[糸川耀士郎]⽷川耀⼠郎1⼈⾳楽劇「夜啼⿃」[合同取材会インタビュー]

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2025年、糸川耀士郎の俳優活動10周年を記念して上演された、糸川耀士郎1人音楽劇「夜啼鳥よなきどり」。
ローマ帝国・第五代皇帝、ネロを題材とした重厚な歴史劇をたった一人で演じ切る圧巻のステージは、多くの観客に鮮烈な印象を残した。

そして2026年7月30日より、待望の再演が開幕。
糸川自身の強い想いから、東京を皮切りに石川・島根・大阪・福岡を巡る、念願の全国ツアーも実現する。

開幕を目前に控えたタイミングで、「夜啼鳥」に懸ける想いや作品への向き合い方を語る取材会が行われた。
糸川耀士郎の言葉から、その覚悟と情熱に迫る。

いとかわ・ようじろう
1993年5月28日生まれ、島根県出身。最近の主な出演作に、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ(浦島虎徹 役)、OFFICE SHIKA PRODUCE『世界は密室でできている。』(西村友紀夫/番場潤二郎(ルンババ)役)、ミュージカル『最後の事件』(シャーロック・ホームズ 役)、ミュージカル『奇跡を呼ぶ男』(アイザイア・スターデヴァント 役)、悪童会議 第四回公演 ミュージカル『夜曲〜ノクターン〜』(ツトム 役)など。2026年12月5日よりミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2026~(浦島虎徹 役)への出演を控える。X(Twitter)

interview


2025年、俳優10周年の節目に糸川耀士郎が自ら企画・プロデュースを務め、脚本・演出の中屋敷法仁、音楽監督のYOSHIZUMIという親交の深いクリエイター陣と共に創り上げた1人音楽劇「夜啼鳥」。
大きな反響を生むと同時に、役者・糸川耀士郎の新たな可能性を見せてくれた本作が、早くも再演決定。
しかも今回は東京だけでなく、石川・島根・大阪・福岡でも上演される。

「この作品が僕であり、僕がこの作品である」と語る糸川は、どんな気持ちで作品に向き合い、再演することへの意義を見出しているのか。
本番まであとわずかとなったタイミングで実施された取材会にて、その胸中を語ってもらった。


再演が決まった際の率直な気持ちをお聞かせください。

糸川 すごく大切な作品なので、嬉しかったですね。初演の段階から「再演は絶対にしよう」という話にはなっていて、次は東京以外の土地を回りたいなっていう思いもあったんです。
演劇があまり浸透していない土地に行った時にどう受け入れられるのか、僕が役者としてそういう場所でちゃんと演劇を届ける表現が出来るのか。ゆくゆくはもっと全国を回って、その先は海外に行きたいねとか、いろんなビジョンを話していて。そんな中で、こんなにも早く再演が叶うとは。自分でもびっくりしています。

自主企画公演を成功させるのは相当な覚悟だったと思いますが、初演をやり遂げたときはどんな気持ちになりましたか。

糸川 正直あまり覚えていなくて(苦笑)。前回はこの戯曲にずっと頭を悩まされていました。寝る前も、朝起きてからも、起きている時間はずっと「夜啼鳥」のことを考えていたくらい、楽しくもあり試練でもある時間で。ゲネプロまでは本当にもう逃げ出したくなるくらい満足できなかったんですよ。やしきさん(中屋敷法仁)の戯曲に応えられない、完成させられていない自分に対してすごく憤りを感じたし、絶望したし、幻滅して。
でも初日に入って、それが嘘のように解き放たれたんです。それはもう確実にお客様がいるかいないかでしかなくて。あの瞬間、演劇はお客様と作り上げるものなんだと改めて感じました。本番に入ってからはもうゾーンに入った感じなのかな。「本当に出来たぞ!」っていう、フワフワした夢心地みたいな感じでした。


複数の役の演じ分けや歌も全部お一人でやらなければならない。そんな中で、初演の際はどういう段階を経て作品を構築していったのでしょうか。

糸川 やしきさんとも、音楽のYOSHIZUMIさんとも話し合いながら進めていました。稽古に入る時点で曲は作っていただいていたんですが、やっている中で「もうちょっとテンポ変えたい」とか「このシーンがこういう感じだから、こう変えてもらえないだろうか」みたいなディスカッションをずっとやっていて。だから、芝居も歌も全部一緒に進めながら、ギリギリにやっと完成した感じでした。

