPG生だった時に、エキストラとして「シュガーレス」に出ていたことがあったんです。だから「碓井さんのこと知ってる?」って映画のプロデューサーさんから言われた時に「僕、実は……」ってお話もして。
碓井:ジェネ(GENERATIONS)の(白濱)亜嵐くん主演でね、懐かしいなぁ……。
鈴木:あの碓井さんだ!と、お名前を聞いてすぐに思いました。あの時は、静かだけどめちゃくちゃ喧嘩が強い、トップ2の役でしたよね。
碓井:そうそう。SHOKICHIさん演じるシャケが一番強いんだよね(笑)。で、俺が演じるキリオがいてね。
鈴木:そうです! 最初はその話をさせていただいたのとか。どんな方なんだろうって思いながらお話ししていったら、めちゃくちゃ優しい人でした!
意外なところで出会っていたんですね。ちなみに、お芝居についてディレクションされる時、碓井さんの俳優目線を感じる部分はありましたか?
鈴木:俳優だからこそ、プレイヤーの目線で話してくださるんです。(野村)康太くんとも話していたんですけど、自分たち演者が「こういう感情かな」と考えて作っていくものを受け入れてくれた上で、プラスで「こういうことをやったらもっといいよ」と、実際に演技をしてみせて説明をしてくださるんです。ここはこういう表情で、というのをやっていただけることで分かることも多かったし、演技をより好きになることができました。
監督は、撮影を通して鈴木さんのどういうところがいいなと思いましたか?
碓井:昂秀も映画初主演で、僕も長編作品としては初めて監督をやるということで、経験も多くはないですし、不安な部分がゼロではなかったんです。でも彼自身の人柄が本当に良くて、それがこの役にも反映されているし、現場で会話を重ねていく内に昂秀が祐也とリンクしていくのを肌で感じていました。撮影中はモニター横に来て、他の人が撮っている時にどういう風に演出しているかを見てくれたりもして。そういうやりとりの中でどんどんお互いのことを知っていったり、役と役者が重なっていく過程を見ることができて感動しました。
「祐也は自分に似ている、ピッタリ」とコメントされているのも拝見しましたが、人物としての演じやすさや意識したことは?
鈴木:意識という意識はしてないんです。初めて台本を読んだ時、自分の過去を考えれば考えるほど似ているし、共感する部分がすごくあったので。役に対してこうする……というよりも、自分の過去に思いを馳せて芝居に乗せたっていう感覚でしたね。だからこそ、すごく祐也という人間が分かりやすかったし、やりやすかったです。
ご自身の中でも祐也とシンクロしていく感覚がありましたか?
鈴木:ありましたね。本当に、何年前かの自分を演じたような気持ちでいたので(笑)。分かる、分かるなぁ……って何度もなりました。
碓井:そうだったんだね。
鈴木:祐也はずっと葛藤しているキャラで、“今戦っているんだろうな”っていうのが分かるからこそ、役として落とし込む時は少し大変でした。でも、基本的には素直に演じることができたなと思っています。
葵 役の新谷ゆづみさんのラジオで、「共演者のみんなが人見知りしていた部分があったものの、昂秀さんを筆頭にいい雰囲気作りがされていった」というお話をされていました。
鈴木:(照)。
碓井:みんなそう言ってましたね。昂秀が祐也をそこでも意識してくれたんだろうなとは思っているんですけど。祐也が地元に帰ってきて動き始める物語なので、きっとそこに合わせて、オフの時間にも彼がみんなを繋ぐ役目を担ってくれたのかなと。
鈴木:僕としては、とりあえずみんなと仲良くなりたいなと思って、ただただそういう行動をしていたというか(笑)。お腹が空いたから誰かと一緒にメシ行きたいな~とか、ちょっと時間が空いているからみんなで桜見に行こう、とか。
碓井:映るものが全てなので、僕はずっと撮影画面に集中していて。いろんな人とコミュニケーションを取ってもらえると嬉しいかな、みたいな話はしていたものの……。僕自身はそこに関わることはできなかったので、彼ら自身で関係性を構築してくれたことがこの映画にとって大きな助けになりました。そして何より、自分の初監督作品でみんながめちゃくちゃ仲良くなってくれたことが本当に嬉しくて! これがただの出演作の一つで終わらずに、これから先、俳優の仕事をする時の支えになってくれたらいいなって思います。
春樹 役の野村さんが1日だけ仕事で東京に戻ったものの、現場に戻りたすぎて速攻で帰ってきたというエピソードも微笑ましいなと思いました(笑)。
鈴木:僕らもびっくりしたんですよ(笑)。
碓井:はははっ(笑)。ホントだよね。
鈴木:「あぁ、康太くん帰っちゃったわ~」と思って、寂しいなぁなんて思っていた矢先に、「一緒にお風呂入りませんか?」ってメッセージが届いたっていう(笑)。「あれ、東京帰ったんじゃないの?」って聞いたら「すぐ愛知に帰ってきました」って。どういうこと?って思いつつも、良かったぁ……って。特別に意識していたわけではないですけど、そうやって帰ってきたいと思ってもらえる現場を一緒に作れたのかなって思うと、本当に嬉しい限りでした。
男子チームは、秘密基地で寝ていたとか。
碓井:そんなこともあったの?