初演を振り返って、一人で舞台に立つということに対して掴んだものはありますか。

糸川 めちゃくちゃあります。覚えていないとは言いつつも、舞台上では、結構冷静な自分もいて。一人芝居って、お客様からしたら「すごいな」と思ってくださるかもしれないですが、一人でやる分、退屈な時間や、衝撃にお客様が慣れちゃう時間も絶対出てきてしまうと思うんです。僕はそれを極力無くしたくて。
舞台上からも「今ちょっと緊張感が薄れて、お客さんの気持ちが前のめりじゃなくなったかもしれない」っていう空気を感じるんですよね。客席の空気をあそこまで敏感に感じ取れたのは、この作品が初めてでした。
ただ、当時の映像をあれから1年分成長した今観ると、全然完成していないなと。今回は、もっとシビアにお客様の空気を感じ取って、退屈させないよう作らなきゃなと感じています。


この1年で特に成長したと感じる部分と、それを踏まえて今回はどう作品にアプローチしていますか。

糸川 「夜啼鳥」をきっかけに、歌をもっと追求したいって思うようになりました。ありがたいことにこの1年はミュージカル作品が多くて、いろんな種類のミュージカルを経験させてもらった中で、素敵な歌唱指導の先生方に出会えて、インプットしてアウトプットできる環境が整っていた。歌に関してシビアに自分と向き合える機会があったので、ここは大きく初演とは変わってくると思います。
あともう一つ、芝居の面で言うと、初演の映像を観て、全然テンポを掌握できていなかったという反省点があって。「もっとここのセリフは畳みかければ面白いのに」、「もっとお客様をいい意味で振り回せるのに」って。あの時は怖くて、セーフティにお芝居してしまった部分があったと思います。セリフに追いつけない自分が出てしまうんじゃないか、セリフが飛んじゃうんじゃないかって、無意識にブレーキがかかっていた部分があって。
でも今回は「突き抜けよう」と。この1年で歌に取り組んで発声も勉強したことで、芝居をセーブせずいけるだろうと思えるようになったこともあり、芝居のテンションの高低差なんかは初演とは全然違うものになると思います。

怖くてブレーキを踏んでいたとのこと。初演で1番怖かったシーンはどこでしょうか。

糸川 やっぱり冒頭ですね。ネロがいかにして生まれたか、それ以前の皇帝たちの物語を語る説明的なパートがあるんです。それが長台詞で。まぁ、全部長台詞なんですけど(笑)。あそこで噛むと、そのあとメンタルを引きずるから、噛めない。無意識のうちにブレーキがかかっていた気がします。

今回はその恐怖無く、アクセルを踏めている?

糸川 今のところは(笑)。劇場に入ったらまた恐怖が生まれてくるかもしれないんですが、今のところはイケイケのアクセル全開みたいな感じです。でも同時に、前回の眠れないくらい追い詰められた経験が自分を強くしたんじゃないかっていう考えが、頭のどっかにあって。稽古外でリラックスしていると、「ちょっと待て、あの追い詰められた経験がお前を強くしたんじゃないのか?」、「お前何休んでるんだ」と。もう一人の糸川が出てきて、リラックスしている糸川に言うんですよ(笑)。
楽がしたくて再演という形にしたわけじゃないのに、ちょっと慣れている自分がいるのか? いや、そんなことないだろう、やれることはやっているだろうと。今のところ、自問自答しながら、いい感じで自分を追い詰めることは出来ているなと思います。


中屋敷さんとの稽古場でのやり取りはいかがでしょうか。

糸川 やしきさんって本当に無邪気で、こういうローマの話が大好きなんですよ。僕がお芝居しているのを演出席から見ながら、めちゃくちゃセリフを言ってくるんです。僕より先に。「ちょっとちょっとちょっと、先に言わないでくださいよ」と(笑)。
でも、やしきさんが目の前で演じて見せてくれるから、「そうやってほしいんだな」と分かる瞬間がある。それを汲み取りながら稽古をしています。


今回は全国5都市で上演します。地元・島根での公演はどんな位置づけでしょうか。

糸川 運命的ですよね。初めて地元でお芝居をする作品が、自分にとってこれだけ大切な「夜啼鳥」であることは、すごく幸せだなと思います。家族や友達も観に来てくれるって言ってくれていて、「東京でこういうことしてるんだよ」って発表できるのは嬉しいんですけど、普段演劇を観ることが無い地元の友人に伝わるかな……みたいな不安はあります(笑)。

初めて観る方に、この作品を紹介するとしたら、どう伝えますか。

糸川 難しいな(笑)。そもそもこの作品をやりたいと思ったのは、僕がドラマチックで劇的な物語が好きだから。そういう人生を歩んできた人物を演じたいと思って、色々探して、最終的にやしきさんやマネージャーさんと話して皇帝ネロが題材に決まったんですが、それほど激動でドラマチックな話なんですよ。
人の命が軽んじられて当たり前だった時代に皇帝になったネロが歌に目覚めて、「僕は歌で世界を変えるんだ」と言っている。なのに、なぜ今の人々にはネロは暴君として知れ渡っているのか。この裏腹さに物語の面白さがあるし、芸術に狂いすぎて破滅していくからこそ音楽劇である必然性もある。物語として本当に完成された作品で、それを一人の役者が演じるっていう、いろんな面白さが掛け算されている作品です。
僕が「一人芝居やってます、すごいでしょう」と見せるための作品ではなくて、戯曲として美しい作品に、たまたま一人で全てをやるというエッセンスが加わっているだけ。本当に不思議で魅力的な作品なので、そこを楽しみに観ていただきたいです。


では、初演を観た方に向けて、再演の見どころを教えてください。

糸川 今回は新曲があります。再演の「夜啼鳥」を象徴するような壮大な曲をYOSHIZUMIさんにオーダーして、本当に素敵な曲を作っていただきました。前回を観た方だからこそ分かる違いっていうのも絶対あると思います。約2時間の物語の中で、「息つく暇を与えないぞ」という気持ちでやっているから、観ている方はぐったりするかもしれない。でも、それぐらいのめり込めるドラマチックな音楽劇にしたい。
「そこまで言うんだったら見せてもらおうじゃないの」くらいの気持ちで観ていただきたいです。髪色もそうですが、衣裳も新しくなっています。前回もすごく素敵だったんですが、今回は更にそれを上回る仕上がりになっているので、ぜひそこも楽しみにしていてください。

2年連続の上演で、この作品が糸川さんのライフワークになっていく予感もあります。改めてこの再演は、役者・糸川耀士郎にとってどんな作品にしたいですか。

糸川 初演は俳優10周年記念として、“糸川耀士郎ってこういう俳優です”というプレゼンテーションの場でもあったし、役者としてのこれからの人生にこのぐらい真剣に向き合っています、っていう意味合いで作った作品でした。
でも今回の再演は、その枠を一つ飛び越えて、この作品そのものを届けるっていうフェーズに来ているのかな。僕のファンの方々が来てくださるだけじゃなくて、僕のことを全く知らない人が「面白そうだな」と思って来てくれることを目指しています。もしかしたら、知らない土地で全然お客さんがいないかもしれない。それを含めての冒険だと思っています。

information

糸川耀士郎 1人音楽劇「夜啼鳥」

[東京]2026年7月30日~8月1日@CBGKシブゲキ!!
[石川]2026年8月7日@石川県教育会館 3Fホール
[島根]2026年8月10日、8月11日@ビッグハート出雲 白のホール
[大阪]2026年8月15日、8月16日@世界館
[福岡]2026年8月19日@レソラホール(レソラNTT夢天神ホール)
[東京凱旋]2026年8月27日~8月30日@新宿村LIVE

企画:糸川耀士郎
脚本・演出:中屋敷法仁
音楽監督:YOSHIZUMI

出演:糸川耀士郎 


公式サイト
X(Twitter)

credit

©糸川耀士郎1人音楽劇「夜啼鳥」製作委員会

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