鈴木:記憶が無いです……(笑)。
碓井:でも秘密基地と言えば……。この前、愛知で行われた「ガマロケ映画祭2024」で特別上映をした時、みんなでロケ地を巡ったんです。その時に秘密基地に行ってみたら、もうあの場所が閉鎖されていて……なんか寂しかったよね。
鈴木:寂しかったですね。ゲームセンターも、全部無くなってて。
碓井:でも、思い出があった場所に戻るってああいう気持ちなんだろうなって。
鈴木:寂しいけど、めちゃくちゃ良かったです。いろんな気持ちになれたし!
何年か越しでまたあの桜並木をみんなで歩いたりしたら、よりエモーショナルですね。
碓井:ね~?
鈴木:やばっ。……やりましょう!
碓井:やろっか! 次は違う作品で。
鈴木:違う作品で!
その後の祐也たちを見てみたくもありますが……。
碓井:そうだねぇ。
鈴木:これはもう、続編もやるしかないっすね。
碓井:頑張りたいですねぇ(笑)。
鈴木:でも、みんなはあの後どうなっているのかな……。
そういう想像もかき立てるエンディングですよね。
碓井:本当ですか? 僕はいろんな映画を観るんですけど、その中でも「あの後、この人たちはどうなるんだろう?」っていう終わり方をする映画が好きなんですよ。だからそういう風に観てもらえているのだったら本望というか、本当に嬉しいです。そして、この時代……人を理解しなくてもいい世の中だからこそ、理解にまつわる話を書きたいと思ってこの映画を作りました。群像劇として、人と人、それぞれの理解をなるべく深められる作品にできたらいいなと思ってこういうタイトルと作風にしました。ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。
鈴木:そうですね。人が大事にすべきことを理解できる、そんな作品になっていると思います。ぜひ何回も観ていただけたら嬉しいです。
column
タイトルにちなみまして、お互いのナゾ行動について質問です。理解はできていないけど、理解したい!と思うことを教えてください。
碓井:この物語の最後、祐也と春樹と由依香のシーンがあるんです。そのシーンを撮影する時、機材などの都合上、「台本のここまでしか撮らないで、そこから先は別で撮りましょう」という風になっていた部分があるんですけど。その「別で撮りましょう」と言っていたシーンは涙を流すシーンだったのですが、あまり何回もやって負担をかけたくないという思いもあって、後に取っておいたんです。
そしていざ撮影をスタートしたら、昂秀の感情が溢れて予定のシーンより先まで演じていて、僕もそれを止められなくて。その時、僕が由依香をモニターの方に待機させてしまっていて、相手役がいない状態だったんです。普通その状況なら芝居を止めてもおかしくないし、映画で主演を務めるのも初めてだと言っていたから、なんでそうできたんだろう?って。僕も監督としてそのお芝居にすごく助けれられたし、カットがかかった時、カメラマンさんも泣いてたもんね? 現場的にもすごく感動的な瞬間でした。
鈴木:あの撮影、良かったですよねぇ……。
碓井:普段からショーを提供しているアーティストだから、〝Show must go on〟みたいな精神だったのかなって今は理解しようとしているけど。
鈴木:そういうシーンだったっていうのもあって、感情が先走っちゃったんです。前に「HiGH&LOW」に出演した時に「カットがかかるまでは絶対に続けろ」って言われていたこともあったんですけど、でもその言葉をあの撮影中に思い出していたわけでもなく……。このまま続けていったらもっともっとやれるんじゃないかって思ったのかもしれないです。
碓井:あのシーンを撮れた時、本当に嬉しかったです。
監督についてはいかがでしょう?
鈴木:これ結構プライベートな話になっちゃうんですけど……。監督は、酔っ払ってくると英語で喋る癖があるんです(笑)。
碓井:はははは(笑)。恥ずかしい~……。
鈴木:僕はそんなに英語ができないけど、英語を喋りたい気持ちはあるから、めっちゃ浅はかな英語で話すんです(笑)。
碓井:ねぇ、俺結構イタくない?(笑)
鈴木:マインドが外人だな~って。僕には理解ができないマインドを持っているのかもって思ってます(笑)。
碓井:はっず(笑)。
鈴木:僕も理解できるように、英語を頑張りたいなって思いました。
碓井:でも僕ね、昂秀とは近しいところを感じるんですよ。昂秀も、いい感じになってくると「俺こういうの作ったんだよ」っていうのを人に見せたくなるタイプなんだと思うんだよね。その感覚、俺もすごい分かるから。自分で作ったけど表には出てない楽曲とかを爆音で聴かせてくれたことがあって。俺も曲を聴いている内に、(体揺らして)「Yeah」って(笑)。やっぱり外人なんで(笑)。
鈴木:はははは!
碓井:だからきっと、僕のことも理解できると思います。
鈴木:バイブスがすごい合うというか。監督は俳優でもいらっしゃいますし、音楽が好きっていう共通点もあってめちゃくちゃ最高でした。あの日も最高でしたね。
碓井:防音になっていて、マイクとかスピーカーの設備が整っていて、制作部屋だなぁと思いました。
鈴木:家の一室にそういう部屋を作りまして。普段から音楽流してます(笑)。
information
映画『ただ、あなたを理解したい』
ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国公開中
【監督】碓井将大
【脚本】鈴木裕那、渋谷未来
【出演】
鈴木昂秀、野村康太、新谷ゆづみ
森高 愛、比嘉秀海、伊藤千由李、山本愛香
吉田晴登、城 夢叶
高橋ひとみ
【主題歌】
「ガーベラ」MA55IVE THE RAMPAGE
tadaanata-movie.com
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テキスト:田中莉奈
撮影:田代大樹